東方 白狐伝   作:蛸夜鬼の分身

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第三話 神々の戦

雪「⋯⋯ふむ」

 

 俺が洩矢神社に居候してから数週間が経った。妖怪との戦いで受けた傷は意外にも深かったのか、治癒力が高まっているこの身体でも先日にやっと完治した。

 

 因みに今の時代は天津神と国津神が地上の信仰を取り合ってる時代、所謂諏訪大戦の時代らしい。永林達と過ごしていた時代から約三億年は経っている⋯⋯と思う。

 

 この数週間、ただ居候するのはアレなので買い物や家事を手伝って過ごしていた。それと俺が元々着ていた服はボロボロだったので諏訪の国にあった仕立屋で同じ物を作ってもらった。

 

 あと耳と尻尾は隠していない。諏訪子が民に俺が妖怪ではないと話してくれたんだ。俺は変化の術が苦手だから助かるな。

 

雪「⋯⋯鈍ってるな」

 

 そして今は体を軽く動かしている。しかし長年の間動かなかった事が原因なのか、思うように体が動かない。その事に少しため息を吐くと

 

 カンッ! カンッ! カンッ!

 

 という鐘の音が聞こえた。これは⋯⋯まさか敵襲だったりしないよな?

 

雪「⋯⋯諏訪子の元へ行くか」

 

~白狐移動中~

 

諏訪子「あっ、雪!」

 

雪「諏訪子、この鐘の音は何だ」

 

諏訪子「敵が攻めて来たんだよ! 私は兵を集めないといけないから、雪は民を避難させて!」

 

 諏訪子はそう言うと慌ただしく走り去ろうとする。ふむ、戦か⋯⋯丁度良いな。

 

雪「俺が出る」

 

諏訪子「えっ、何言ってるの!? 先日傷が治ったばっかでしょ!?」

 

雪「なに、無茶はしないさ。それに身体も動かしたかった所だからな」

 

 俺はそう言うと敵がいるらしい方角へ走る。民家の屋根を伝いながらショートカットし、国の外に出ると数百程度の人間達が向かってきていた。

 

雪「さて、始めるか」

 

 そう呟くと同時に人間達の中に突っ込み、数人を宙へ飛ばす。

 

兵士A「な、何だぁ!?」

 

兵士B「何事だ! 何が起きた!」

 

雪「おお、良い感じに混乱したじゃないか」

 

 混乱している人間達を他所に複数の氷塊を創り出し、近くにいる奴へ飛ばした。氷塊が着弾した兵士は吹き飛び気絶したのか動かなくなる。

 

兵士「あ、アイツだ! あの狐をやれ!」

 

 混乱から立ち直った兵士が俺を指差して叫ぶ。その声に反応して数人の兵士が俺に斬り掛かってきた。

 

雪「遅いな。もう少し訓練を積んで出直してこい」

 

 俺は足を地面に落とす。すると地面がピキピキと音を立てて凍っていき、兵士達の足を止めた。

 

 足に張り付いた氷を砕こうとしている者もいるが、そのナマクラ剣で壊せる程柔じゃない。

 

 他にもまだ動ける奴がいるか辺りを見渡していると、背後から一人の兵士が飛び掛かってきた。

 

兵士「貰ったぁ!」

 

雪「残念、二十点だ」

 

 俺は尻尾に氷を纏わせると兵士の剣を防ぐ。

ギャリィン! と音を立てたと思うと兵士の剣は根元からポッキリと折れた。

 

兵士「なっ、へぐぅ!」

 

 剣を防がれた兵士が驚いてる隙に氷を纏わせた尻尾を顔面に叩き付けた。あ、首から嫌な音が聞こえた。死んでないよな?

 

?「テメェ! よくも俺の兵士を殺りやがったなぁ!」

 

 吹き飛ばした兵士の様子を見に行こうとすると神力を纏った男がズカズカと歩いてきた。⋯⋯何だか不良みたいな格好の神だな。

 

雪「気絶してもらっただけで別に殺してないさ⋯⋯多分」

 

神「おい、今多分って聞こえたぞ!」

 

 おっと、口が滑った。

 

雪「さて、お前が今回攻めてきた敵の大将で良いのか?」

 

神「ああ? 見て分からねえか?」

 

 分からないから聞いたんだろうが⋯⋯まあ、そう言うって事はコイツが大将で良いな。なら話は早い。

 

雪「ああ、分からないから聞いたんだ。悪いな。そして⋯⋯じゃあな」

 

神「はあっ?」

 

 俺は神の足下の氷を操り、氷柱状に尖らすと神の胸へ突き刺した。

 

神「がふぁっ!?」

 

 神は口から血を吐くと、俺に向かって口を開いた所で倒れ伏した。何だ、神と言っても人間と殆ど変わらないじゃないか。

 

雪「さて⋯⋯お前らの大将は死んだ。これ以上の戦いは無意味だろう。降伏しろ」

 

 俺は兵士の方を向くとそう宣言する。兵士はそのまま剣を落とす者、忌々しげに俺を睨む者等様々だ。

 

 こうして、俺の久々な戦いは幕を閉じた。

 

~その夕方~

 

二人「「かんぱーい!」」

 

雪「⋯⋯乾杯」

 

 今俺は、戦の勝利を祝して二人と祝杯を交わした。

 

 あの後、諏訪子達がやって来て敵国の兵士を捕縛、神の死体を弔った。兵士達はこの国に住むか他の国に向かうか決めてもらうらしい。信仰を集めるのにわざわざ人間を殺してしまっては意味が無いらしいからだ。

 

諏訪子「雪、飲んで飲んで! 雪のお陰で私の国は被害を出さずに済んだよ、ありがとう!」

 

稲穂「私も遠くから見てましたけど凄かったです! 雪さん、強かったんですね!」

 

雪「まあな」

 

 そう答えると酒を口に含む⋯⋯美味い、これは俺好みの酒だな。

 

諏訪子「ほらほら、もっと飲んで!」

 

雪「⋯⋯諏訪子、お前もう酔ってるのか?」

 

諏訪子「酔ってないよーだ」

 

稲穂「ああ! 諏訪子様はお酒弱いんですからあんまり飲まないでください!」

 

 諏訪子は酒に弱いのか。神ってのは酒に強そうなイメージなんだがな。意外だ。

 

諏訪子「ほらほら、お猪口が空いてるよ?」

 

稲穂「す、すみません雪さん⋯⋯」

 

雪「いや、お前も大変だな⋯⋯」

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