東方 白狐伝   作:蛸夜鬼の分身

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第五話 諏訪大戦

雪「諏訪子、準備は良いか?」

 

諏訪子「う、うん⋯⋯緊張するけど、大丈夫!」

 

雪「良し⋯⋯稲穂、お前は神社で待っててくれ。流石に危ないからな」

 

稲穂「分かりました。無事を祈っています」

 

~白狐移動中~

 

神奈子「⋯⋯来たか」

 

 俺達が着いた時には既に神奈子と数人の兵士が待っていた。この兵士は大戦を見守り、公平な判断をしてもらう事を頼んでいる。天照と神奈子の紹介、そして俺も確認したから一応は信頼出来るだろう。

 

諏訪子「お前が今回勝負する相手⋯⋯八坂 神奈子だね?」

 

神奈子「ああ。お前が諏訪の神⋯⋯洩矢 諏訪子か」

 

雪「挨拶は済んだか? それでは早速だが構えてくれ」

 

 そう言うと二人は少し離れて構える。兵士は巻き込まれない様に適度な距離を取って見守っている。

 

雪「それではいくぞ?⋯⋯始め!」

 

 合図と共に二人は動き出す。諏訪子は巨大な鉄の輪を持ち、神奈子は御柱を浮かせた。

 

諏訪子「容赦はしないよ、神奈子!」

 

神奈子「それはこっちの台詞だ!」

 

 諏訪子は鉄の輪や土を盛り上げて攻撃し、神奈子は御柱や地面を抉る程の竜巻を飛ばしていた。

 

雪「神奈子は風を操るのか?」

 

兵士「いえ、建御名方様は『乾を操る程度の能力』です。簡単に言えば天候、特に風雨を操る事が出来ます」

 

 俺の呟きに近くにいた兵士が答えてくれる。天候を操る⋯⋯それは自然を味方にしているのと同じだろう。諏訪子は勝てるだろうか⋯⋯。

 

雪「⋯⋯?」

 

 暫く二人の戦いを観戦していると、遠くから邪気の混じった空気を感じ取った。俺は近くの兵士に適当な理由を言ってこの場を離れると、その不穏な空気の元へと向かった。

 

~白狐移動中~

 

 ふむ、この辺りの筈だが⋯⋯。

 

雪「っ! あれは⋯⋯」

 

 見付けたのは、前に大和を追い出された男神だった。前とは違い髪は荒れて目は窪み、肌色は悪く服装もボロボロ⋯⋯まるで貧乏神、疫病神を思い浮かべる様な格好だった。

 

 取り敢えず近くの茂みに隠れて様子を見ていると⋯⋯

 

男神「ふ、ふふふ⋯⋯俺をこんな目に合わせたアイツ等に制裁を⋯⋯ふふふ⋯⋯」

 

 男神は懐から大きな蛇の鱗を取り出す。その鱗を見た瞬間、ゾワリと背筋が凍り付いた。

 

 俺は即座に氷を創ると鱗へ向かって放つ。しかし急ぎ過ぎて狙いが定まらなかったのか、少し掠っただけで弾く事は出来なかった。

 

雪「しまった!」

 

男神「お、お前は⋯⋯俺をこんな目に合わせた狐!」

 

 クソッ、バレてしまった⋯⋯仕方ないので茂みから出ると、男神はニヤリと笑った。

 

男神「丁度良い。まずお前から殺してやろう」

 

雪「⋯⋯まさかそんな鱗で戦うつもりじゃないだろうな」

 

男神「ふふふ⋯⋯ただの鱗じゃない。これはあの八岐大蛇《ヤマタノオロチ》の鱗だ。これを砕くと邪気が溢れ、俺に強大な力を与えてくれるのだ!」

 

雪「⋯⋯ベラベラと喋ってくれて助かった」

 

 思えばあの手紙の時も自白してたな。もしかしたら口が軽いのかもしれない。

 

 そんなどうでも良いことを考えていたら男神が鱗を砕いた。しまった、コイツの馬鹿らしさに気が逸れてしまった⋯⋯。

 

男神「お、おお⋯⋯グォオオオオ!!」

 

 男神を中心として、視認できる程のどす黒い邪気が溢れ出す。

 

雪「っ! ゲホッ、ゲホッ!」

 

 クソッ、少しだけ吸ってしまった⋯⋯少し離れておこう。これ以上吸ったら何が起こるか分かったもんじゃない。

 

 暫くすると男神が纏っていた邪気が四散する。そこには⋯⋯

 

男神「キュルルルル⋯⋯」

 

雪「おいおい、何だコイツは⋯⋯」

 

 まるで様々な蟲を繋ぎ合わせた様な異形な化け物が立っていた。しかも神力ではなく妖力を感じる⋯⋯神を捨てたか。しかし蛇の鱗から何故蟲になるんだろうか?

 

異形「キュル! キュルルルル!」

 

雪「おっと!」

 

 異形は蟷螂の様な鎌を振り下ろしてきた。チッ、やるしかないか⋯⋯。

 

雪「まあ、向こうでは諏訪子達が戦っている。ここを通す訳にもいかないからな⋯⋯ここで死んでもらおう」

 

 ポキポキと指を鳴らすと構え、異形は大きく不快な雄叫びを上げると突進してきた。

 

 そして、諏訪子達の戦いとは別の、もう一つの戦いが始まった。

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