東方 白狐伝   作:蛸夜鬼の分身

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参章 飛鳥時代の巻
第一話 十人の話を聞き分ける人


雪「⋯⋯あれか」

 

 諏訪子達と別れてから早数年。俺は数々の村や都を転々として旅を続けていた。

 

 そしてつい先日、旅の疲れを癒す為に泊まっていた村の住人に面白い噂を聞いた。それは、この辺りにある都に“十人の話を一度に聞き分ける人”がいるというものだ。

 

 そんな人間、日本の歴史には一人しかいない。そう、聖徳太子だ。俺は歴史上の人物を一目見たいという好奇心からその都へと歩いてきた訳だ。

 

雪「さて、取り敢えず中に入るか」

 

 俺は白狐の姿から黒髪黒目の平凡な容姿へと変化する。理由は、一度耳と尻尾だけ消して一つの村に入ったんだが、異端者だと言われて碌な扱いを受けなかったからだ。どうやら人間は自分達と違う者はとことん嫌う性分らしい。

 

 都の中に入ると多くの人間の声が耳に入ってくる。ふむ、賑やかだな。もしかしたら大和よりも活気があるかもしれない。

 

 沢山の人間が歩く大通りを散策していると、どこからか美味そうな食い物の匂いが漂ってくる。そういえば昼飯をまだ食ってなかったな。まずは腹ごしらえでもするか。

 

雪「⋯⋯おっ、あの店が良さそうだな」

 

 俺は近くにあった店に入る。中に入ると美味そうな匂いが漂い、食欲を刺激した。

 

店員「いらっしゃいませ! 何名様ですか?」

 

雪「一人だ」

 

店員「分かりました! ではお席にどうぞ!」

 

 店員に案内されて席に着いた俺は品書きを手に取り、適当な定食を頼んだ。

 

~??? side~

 

?「ん、ん~! ふぅ、やっと終わりましたね」

 

 私は『豊聡耳(とよさとみみの) 神子(みこ)』。民からは聖徳太子という名で通っています。

 

 私は今、目の前の書類を捌き終わって暇になったところです。恐らく夕方頃になればまた大量の書類が送られてくるのでしょうが⋯⋯。

 

神子「⋯⋯お腹が減りましたね」

 

 そういえば昼食を摂っていなかった。どこで食べましょうか⋯⋯。

 

神子「そうだ、久しぶりに外に行きましょう」

 

 最近は外に出ていませんでしたし、民の様子も見れるので一石二鳥ですね。そう思った私は早速出掛けようと『七星剣』を手に取って部屋を出ました。

 

?「太子様!? 一体どこに出掛けられるつもりですか!」

 

 すると私の部下の『蘇我(そがの) 屠自子(とじこ)』が駆け寄ってきました。彼女はとても頼れる部下なのですが、結構な過保護で少しの外出にも護衛をつけようとする始末です。私の身を案じてくれるのは嬉しいのですが⋯⋯。

 

神子「少し昼食を摂りに出掛けるだけです。心配しなくても大丈夫ですよ」

 

屠自子「しかし、何かあってからでは遅いのですよ!?」

 

神子「屠自子⋯⋯私も自分の立場は理解しています。危険な真似はしませんから」

 

屠自子「⋯⋯分かりました。でも、すぐに帰ってきてくださいよ」

 

 屠自子の言葉に頷くと、宮を出て大通りを歩く。ふむ、民の皆は平和に過ごせている様ですね。

 

 暫く民の様子を見ながら歩き、適当な店に入る。昼時はもう過ぎているが繁盛しているのか結構混み合っていますね。

 

店員「いらっしゃいませ! 何名様ですか?」

 

神子「一人です」

 

店員「分かりました! 他のお客様と相席になってしまいますがよろしいですか?」

 

神子「はい、構いませんよ」

 

店員「ではこちらに」

 

 店員に案内されて着いた席には平凡な男性が座っていました。とても美味しそうに食べていますね⋯⋯。

 

神子「私も彼と同じものを頂けますか?」

 

店員「分かりました! では、ごゆっくりどうぞ!」

 

 店員が離れると私は席に座る。ふむ、見ない服装ですね、旅の方でしょうか? 私は少しだけ⋯⋯と思って欲を覗きました。

 

雪「(─────────)」

 

神子「っ!?」

 

 な、何ですかこの欲は⋯⋯読み取れない程の大きな欲を持っているなんて⋯⋯人間の欲の大きさではありませんでした。

 

 もしも、この男性が人間ではなかったとしたら⋯⋯私は息を飲むと警戒しながら

 

神子「⋯⋯すいません、少しよろしいですか?」

 

 意を決して話し掛ける事にした。




 はいどーも、作者の蛸夜鬼の分身です。先週、先々週と投稿出来ずに申し訳ありません。

 先週は色々と都合があり、先々週は単純に忘れてしまいました。今回はそのお詫びも兼ねて今週、来週は二章分投稿しようと思います。

 そうそう、私はTwitterをやっているのでそちらを確認して頂ければ何を投稿したか、今日は投稿したかが分かります。一応ご報告を。

 それでは今回はこの辺で。また今度、お会いしましょう。
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