東方 白狐伝   作:蛸夜鬼の分身

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第三話 太子との対話

 ここは地下牢。罪人や容疑者が入れられる狭い部屋だ。周りは土壁で覆われ、目の前には出られないように木の柵がある。

 

 そんな場所に、俺はぶち込まれていた。

 

雪「ふぁああ⋯⋯」

 

銀髪「おいお主! 何を欠伸しておる!」

 

 あまりにも暇でつい欠伸を漏らすと、看守代わりの銀髪の少女が怒鳴ってきた。

 

 俺が神子を助け、兵士に捕まってから約数時間が経過した。俺は縄で手足を縛られた状態で牢屋にぶち込まれ、今は銀髪の少女と話をしている。

 

雪「何だ、欠伸程度で俺は怒られるのか? それじゃ人権侵害だろ」

 

銀髪「訳わからん事を言うな! と言うか、お主は人じゃないわ!」

 

雪「そうだな。だが心は人間だ」

 

 銀髪を茶化していると兵士がやってきて銀髪に耳打ちをする。耳を澄ますと、どうやら神子がやってくるらしい。それを聞いた銀髪はニヤリと笑った。

 

銀髪「今から太子様がやってくるらしい。残念だが、お主の罪は決まりじゃな。太子様が嘘を吐く訳ないからな」

 

雪「ふん、言ってろ」

 

 これでやっと解放されるな。暫くすると包帯を巻いた神子が金髪に支えられながら歩いてきた。

 

銀髪「太子様! 大丈夫ですか!?」

 

神子「ええ、そこまで酷くありませんよ。それより布都、彼の縄を解いてください。彼は私を助けてくれたのです」

 

銀髪「なっ! こ、此奴は太子様を殺そうとしたのではないのですか!?」

 

雪「おい、太子様は嘘を吐かないんじゃないのか?」

 

銀髪「ぐぬぬ⋯⋯」

 

 布都と呼ばれた少女は悔しそうな表情で俺の縄を解いた。

 

 ふう、やっと解放されたな。ずっと固い床に横たわってたから身体が痛い。

 

神子「すいません。彼女達は決して悪気があった訳ではなくて⋯⋯」

 

雪「いや、別に気にしてないさ。あの状況なら誰だって勘違いする」

 

神子「申し訳ありません⋯⋯ところで、貴方は雪さんで良いんですよね?」

 

雪「ああ。折角だし俺の事を話してやろう。もう正体はバレた訳だしな」

 

 そして俺は、こんな所で話すのもあれだと神子に言われて部屋を移動した。

 

~白狐説明中~

 

雪「以上が、俺の今までだ」

 

神子「なんとまぁ⋯⋯予想外というか⋯⋯」

 

 話が終わると三人は何とも微妙な表情を向けてくる。まあ、数億年(実際は九割近く冬眠してた訳だが)も生きてると言われても信じられない事は分かる。

 

 そういえば金髪と銀髪の名前だが、金髪は蘇我 屠自子。銀髪は『物部《もののべ》 布都《ふと》』というらしい。あの布都姫と関係があるのだろうか?

 

 喉が渇いたので出されたお茶を飲んでいると、屠自子がチラチラと俺の尻尾を見てきた。

 

雪「⋯⋯どうした?」

 

屠自子「えっ!? あ、いや、何でもない!」

 

雪「そうか?」

 

布都「フッフッフッ⋯⋯分かる、分かるぞ屠自子よ! お主、雪のモフモフした尻尾を触りたいのであろう!」

 

屠自子「なっ!?」

 

雪「ふむ、そうなのか? 触るか?」

 

 自分で言うのもなんだが、俺の尻尾は結構触り心地が良い。毎日手入れしてるからな。

 

屠自子「べっ、別にいい! っていうか布都! 余計な事言うんじゃない!」

 

布都「むおっ!? 何をそんなに怒っておるのだ!? 我はただお主の心の声を代弁しただけで⋯⋯」

 

屠自子「だからそれが余計だって言ってんだよ!」

 

神子「二人とも! 客人の前で失礼ですよ!」

 

布都「ウッ⋯⋯すみませぬ⋯⋯」

 

屠自子「申し訳ありません、太子様⋯⋯」

 

雪「⋯⋯仲が良いな」

 

 ⋯⋯考えると、喧嘩出来る程仲が良い友人を持った事が無いな。別段喧嘩したい訳ではないが、少し寂しいとも思う。

 

?『─────だろ?』

 

雪「⋯⋯?」

 

 今、何か聞こえた様な気がしたが⋯⋯気のせいか。

 

神子「ところで雪さん。この後どうするつもりですか?」

 

雪「ん? そうだな⋯⋯神子に会うという目的は達成したから、旅の疲れを癒やすつもりで暫く滞在しようと思っている」

 

神子「でしたら、私の屋敷の部屋を貸しますよ。流石に毎日貸すわけにもいきませんが⋯⋯知り合いに宿屋を経営している方がいるのでその人に掛け合ってみます」

 

雪「そうか、ありがとう」

 

神子「いえ、命を助けてくれたのですから。寧ろこんな事しか出来ませんが⋯⋯」

 

 そして俺は神子の屋敷に泊めてもらう事にした。

 

 しかし流石太子と言うか、豪華な飯、大きな風呂、更には一部屋丸々貸してもらえた。お陰で十分休まる事が出来たな。

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