東方 白狐伝   作:蛸夜鬼の分身

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第七話 西行寺家

雪「⋯⋯お前の、友達?」

 

紫「ええ」

 

 俺は今、紫と共にスキマの中にいる。と言うのも、勇儀達と別れ、神子の様子でも見に行こうかと山を降りた途端にスキマに落とされたからだ。

 

 そして、紫から友人を紹介されたいと言われていた。

 

雪「お前、友人なんていたのか」

 

紫「いるわよ!? 何でいないと思ってたの!?」

 

雪「いや、初対面の相手に対する胡散臭さと人をおちょくる様な薄ら笑いを浮かべてるんだからいるのが不思議だろう」

 

紫「酷い! 貴方、私の事そんな風に思ってたの!?」

 

 永琳や慧音の時の貴婦人染みた雰囲気はどこへやら。まるで駄々っ子の様な声で俺に叫ぶ。

 

雪「で、その友人がどうしたんだ?」

 

紫「あ、えっと⋯⋯」

 

 話を戻すと紫はゴホンと一つ咳払いをする。そして神妙な面持ちになると

 

紫「私の友達を⋯⋯助けてほしいのよ」

 

 そう、まるで悲しむかの様な声色で、俺に頼んできた。

 

 

~西行寺家の屋敷~

 

 

雪「さて、地図によるとここなんだが⋯⋯」

 

 紫に頼み事を受けた俺は、その数日後に紫から受け取った地図を頼りに一つの屋敷へとやって来ていた。

 

雪「西行寺家、か。風の噂は本当なんだろうか」

 

 まさか紫の友人とやらが西行寺家のお嬢様とは思わなかった。

 

 この屋敷には一本の巨大桜がある。『西行妖』と呼ばれるそれは春になるとこの世のものとは思えない程、美しい花を咲かせるそうだ。

 

 そして昨年程前、不治の病を患っていたこの屋敷の当主が亡くなった。満開の西行妖の根元で、まるで眠るかの様に息を引き取っていたらしい。

 

 それからだ。その当主を慕っていた者達がその桜の根元で、まるで後を追うかの様に自殺していったのは。

 

 やがて、この屋敷近くの村からは『西行妖は死を誘う桜』、『西行寺家は死を誘う呪いがある』などと噂され始めた。今では当主の娘とその従者が一人いるだけらしい。

 

 で、紫が言う『友人を助けてほしい』とは、その西行妖から救ってほしい、との事だ。

 

 当主を慕っていた者は皆死んだ。恐らく当主の娘である紫の友人も西行妖の力によって死んでしまうかもしれない。それを止めてほしい、との事だった。

 

雪「⋯⋯ひとまず、中に入らないとな」

 

 俺は屋敷の住人を呼ぶ為、門を叩こうとする。すると

 

?「この白玉楼に何用か」

 

雪「っ!」

 

 突如、後ろから刀が斬り放たれる。咄嗟に上へ飛び、刀を回避すると後ろに蹴りを入れる。

 

翁「む⋯⋯」

 

 相手は後ろに飛んで蹴りを避ける。その相手は刀を持った白髪の老人だった。

 

 ⋯⋯この老人、相当な手練れの様だ。声を掛けられるまで全く気配を感じなかった。

 

翁「この白玉楼は貴様の様な(あやかし)の類いが来るような場所ではない」

 

 妖怪ではないんだがな⋯⋯しかし、紫はこの屋敷の住人に何も伝えてないのか?

 

雪「まあ待て。順を追って説明「去らぬか。ならば斬るのみ!」おいおい⋯⋯」

 

 この老人、話が通じないな。老人は人間では到底不可能な速度で向かってくる。

 

雪「しょうがない。少し冷静になってもらおう」

 

 流石に素手で戦う訳にもいかないので氷の篭手を作り構える。

 

 そして老人の刀が俺の首に、俺の拳が老人の眉間へと迫ろうとした、その時。

 

?「そこまでよ、妖忌」

 

二人「「っ!?」」

 

 不思議な程に透き通る女性の声が響き渡る。見ると門が開かれ、そこには桃色の髪を持つ女性と、この状況を作り出した紫が立っていた。

 

?「妖忌、そこの狐さんはお客人よ。刀を納めて」

 

翁「⋯⋯分かり、ました」

 

紫「雪、貴方もよ」

 

雪「むっ⋯⋯」

 

 俺と、妖忌と呼ばれた老人はそれぞれ武器を引く。

 

?「ごめんなさいね。妖忌は少し融通が効かなくって⋯⋯私は『西行寺(さいぎょうじ) 幽々子(ゆゆこ)』。この人は『魂魄(こんぱく) 妖忌(ようき)』よ」

 

雪「狐塚 雪だ。一応、そこの馬鹿の友人だな」

 

 そう言って紫を指差す。馬鹿と言われた紫は心外だと言いたげに不機嫌な表情になった。

 

紫「なっ! 馬鹿って何よ、馬鹿って!」

 

雪「煩い。元々お前が説明しておけばこんな事にはならなかったんだ。それなのにお前は⋯⋯」

 

幽々子「ふふっ。二人とも仲が良いのね。さっ、ここで話をする訳にもいかないし、中へどうぞ」

 

 幽々子はクスクスと笑うと屋敷の中に入っていく。随分とほんわかした性格の様だな。

 

雪「言葉に甘えさせてもらう。妖忌、先程は手荒な真似をしてすまなかった」

 

妖忌「いえ、儂から謝罪させてもらう。申し訳ない」

 

 俺は妖忌に頭を下げてから。屋敷の敷地内へと入る。その際に

 

雪「紫、後でじっくりと話し合おうじゃないか」

 

紫「っ⋯⋯!」

 

 紫にひっそりと、そう呟いておいた。後に妖忌から聞いたが、顔から血が引いて顔面蒼白になっていたらしい。

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