東方 白狐伝   作:蛸夜鬼の分身

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第八話 西行妖と不穏な動き

雪「さて紫。幽々子を助けると言ったがどうするつもりだ」

 

 俺、紫、妖忌は西行妖の前で話し合っていた。幽々子は居間で飯を食っている。

 

 最初運ばれてきた大量の料理を見た時は驚いたな。まさかあんな細い体で大食いとは思っていなかった⋯⋯。

 

紫「そうね⋯⋯幽々子を助けるには、この西行妖をどうにかしないといけないのよ」

 

雪「ん? どういう事だ」

 

妖忌「それは私が説明致しましょう」

 

 すると妖忌が前に出る。そしてポツリポツリと話し始めた。

 

 まあ、話が長かったから簡単に要約させてもらうが⋯⋯現在、幽々子は『死に誘う程度の能力』を持っている。幽々子はそれを制御する事が出来ないでいる。

 

 その理由はこの西行妖だ。噂にあった様に、何人もの人間が後追い自殺をした。西行妖はその“死”を吸い取り続け、現在では周りに影響を及ぼす程の力を持ってしまった。元は『死霊を操る程度の能力』だった筈の幽々子の能力を変えてしまう程に。

 

雪「成る程⋯⋯現在はどの程度の力を持っているんだ?」

 

妖忌「⋯⋯例えば、雪殿の力を一万としましょう」

 

雪「ああ。西行妖は?」

 

妖忌「恐らく、一万五千だと思われます」

 

雪「なっ⋯⋯!」

 

 俺はこれでも、そこらの妖怪などよりも強いと自負している。今までの戦闘経験に加え、霊力、能力がそれなりにあるからだ。

 

 それを西行妖は軽々と超えている。一体どれだけの死者を出していたのだろうか。

 

紫「つまり、この桜を倒す事は出来ないという事よ。圧倒的に力が足りないし、何をしてくるのか分からないもの」

 

雪「つまり、封印しかないのか⋯⋯」

 

紫「ええ。それも何千年経ったとしても解けない封印をね」

 

 この馬鹿げた力を持つ化け物を封印か⋯⋯出来るのだろうか。

 

雪「まあ、やるしかないか」

 

紫「ええ。といっても、既に封印の術式とかは揃っているのよ」

 

雪「何? それなら封印すれば⋯⋯いや、何か必要なのか?」

 

紫「ええ。あの妖力を抑え込める媒体が必要なのよ」

 

雪「媒体⋯⋯例えば?」

 

紫「妖怪と相反する存在⋯⋯所謂神と共にあった物や穢れの少ない場所で作られた物が良い例ね」

 

 つまり神器、という物か。諏訪子達ならそういう物を持っていそうだが⋯⋯。少し遠いな。急いでも往復で数週間は掛かるだろう。時間が掛かってしまうのは得策じゃない。

 

雪「とにかく、そういう物を探せばいいんだな?」

 

紫「ええ」

 

雪「分かった。じゃあ媒体は俺と紫で探そう。妖忌は幽々子の近くにいてくれ。それと、もしまた自殺に来る者がいたら殴ってでも止めてくれ」

 

妖忌「つまりいつも通り、という事ですな。承った」

 

紫「期限は⋯⋯この桜が満開になるまでよ。この桜、満開になると妖力が増大するみたいだから」

 

雪「分かった」

 

 満開になるまで⋯⋯今年の春辺りか。今は秋。まだ時間があると思えば良いのか、時間が無いと考えるのが良いのか⋯⋯。

 

 そんな事を考えながら俺は紫達と別れ、白玉楼を出ると媒体を探し始めた。

 

 

─────

 

 

雪「ふぅ⋯⋯」

 

 白玉楼の広い風呂で、俺は手で顔を拭いながら今日の疲れを癒やす。

 

 俺は家がないので、暫くの間この白玉楼で住まわせてもらう事になった。

 

 結局、今日の内に媒体が見つかる事はなかった。一日目で見つかったら万々歳だったが、やはりそんな甘くないらしい。

 

雪「穢れが少なく、神と共にある物か⋯⋯」

 

 穢れが少ない、という事は妖怪が少ない場所だ。そして神と共にある物。出来るだけ高位の神が良いだろう。そんな物、本当にあるんだろうか。

 

雪「今夜は満月か」

 

 風呂の窓から見える夜空には、綺麗な満月が浮かんでいた。そういえば月にいったアイツらは無事なんだろうか⋯⋯。

 

雪「⋯⋯そうだ」

 

 月なら妖怪もいない。それに月読という日本を代表する三柱の内の一人がいる。そこになら媒体となる物があるんじゃないだろうか。

 

雪「⋯⋯いや、駄目だな」

 

 輝夜が言ってが、向こうでは俺が死んだことになっているらしい。それなのに俺が現れたら困惑⋯⋯最悪敵対する事になるだろう。

 

雪「はあ⋯⋯一体どうするか」

 

 結局俺は何も考えが浮かばず、今日一日を終える事になった。

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