東方 白狐伝   作:蛸夜鬼の分身

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第三話 幻想郷巡り 人里②

慧音「じゃあ雪さんは最近幻想郷に?」

 

雪「ああ。この人里に来たのも家の土地を探しがてら幻想郷の色々な場所を回ってるんだ」

 

 家に上がらせてもらった俺は慧音と他愛のない話をしていた。

 

 暫く話をしていると玄関の方から戸を叩く音が聞こえてくる。誰か来たのだろうか。

 

?「慧音ー、遊びに来たぞー!」

 

 戸を開ける音と共にどこかで聞いた様な声が聞こえる。

 

慧音「居間にいるから上がってくれー!」

 

 そう慧音が言うとドタドタと足音が聞こえ、襖が開かれる。そして居間に入ってきたのは⋯⋯

 

雪「⋯⋯妹紅?」

 

妹紅「⋯⋯もしかして、雪か?」

 

 あの時から服装を除いて一切変わっていない、妹紅の姿がそこにあった。

 

慧音「えっと⋯⋯雪さんは妹紅と知り合い何ですか?」

 

雪「ん、ああ。昔ちょっとな。それにしても妹紅、まさかお前も幻想郷に居たとはな」

 

妹紅「そりゃあこっちの台詞だよ。久しぶりだね雪」

 

 ⋯⋯随分と男勝りな言葉遣いになっているな。この姿を見て、元々は貴族の娘と言われて信じる者がどれだけいるだろうか。

 

妹紅「っていうか慧音も雪と知り合いだったんだな。もしかして良く話してた恩人って雪の事か?」

 

慧音「ああ。昔妖怪に襲われてた所を救って貰ったんだ」

 

 話を聞くと慧音は幻想郷に来ると人里で過ごし、妹紅は俺と別れた後旅を続けていたが紫に誘われてここに来たという。そして疲労で人里前で倒れていた所を慧音に助けられ、友人となったそうだ。

 

妹紅「ところで雪はどうしてたんだ?」

 

雪「俺か? 俺は⋯⋯鬼と喧嘩したり月にいったり、妖怪桜を倒したり⋯⋯あと異国に行ったりしてたな」

 

慧音「す、凄いですね⋯⋯月に異国ですか⋯⋯」

 

 まあそう言われても信じがたいだろうな。俺が慧音達の立ち話としても冗談と受け取るかもしれない。

 

 そんな話をしていると、家の戸が強く叩かれる。誰だろうか。慧音の知り合いがまた来たのか?

 

男「慧音さん! 慧音さんはいないか!」

 

 ⋯⋯そういう訳ではなさそうだな。どうやらただ事ではないようで、俺達は玄関に向かった。

 

 玄関の前にいたのは、走ってきたのだろうか。息を切らしながら立っている人間の男だった。

 

慧音「どうした、そんな息を切らして」

 

男「妖怪が人里の前に押し寄せてきたんだ! それも一人や二人じゃない! 数十の妖怪達が『白い狐を出せ。出さないと人里を潰す』と叫んでいて⋯⋯!」

 

 ⋯⋯慧音に絡んでいた妖怪達が仲間を連れてきたのか。白い狐とは確実に俺の事だろうな。

 

慧音「もしかして、先程の奴らが⋯⋯?」

 

雪「だろうな。頭を冷やしてもらおうとしたんだが駄目だった様だな」

 

妹紅「おい、そんな悠長に話してる場合じゃないだろ! 早く行かないと里が襲われる!」

 

 妹紅はそう叫ぶと慧音の家を出ようとする。俺は妹紅の肩を掴んでそれを止めた。

 

妹紅「うわっ! な、何するんだよ雪!」

 

雪「まあ落ち着け。今回は俺のせいで起きた事だ。俺が倒してくる」

 

慧音「で、でも数十の妖怪ですよ!? 幾ら何でも⋯⋯」

 

雪「なに、数十程度の数など朝飯前さ。ああそうだ。妖怪を倒したら別の場所にも行ってくる。また今度話そう。じゃあな」

 

 そう言うと慧音の家を出て妖怪がいると言う方面に向かう。そして人里を出ると多数の妖怪がそこに立っていた。

 

妖怪A「やっと来やがったな!」

 

妖怪B「さっきは良くもやってくれやがったなクソ野郎!」

 

雪「俺に何の用だ」

 

妖怪C「さっきの礼をしに来てやったんだよ! お前ら、やっちまうぞ!」

 

 そう妖怪が叫ぶと、周りの者達が俺に襲い掛かってくる。俺は一つため息を吐くと、足を一歩踏み込んだ。

 

 すると辺りの地面が凍り付き、周りの妖怪達の動きを止める。ああ、勿論殺してはいない。流石に幻想郷に来て数日で誰かの命を取りたくないからな。

 

妖怪A「な、な⋯⋯」

 

雪「さて、これで実力差が分かったか? 何も人里に来るなとは言ってない。幻想郷のルールには少しだけでも従えと言ってるんだ。紫にも目は付けられたくないだろう?」

 

妖怪B「ゆ、紫って⋯⋯あの!?」

 

 紫の名を出すと妖怪達は顔を青くする。どうやら俺が来る前、幻想郷の『人里で人間を襲わない』というルールを破った妖怪が紫によって酷い制裁を受けたらしい。それ以降、大半の者は紫に恐れを抱いてるそうだ。

 

妖怪C「ヒッ! す、すいませんでしたぁああああ!」

 

 俺が氷を解くと同時に妖怪達は我先にと一目散に逃げていく。何とも情けない。昔の妖怪ならあんな風に滑稽な逃げ方はしなかった筈だが⋯⋯。

 

 後に紫から聞いた話だが、幻想郷は人間と妖怪の数的バランスを崩さない為に食料係と呼ばれる者が支給する食料をただ食べるという生活で、妖怪全体に無気力化が進んでいるらしい。だからあんな風に情けない姿になっているとのことだ。

 

雪「⋯⋯今後、何か打開策でも考えないとな」

 

 俺はそう呟くと地図を開き人里を離れる。さて、次はどこに行こうか。

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