東方 白狐伝   作:蛸夜鬼の分身

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第五話 月面移住計画と⋯⋯

『月面移住計画』

 

 この計画は数年前に提案、推し進められる事になった計画で、その名の通り今の都市を捨てて月面に移住するという馬鹿げた計画だ。

 

 現在地上では穢れと呼ばれるものと妖怪の活発化によって人間は過去最多の死亡率となっている。なので地上に住むのはこれ以上は危険だろうと計画された。

 

 今は軍の科学者が総動員してロケットの建造を進めている。永琳が設計しているので安心はしているのだが⋯⋯

 

雪「月に行ってからどうするんだ? 資源も酸素も無いんだぞ」

 

永琳「知らないわよ。そこら辺は担当の人達に任せるしかないわね」

 

 俺と永琳は呆れながら昼食を食べる⋯⋯って、何か昼飯の描写多くないか? まあ良いか。

 

永琳「そういえば雪、月読様が呼んでたわよ」

 

 月読様というのはこの都市を統治している神で、名前で分かると思うが日本を代表する三大神の一柱だ。何故この都市にいるのかは謎だが。

 

雪「月読様が? 俺に何の用だ」

 

永琳「さあ? 詳しくは聞かされてないわ。何でも貴方に頼みたい事があるらしいけど」

 

雪「⋯⋯分かった。飯食ったら行く事にする」

 

 俺は弁当を早々と食べ終えると、月読様の元へと向かった。

 

~白狐移動中~

 

雪「月読様、雪です」

 

月読「入れ」

 

 俺は月読様の部屋に入る。中には月読様と数人の召使いらしき者がいた。

 

月読「来たか⋯⋯お前達、一度部屋を出ていってくれ」

 

召使い「畏まりました」

 

 月読は召使い達を部屋から出ていかせると、俺の方を見る。

 

月読「さて⋯⋯もう敬語は使わなくて良いぞ、雪」

 

雪「⋯⋯二人だけで話すとは相当重要な話らしいな」

 

 俺は敬語を崩して普通に話し掛ける。彼女、月読は俺の正体を知っている数少ない人物の一人だ。俺が白狐である事も、そして転生者である事も知っている。まあ、白狐である事だけは永琳とあの門番も知ってるがな。

 

雪「で、俺を呼び出したのは何でだ?」

 

月読「まあ待て、順を追って説明しよう。まずこれは都市全体に知らせる事だが⋯⋯一週間後、大陸全土から妖怪が攻め込んでくる」

 

雪「⋯⋯ほう」

 

 大陸全土から妖怪が⋯⋯しかも一週間後と来たか。最悪だな。

 

 何故かと言うと、一週間後はロケットが発射される日だ。そして大陸全土から妖怪が集まっている⋯⋯恐らく、百や千じゃ足りない数の妖怪が攻め込んでくる。こんな偶然を最悪と言わずに何と言おうか。

 

月読「一応軍には迎撃する様に頼むが軍の半分が参加すれば良い方だろう⋯⋯そこでお前だ」

 

 月読は椅子から立ち上がると俺の前に立ち、頭を下げてきた。

 

月読「雪よ⋯⋯前に頼みがある」

 

雪「⋯⋯何だ」

 

月読「⋯⋯どうか、我々の為に─────」

 

 

 ─────死んでくれ。

 

 

~食堂~

 

雪「集まったか」

 

 月読の部屋から戻ってきた俺は勇也達を呼び集めた。今回は軽口を叩く雰囲気じゃないのが分かったのか、勇也も神妙な面持ちだ。

 

明理「隊長、大事な話とは?」

 

依姫「月面移住計画についてですか?」

 

雪「ああ。恐らく明日にでも都市全体に知らされるだろうが⋯⋯計画当日、大陸全土から妖怪が攻め込んでくる」

 

三人「「「っ!?」」」

 

 あまりの事に三人は言葉を失った。当たり前か⋯⋯想像も出来ない数の妖怪が攻め込んでくるのだから。

 

雪「軍はロケット発射までの時間を稼ぐ。参加は自由だ。お前達はどうする?」

 

 三人は暫く考える素振りを見せる。そして

 

勇也「俺はやるっスよ。ロケットには親父やお袋が乗るんだ。逃げてなんかいられねぇっス」

 

 と、勇也が言ったのを皮切りに

 

明理「そうですね。私が軍に入ったのは皆を守る為ですから⋯⋯それなのに逃げたら、一生悔やむ事になるので」

 

依姫「私もやります。皆さんが戦うのに逃げてなんかいられません」

 

 明理と依姫も決意に満ちた表情をする。

 

雪「本当に良いのか? 今度は死ぬかもしれないんだぞ?」

 

勇也「大丈夫っスよ! 隊長がいるんスから!」

 

明理「それに今までだって死ぬ可能性はありました。今回はその確率が高くなるだけです」

 

依姫「何を言われようと、私達の思いは変わりませんよ?」

 

雪「そう、か⋯⋯」

 

 本当は参加してほしくなかったんだけどな⋯⋯しょうがないか。

 

雪「じゃあ俺からの命令だ。絶対に死ぬんじゃないぞ?」

 

三人「「「了解!」」」

 

 俺の言葉を聞いた三人は頼もしいくらいの返事をする。頼もしいな⋯⋯。

 

 これなら、俺がいなくなってもきっと大丈夫だ。

 

 次の日、月読が都市全体に妖怪襲撃を連絡。軍は月読の予想通り半分程度が参加する事になった。

 

 そして遂に、俺達は一週間後を迎えた。

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