東方 白狐伝   作:蛸夜鬼の分身

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第六話 幻想郷巡り 太陽の畑

 永遠亭にて、永琳達と食事をしたその翌日。俺はまた別の場所にやって来ていた。

 

雪「⋯⋯ここも懐かしいな」

 

 俺の目の前には美しい向日葵畑が広がっている。ここは太陽の畑と呼ばれる場所だ。こんなにも美しい向日葵畑だが、人里の者達からは『恐ろしく無慈悲な妖怪が住む』と恐れられている。

 

 また、この太陽の畑近くには無名の丘と呼ばれる場所がある。そこは向日葵ではなく鈴蘭畑が並んでおり、これまた美しいらしい。今は夏で、鈴蘭の季節は過ぎていて見れないのが惜しいが。

 

 そして俺は太陽の畑の中を歩く。辺りには向日葵妖精が楽しそうに飛んでおり、時折流れる微風が心地良い。

 

雪「む、居たか」

 

 先を進んでいると知り合いの後ろ姿が見えてくる。どうやら他にも二人程と話をしている様だ。

 

 近付くと彼女も気付いた様で、人間の頭が吹き飛ぶんじゃないかと思うくらいの勢いで日傘を振るってくる。俺はそれを後ろに飛んで回避した。

 

雪「危ないな。数百年ぶりの相手に随分な挨拶じゃないか⋯⋯幽香?」

 

幽香「あら、避けられたんだから良いじゃない⋯⋯雪?」

 

 幽香はクスクスと笑いながら日傘を下ろす。俺はそんな様子の幽香を見てため息を吐いた。昔から全く変わってないな、コイツは⋯⋯。

 

雪「まあ良い⋯⋯ところで後ろの二人は? 随分と幼いが⋯⋯人間ではないようだな」

 

 俺は幽香の後ろにいる少女達に目を向ける。一人はウェーブの掛かった金髪の少女。もう一人は頭から虫の様な触角が生えたボーイッシュな少女だ。

 

幽香「この子達は私の話相手よ。それ以上でもそれ以下でもないわ」

 

雪「ふむ⋯⋯」

 

 二人に目を向けるとそうは思っていなかったらしく、驚いている様な表情で幽香を見ている。

 

雪「二人はそんな風に思っていない様だが?」

 

金髪「そ、そうだよ幽香! いっつも私達に優しくしてくれてたのに! あれは嘘だって言うの!?」

 

虫少女「そうですよ! 私が道端で倒れてた時に家に連れてって看てくれてたじゃないですか!」

 

幽香「ちょっと黙りなさいメディスン、リグル」

 

雪「ほう」

 

 まさか幽香にそんな一面があるとは。まさか子供好きか? いつもの様子とは想像もつかないな。

 

雪「二人とも、その話を詳しく聞かせてもらえないか? ああ、俺の名前は狐塚 雪という。二人はメディスンとリグルだったな?」

 

メディスン「ええ、良いわよ! そして私の名前は『メディスン・メランコリー』。この近くでスーさんの丘で暮らしてるわ」

 

雪「スーさん⋯⋯?」

 

リグル「『リグル・ナイトバグ』です。メディスンさんの言っているスーさんとは鈴蘭の事ですね」

 

雪「なる程」

 

 つまりメディスンは無名の丘に住んでいる訳か。しかし鈴蘭は毒花。こんな幼い少女がそこに住んでいて危なくないのだろうか?

 

幽香「メディスンは人形だし、能力も『毒を操る程度の能力』だから鈴蘭の毒は効かないわよ」

 

 すると俺の考えを読んだかの様に幽香がメディスンについて話す。ふむ、人形か⋯⋯付喪神の一種だろうか。

 

 そうなるとリグルの種族も気になる。触角が生えているし、マントもどことなく羽の様に見えるから虫の妖怪なのは間違いないだろう。

 

雪「⋯⋯リグルは、もしや蛍の妖怪か?」

 

リグル「は、はい! よく分かりましたね!」

 

雪「長年の勘だな。これでも色々な妖怪は見てきているからな」

 

 そう答えるとリグルとメディスンはキラキラと尊敬の眼差しで俺を見てくる⋯⋯実を言うと、リグルの名前に助けられたから少し良心が痛むな。

 

 リグルの本名にある『ナイトバグ』は日本語で蛍を意味する。もしやと思って言ってみたが、まさか合っていたとは。

 

幽香「長年の勘、ねぇ?」

 

雪「幽香、少し黙っててくれないか」

 

 どうやら幽香は嘘と気付いた様で、クスリと笑いながら俺を見る。幽香の勘、異様に鋭くないか?

 

幽香「ま、良いわ。ところで雪」

 

雪「何だ?」

 

幽香「折角だし、一戦交えない?」

 

雪「⋯⋯二人がいるのにか?」

 

幽香「ええ」

 

 ⋯⋯逃げられそうにもないか。俺はため息を吐くと渋々頷く。それを見た幽香はとても楽しそうに微笑んだ。戦闘狂な友人も考え物だな。

 

 その後、幽香と数百年振りの組み手を行った。二人は少し離れていた所で観戦していたんだがどうやら流れ弾が当たった様で、目立った外傷は無かったものの伸びてしまっていた。悪い事をしたな⋯⋯。

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