東方 白狐伝   作:蛸夜鬼の分身

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第十一話 幻想郷巡り 魔法の森

雪「⋯⋯空気が悪いな」

 

 ここは魔法の森。まるで原生林かの様に湿度が高く、化け物茸による胞子が混じった瘴気が漂う森だ。

 

 この瘴気のせいで人間が踏み入ればすぐに体調を崩すらしい。しかも妖怪にも居心地が悪いから、妖怪すら踏み入れないときた。

 

 俺には何の影響もないみたいだが、こんな空気の悪い場所に住みたくはないな。だが一応見ていこう。そう思って先に進もうとすると

 

?「わっ!」

 

雪「おっと」

 

 後ろから誰かがぶつかる。誰だと思い振り返ると、咲夜くらいの金髪の少女が尻餅をついていた。その背中には大量の荷物を背負っている。

 

?「イテテ⋯⋯おい、危ないだろ!」

 

雪「悪い。大丈夫か?」

 

 俺は少女に手を差し出す。少女は俺の手を取り立ち上がると、服に付いた埃を払った。

 

?「まったく⋯⋯アンタ、こんな所で突っ立って何してるんだ? ここに住んでる奴じゃないだろ?」

 

雪「ん、ああ。家の土地を探しがてら幻想郷を巡っていてな。それでここに来たんだが⋯⋯と、悪い。名乗ってなかったな。俺は狐塚 雪だ」

 

?「私は『霧雨(きりさめ) 魔理沙(まりさ)』。普通の魔法使い⋯⋯に、なる予定の人間だ!」

 

 魔理沙はそう言って胸を張る。ふむ、魔法使いか。だが人間と言ってる辺り純粋な魔法使いではないのだろう。

 

 パチュリーから聞いたのだが、魔法使いになる為には捨虫の術と捨食の術とやらを使うらしい。捨虫は不老となり、捨食は食事と睡眠を取る必要が無くなるとの事だ。別に使わなくても良いが、魔法習得には普通の寿命では足りないとの事だ。

 

魔理沙「家の土地を探してるって言ったか? 魔法使いになるつもりが無いならここは止めといた方が良いぜ?」

 

雪「ああ。ここは俺も止めようと思ってた所だ。空気が悪いのでな」

 

魔理沙「そっか。っと、急がなきゃならないんだった!」

 

 魔理沙はそう言うと魔法の森に入っていく。だが荷物が多く足取りが覚束ない。背負っている荷物からはポロポロと物を落としている。

 

雪「魔理沙、荷物を運ぶのを手伝おう」

 

魔理沙「そうか? 助かるんだぜ」

 

 俺は魔理沙から荷物を受け取ると魔法の森に入っていく。暫く歩くと大きな看板が掛かった建物が見えてきた。

 

 看板には『香霖堂』とあって、店周辺には『止まれ』の標識やら少しボロいベンチやら、信楽焼の狸やらが置かれている。

 

 どうやら外の世界の物が置かれている様だがどうしてこんな物が⋯⋯そういえば魔法の森近くに無縁塚と呼ばれる場所があるらしいな。そこに外の世界の物が流れ着くとか⋯⋯そこから拾ってきているのか?

 

魔理沙「香霖、お邪魔するぜー!」

 

?「ああ、いらっしゃい魔理沙⋯⋯と、そこの彼は?」

 

 魔理沙がズカズカと店内に入ったのでそれに続くと、奥の方に銀髪で眼鏡を掛けた男性が座っている。

 

?「僕は『森近(もりちか) 霖之助(りんのすけ)』。ここ、香霖堂の半妖店主だよ」

 

雪「狐塚 雪だ。ここには外の世界の物が多い様だが」

 

霖之助「ここは何でも揃う道具屋だからね。普通の道具から魔道具、冥界の道具、外の道具⋯⋯道具なら何でも扱う店さ。まあ、基本的に拾い物だけどね」

 

雪「ほう⋯⋯」

 

魔理沙「香霖! また色々と拾ってきたぜ!」

 

 魔理沙は背負っている荷物を霖之助の前に広げる。何の荷物かと思っていたがここに置く売り物だったのか。

 

 魔理沙と霖之助がやり取りをしている間、俺は店内を物色する。成る程、確かに色々な道具が揃っている。だが値札が付いてないのは何故だろうか。

 

雪「うん? これは⋯⋯」

 

 すると無造作に積まれていたガラクタ⋯⋯商品もといの中から一つ気になる物を見つける。黒い金属の塊。形は“く”の字に曲がっている。持ち手には引き金の様な物が付いている。

 

雪「⋯⋯銃まであるのか」

 

 典型的な拳銃⋯⋯警察が使うニューナンブの様な銃の様だ。警察銃は殺傷力が最低まで下げられているが、それでも危険な代物だろう。どうやら弾丸まで入っている様で、五発入る弾倉の中に四発入っている。

 

霖之助「おや、何か気になる物があったのかい?」

 

 すると魔理沙とのやり取りが終わったのか霖之助が話し掛けてくる。

 

雪「い、いや。所で霖之助は外の道具の知識があるのか? 色々と置かれているが」

 

霖之助「ああ、僕は『道具の名前と用途が判る程度の能力』を持っているからね。ただどう使うのかは分からないけど」

 

魔理沙「因みに香霖は道具とかも作れるんだぜ! このミニ八卦路も香霖が作ったんだ!」

 

 そう言って魔理沙は八角形の小さな道具を取り出す。何でも魔理沙を心配した霖之助が渡したマジックアイテムで、山一つを焼き払う火から小さなとろ火まで火力調整が可能な道具の様だ。

 

 霖之助はどうやらマジックアイテムの作成技術や魔術的な知識、特殊な金属をも難なく加工する冶金技術他色々と出来るらしいな。

 

 それと二人の関係について気になったのだが、どうやら霖之助は魔理沙の父親が経営する道具屋で修行していたらしい。魔理沙は赤子の頃から知っているとの事だ。

 

 それにしても道具が作れるのか⋯⋯よし。

 

雪「なあ霖之助。一つ頼み事があるのだが⋯⋯俺は今家の土地を探していてな。後々家具が必要になるのだが⋯⋯」

 

霖之助「それを作って欲しいって? 構わないけど、それなりに値は張るよ?」

 

雪「勿論相応の金は払う。後は⋯⋯これでも外の道具を扱えるのでな。気になる道具の使用方法を教えよう。どうだ?」

 

霖之助「そういう事なら」

 

 その後、魔理沙にちょっかいを掛けられながらも霖之助と多少の話し合いをした後店を出る。かなり有意義な話し合いが出来た。家を建てるのがまた一層楽しみになったな。

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