東方 白狐伝   作:蛸夜鬼の分身

73 / 76
第三話 門番とメイド長

雪「着いたぞ。紅魔館だ」

 

ルーミア「真っ赤なのだ~」

 

 チルノ達と別れ、紅魔館の前までやって来た俺は一度ルーミアを下ろす。

 

ルーミア「この大きな建物でご飯作ってくれるのか~?」

 

雪「ああ。ちょっと待っていろ」

 

 俺は門の前までやって来ると、地面に倒れている(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)門番を揺すった。

 

雪「おい美鈴。大丈夫か?」

 

美鈴「う、う~ん⋯⋯」

 

 美鈴は目を覚ますと顔を顰めながら立ち上がる。どうやら霊夢か魔理沙に弾幕ごっこで負けた様だな。体の所々が傷付いている。

 

美鈴「あ、雪さん。こんにちは⋯⋯いてて⋯⋯」

 

雪「こっぴどくやられたな。紅白の巫女か、白黒の魔法使いか?」

 

美鈴「はい⋯⋯というか、両方ですね。どうやら弾幕ごっこは私に合わないみたいで⋯⋯」

 

 まあ、美鈴は武術の腕前を見込まれて門番に雇われたからな。弾幕ごっこといった、弾幕で勝負するのは専門外なのだろう。

 

雪「包帯や絆創膏を持っているから、応急処置だが巻いといてやろう」

 

美鈴「ありがとうございます。でも私は妖怪ですから、この程度の怪我はすぐ治りますよ?」

 

雪「それでもだ」

 

 俺は美鈴の腕や足に消毒をしてから包帯を巻く。これで化膿する心配も無くなっただろう。

 

美鈴「⋯⋯雪さん、もしかして出歩くときはいつも包帯とか持ってるんですか?」

 

雪「ああ。昔から友人に口煩く言われてたからな」

 

 防衛軍に所属していた時から、永琳に「何があるか分からないから一応包帯とかは持っていて」と言われ続けていたからな。すっかり癖になってしまった。

 

雪「⋯⋯こんなものか。この騒動が終わったら、咲夜にでもちゃんとした処置をしてもらった方が良いだろう」

 

美鈴「分かりました。所で雪さんは何で紅魔館に?」

 

雪「巫女の保護者役だ。それと⋯⋯」

 

 俺は振り向いてルーミアに手招きをする。ルーミアはそれに気付くとトテトテとこちらに近付いて俺の背中にしがみ付いた⋯⋯妙に懐かれたな。何だか餌付けした様な気分で複雑だ。

 

雪「コイツに飯を食わせたくてな。美鈴、すまないが館に入れてくれないか?」

 

美鈴「え~っと、お嬢様に侵入者は誰も入れるなと⋯⋯あ、でも雪さんの場合は侵入者じゃないですよね」

 

 美鈴は一人で解決すると門を開いた。

 

美鈴「どうぞお入り下さい。あ、妖精メイドのみんなには気を付けてくださいね。やられる事は無いと思いますが、みんな気が立ってるので」

 

雪「ああ、分かった。また今度礼をする」

 

 そう言って俺とルーミアは紅魔館の中に入る。しかし美鈴も苦労している様だな。何か今度、礼になるものでも探すとするか。

 

~白狐移動中~

 

雪「さて、キッチンは⋯⋯」

 

ルーミア「まだなのか~?」

 

雪「もう少し待っていてくれ」

 

 確かこっちがキッチン⋯⋯だった筈なんだが。うむ⋯⋯まさかまた迷ったか?

 

 そんな事を考えていると後ろから誰かの足音が聞こえる。振り向くとそこには少しボロボロになった咲夜が立っていた。傷は⋯⋯自分で処置しているな。

 

咲夜「こんにちは、雪さん」

 

雪「ああ。そんなボロボロになってどうした。紅白巫女か白黒の魔法使いにやられたか」

 

咲夜「白黒は知りませんが⋯⋯博霊の巫女にやられましたよ。まさか時間停止をすぐに見破られるとは思いませんでした」

 

 ほう、咲夜の能力を見破ったのか。霊夢はあまり努力や鍛錬といった事はしてないようだったが⋯⋯どうやら天性の才があるようだな。

 

咲夜「して、雪さんはどうして紅魔館に? それと⋯⋯その妖怪は?」

 

雪「本当は霊夢の保護者役で来たんだが、途中腹を空かしたルーミアと会ってな。すまないが食料と、キッチンを貸してくれないか?」

 

咲夜「分かりました。キッチンへ案内します」

 

 そして咲夜に連れられてキッチンへ案内される。ついでに近くにある食料庫から少しの食料を貰い、料理を作り始める。

 

 どうやらルーミアはかなり食うらしいから、簡単に作れる腹に溜まる物が良いだろう。そう考えた俺は早速料理を始める。

 

 まずトマトと茄子を輪切りに。茄子は水にさらしてアク抜き。アク抜きの間にミートソース作りだ。玉葱をみじん切りにし、フライパンに油をひいて鶏挽き肉を炒める。

 

 挽き肉に火が通ったら玉葱を入れて塩コショウを振り更に炒める。全体に火が通ったらケチャップ、中濃ソース、コンソメ、水を入れ、軽く混ぜて弱火で放置。

 

 放置してる間に別のフライパンに油をひいて中火でアク抜きした茄子を炒める。茄子に火が通ったらトマトと先程作ったミートソースを加え、和える。

 

 全体に火が通ったらピザ用チーズをある程度振りかけ、蓋をして弱火で二~三分煮詰めれば完成だ。

 

雪「ほらルーミア。茄子とトマトのミートソース煮だ。たっぷり食え」

 

ルーミア「待ちくたびれたのだ~! いただきま~す!」

 

雪「咲夜はどうする?」

 

咲夜「⋯⋯いただきます」

 

 俺は料理を三人分取り分け、キッチンにあるテーブルで食べ始める。まず一口⋯⋯うん、簡単に作った料理だがそこそこの味じゃないだろうか。

 

ルーミア「ん~! 美味しいのだ~!」

 

咲夜「美味しいです。今度レシピを教えてくれますか?」

 

雪「ああ。今度この騒動が終わったらな」

 

 そんな事を話しながら料理を食べ終わると、どこからか衝撃と轟音が聞こえる。どうやら大図書館方面の様だが⋯⋯。

 

雪「すまない咲夜、ルーミアを頼む。少し様子を見てこよう」

 

咲夜「分かりました。お気をつけて」

 

雪「ルーミア。このメイドの言うことを聞いておけ」

 

ルーミア「は~い。モグモグ⋯⋯」

 

 ルーミアも心配無さそうだな。俺はキッチンを出ると音が聞こえた大図書館方面へと向かった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。