「(ん…?)」
目を開くとそこはなにもない…
いや、白という色しかない空間…
そこに何故か新はいた…
「ここって…」
この空間を見て新は驚いていた…
それもそうだ、だってここは…
「すみません、こちらの都合で呼ばせていただきました」
そう思っている新に、そう話しかけてきたのは一人の女性…
いや、女性というべきなのだろうか?
見た目が中性的だし、何よりも雰囲気が人間離れしている…
というか、こんな白しかないような空間で行動できる人はいないだろう…
「…えっと…ディオニューソスさん…でしたよね?」
「はい、そうですよ…改めてようこそ、株式会社アノヨ特殊転生課へ」
そう言うと、そのモノ…
ディオニューソスはにこりと笑うのであった…
________
ディオニューソス…
新を転生させた数多の神話の中で語られる神の一柱である…
もとはザグレウスと言う少年神だったのだが、とある出来事によりディオニューソスとして生まれ変わることになった…
その生まれ変わりという特殊な経験をしているため、死んだ生き物の魂の管理などをする株式会社アノヨの中でも特殊な部署である特殊転生課で働いている…
特殊転生課…その仕事は現世でいう神様転生と呼ばれることを行う部署で、転生特典を与えたり、転生者間の掲示板管理…
そして違法行為を行った転生者の駆除などを行うことを業務としている…
そんな部署に勤めているディオニューソスは、自身が担当した人物…
固導新に対して頭を下げていた
「この度は、記憶を戻すのが遅れてしまい、大変申し訳ありませんでした…」
自身が出したちゃぶ台に置いておいたお茶菓子の多賀城バナナを食べようとしていた新にそう言うディオニューソスに対して、新は…
「いや、気にしなくて良いよ?…でも、なんで遅れたの?」
―やっぱうめぇな、多賀城バナナ…
そう思いながらディオニューソスの趣味なのだろう…
暖かい黒豆茶を飲んで問いかける新に、ディオニューソスは改めて説明を行う…
「転生する際に言ったことを覚えているでしょうか?」
「?五歳になったら記憶が戻る…って奴だよな?」
はい、と頷くと、説明を始めた
「本来、その記憶が戻るのは五歳の誕生日の10日前後で自動的に行われるものなのですが、例外があるんです」
「例外?」
「同時期に本人が体調を崩したときです」
そうなると手動で行わなくてはいけないのだという…
其を聞いた新はそういえば…と何かを思い出していた
「俺が五歳になる頃に高熱を出して大変だった、って母から聞いたな?」
「はい…そのためこちらの操作でやらなくていけなかったのですが…」
同じ時期に別の世界で活動していた転生者が、別の世界を狙っていることを聞きつけ、それの対処に終われていたのだという…
「本来なら、すぐに終わる筈だったんですが、その…その方、その世界で信仰されていて、擬似的な神になっていたんですよね…」
「…人間って神になれるの?」
其を聞いた新の驚きの混じった問いになれますよ、と頷くディオニューソス…
聞くと、神様というのは概念に近いもので、人をはじめとした多くの生き物がこういう神なんだ、と信じ込むことで意識が芽生え、神として生まれるのだという…
「だから、人間の意識を核に、生き物達の思い…いわば信仰心ね?其を肉付けすれば神様になるのよ」
「成る程…で、その転生者はそうなっていたと?」
「そうなのよね…おまけに特典として前世の記憶を無くしていたから、私達神の力に恐れを感じないしで、かなり時間が…」
―そのせいであなたの状態に気付かなかったの…ごめんなさい…
改めてそう言うと頭を下げるディオニューソス…
「そう言うことなら仕方がないでしょう…」
「そういってくれるのはありがたいんだけだ、上がすごい怒ってるのよ…」
―こちらの都合で相手にご迷惑をかけてしまうなんて、わが社の恥だ!!
「なんて言って来てね…まぁ、確かにそうなんだけど…」
そう言うと遠い目をする神を見て、少し同情してしまう新であった…
______
「で、お詫びとして今から夢の中でだけでも修行をしてやれって指示されたのよ」
「修行を?」
キョトンとする新に、詳しく説明するディオニューソス
「だってあなた、今から始めるとしたらかなりじかんがかかるでしょ?…特典で才能貰ってるけど、どの程度貰ってるか解らないし」
「あぁ…確かに」
「取りあえず、夢の中限定だけど約五年間修行に付き合ってあげるわ」
宜しくね?
と、そういって笑うディオニューソスであった…
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