目が覚めたのは、それから三日後だった。
あのあと、あの部屋にはクィレルがいた、そしてターバンのなかにはヴォルデモートが。ハリーは臆することなく彼らと対峙し、クィレルを消滅させた。ダンブルドアとスネイプがきて説明をしたあたりまでは記憶にあるが……。
「はあいドラコ。ご機嫌麗しゅう」
「ハリー」
仕切られていたカーテンが開きハリーが現れる。
「って、実際にヴォルデモートと対峙した僕より寝込むってなんなの。ハリーはタフ。ドラコはナイーブってロンとハーマイオニーにからかわれたんだけど」
まっ、からかってくるぐらいにはみんな元気になったってことだよねー。
そういいながら、そばにあった椅子を寄せる。そしてあのあと会ったこと、ダンブルドアから告げられたことを詳細に教えてくれた。
「ハリーは、僕の知っているハリーなのか」
「その質問、どういう意味」
「きみは、ジェームス・シリウス・ポッターとアルバス・セブルス・ポッターとリリー・ルーナ・ポッターの父親のハリーか」
ハリーの動作がとまる。
「そういう君は、僕のかわいいアルバスの大親友のスコーピウスのお父さん?」
時が一瞬とまる。
「っはあああああああ!はやくいえ貴様!」
「まってまて、僕も整理がつかない。ちょっとまって、いやほら。同じ世界線の完全ちがう平行世界かもしれないから!もうすこし確認をしよう。アルバスとスコーピウスは正確には大親友かい?」
「…正確に言えば大親友ではない……。僕の職業は?」
「だよね。君の仕事は癒者だ。だけどマグルの大学もでていて医者の免許も持ってる」
「完全に私ではないか。」
っはあああああ?どういうことだ。どういうことだ。
目の前にいるハリーが僕の知っているハリーであった事実よりも、今までの僕たちの関係を考えて赤面する気持ちがまさる。
しばらく身悶えしたのち、自分たちには色々と確認しておかなければならないことに気づいた。
「なぁ、ハリー。先に死んだのはどっちだ」
「それを君がいう?ドラコだよ」
「だよね。私も私だと記憶している。たしかホグズミードでやられたんだよな」
「……そこか。」
「違うのか」
「ううん。そうだよ。ホグズミードで僕をかばったんだ」
「そうか、それで、あのときの『自己犠牲』の訴えにつながるのだな」
沈黙が流れる。きまずい。なんというかいろんな感情と考えがぐるぐるしてきまずい。
「うーん。僕たち無駄な一年過ごしたよね?」
「どういうことだ」
さきに沈黙をやぶったのはハリーだった。
僕は、返事をするのがやっとだ。
「だって、ドラコが僕の知ってるドラコならこんな回りくどいことしなくてもとっととクィレル倒しちゃえばよかったもん」
「よかったもん」
「透明マント手に入れたあたりでさ、『いくぞ!ドラコ!』とかいってクィレルに『喰らえ!母さんの愛の守り攻撃』とかいってかちこみにいって、そのまま賢者の石をゲットしにいけばよかったくない?」
「あ、あぁ」
「賢者の石あったらさー。色々できるじゃん?それこそ来るヴォルデモート戦にそなえて新兵器の作製とかさー。」
ぶつぶつとハリーは唱える。というか、饒舌すぎやしないか。キャラが崩壊している。「ハリー」そういってかれの腕を掴むと、動作がとまる。顔が…赤い。
「顔が、赤いな」
「えっ」
「僕も、少し照れている。ハリーとすごした一年間が、ふつうに友達のようで楽しかったからな。僕が望んでたものだった。」
「…おまえが照れると、逆に冷静になるわ」
「なんだと!」
「ははは!僕もだよ。僕も。こういう関係性があったんだなって思うと嬉しくてね。ついつい記憶がないのをいいことに甘えてしまった」
「記憶は、あったのだが」
「記憶は、あったね」
この一年間の互の失態は流そう「なかったことにしよう」と提案する。すると、何言ってるのときょとんとして表情のハリーがいた。
「なかったことにしないよ。僕はドラコのことが好きだから」
「はい?」
「せっかく築いたこの関係。僕はこの一年間通りすごすよ。ときどきは一緒にねようね!ドラコ!」
「はいぃ?」
ふふふ、といってハリーは立ち上がる。ロンとハーマイオニーも心配してた。君が目をさましたこと伝えておくからね。とウィンクされる。明日は学年度末パーティだよ。元気になったらおいでね。僕一人だから。そういって彼は逃げるようにさっていった。
色々と整理させなければならないことがある。しかし、それはまた今度にしよう。きっと寮杯はグリフィンドールが獲る。前回もそうだったのだ。あれ、今回はハリーがスリザリンだし、僕も一応加点対象では?つまり…そこまで巡らせたところで思考を放棄する。眠たい。とりあえず一年は終わったのだ。僕も彼も色々あったにせよ。無事にいきて一年を終わらせることができた。そして、僕はハリーと友達になった。ケンカなんてものもした。しかもあのハリーと。
僕にしては上場うまくやったのではないかと思う。目標クリアの一年だった。友達って大変だけど、なかなかスリリングだ。アステリア。なかなか僕は頑張っただろう。
***
汽車のコンパートメントの中は穏やかだった。
防音呪文あんど耳塞ぎの術を使い外部の音も入ってこないし、僕たちの会話も外にはもれない。ロンたちには申し訳ないが検知不可呪文もかけさせてもらった。
あれから、色々と自分たちの記憶を整理させた。
彼は、今年はドビーがきて散々だから、よくいって聞かせといてよ。と何度も何度もいっていた。「善処する」とアジアの曖昧な返事で返しておく。ハリーは不満そうだったが、あいつらの思考回路は読めないんだ。突拍子もないことをしでかす。
「そういえば、リドルの日記はマルフォイ家?」
「あぁ、それだが、探したけど、そのようなものは見つからなかったんだ。」
「まじ……。でもきっとこのままだと同じこと起こるよね」
「ひとつ、あてがある。エイブリー家が持ってるのではないかと僕は推測してる」
「なんでまた」
僕の推測といえど、ある意味の確信めいた物言いにハリーは疑問を投げてくる。残念ながら、九割型自信があるんだな。この考えには。僕は読んでいた本から顔をあげ、防音呪文がしっかりかかっていることを確認する。
「エイブリー家にな。僕の弟が養子にいってるんだ」
「っは!?」
あ、そっちタイプか。絶叫はしなかったな。
「たぶん。僕の黒歴史ハリーの邪魔もたぶんあいつがやってくると思うぞ」
「っいやいやいやいや聞いてない。聞いてないよ!?」
「言ってないからな。来年入学だ。性格、過去の僕のままだから。見かけに騙されないようにな」
ハリーが口をぱくぱくと動かす。
ふ。間抜けな顔。言ってなかったからな。わざと。前の世界にはいなかった存在だ。言うべき時が来たらいえばいいかと思っていたし、この顔がみたかった。くつくつと笑うとハリーが「ずるい!」と叫ぶ。ずるいとはなんだずるいとは、ある意味完全イレギュラーな存在なんだぞあいつは。動きに予測がつかない。
ブブっとポケットに入れていた物体が震える。
携帯電話を取り出すとそこには、ロンからのメッセージだった。
検知不可呪文をとくか。自分の居場所をうち、携帯を片付ける。
「それだって、ずるいよね。やけに君とロンの情報共有がはやいと思っていたんだ」とぶつぶついっているが無視だ。二年生は、なんだか大変な年になりそうだな。と本にまた視線を戻すのだった。
【賢者の石編 完結】
【秘密の部屋 or 賢者の石番外編に続く】