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玄関ホールで、ネビルとハーマイオニー、ロンが待っていた。フィルチももうすでにそこにいて、最後にきた僕を睨んできたが、遅れてはいない。怒られる筋はないと言わんばかりに平気な顔をして、駆け寄った。
ハグリットの小屋に行くまでの間、フィルチはいろいろなことをぶつぶつとつぶやいていた。そんな風に子供達を脅すようなこといわなくてもいいじゃんか。と思いながらも、これがかれの生きがいの一つなんだろうなと思ってため息だけをこぼす。本当しょうもない。
ハグリットと合流し、チーム分けだ。
今回は、僕とネビルとファング。そして、ロンとハーマイオニーとハグリッドでグループわけだった。さて、かわいそうなユニコーン探しという名目でかわいそうなヴォルデモートでも探しに行きますか!
当時のことを思い出して、一直線へその場所へむかう。
あの時は出会うまで額の傷はいたまなかったはずだが、と痛む額にイライラしていた。見つけた瞬間アバダりたい。でも分霊箱があるからどうせ無駄におわってしまう。
「ね、ねえハリーあれ……。」
ネビルが指差す方へ目をむけると、いた。ユニコーンだ。
死に伏したユニコーン。美しい彼らの、その見慣れない様子は、月明かりに助けられより恐ろしい妖艶さを醸し出していた。
一歩近づこうとするネビルを制止し、その奥を凝視する。
痛い。久しぶりの激痛がハリーに警鐘を鳴らす。いる。ヴォルデモートがそこに。
血を啜るその黒い影は、ゆっくりを顔をあげる。その姿にネビルは声を失い、後ずさりをする。ネビルとの距離ができたことを確認したハリーは杖をぎゅっと握りなおす。殺せないまでも、多少怪我をさせることができるかもしれない。
しかし、久ぶりの対面は思った以上の衝撃をハリーに与えたらしい。明確な答えがでないまま、膠着状態が続く。会うことはわかっていたのに、どうせ殺せないのだからスルー案件にすればいい。そう思っていたはずなのに、なぜか「こいつはここでやっておいたほうがいいじゃないか」という考えが拭えない。
心に決めて、杖をかざしたその瞬間。ネビルの「…ドラコ」という呟きに咄嗟に後ろを振りかる。その目を話した瞬間、ユニコーンの血をすする黒い影も消え去っていた。
「ハリー。ドラコが…!」
ネビルのもとに駆けつける。
そこには顔面蒼白のドラコが倒れていた。
いそいで、息を確認する。静かな上下運動を確認し、彼がただ気絶しただけのことに安堵する。ネビルに、「大丈夫?」と声をかけドラコのことは内緒にしておいて。と有無を言わさずに承諾させ、ハグリットたちのところに戻っていった。
***
まさか、ヴォルデモートとの遭遇でドラコが倒れるとは思わなかった。一瞬あの蛇頭になにかされたのかと焦ったけど、ただ気絶しただけだったのが不幸中の幸いだった。不幸?あそこにあいつがいると僕は知っていたのに、それは不幸なのだろうか。回避させることも回避させることも僕は知っていた。ネビルをつれ、ドラコの同行を許した僕は、彼らを危険にさらしただけだ。いくら前の世と同じように物事が展開しているとはいえ、何があるかわからない。あの時、ヴォウルデモートから、何かしらの攻撃があった可能性も否定はできないのだ。肝を冷やした。
僕は絶対にドラコを殺させはしないと、そのためにあいつを死喰い人にしないと決めているはずなのに、僕が危険にさらして一体どういうつもりなんだハリー・ポッター。
自分自身を責めていると、「ハリー」とドラコの声がした。
「ぅ…え。あ、ドラコ!起きたの!」
思わず、彼に抱きつく。不安そうな彼の様子に、我が子をあやすように背中をトントンと叩いた。やはり、聞かれるのはあの時のこと、「仕方ない」仕方ないよ。別にだれもドラコのことを臆病だなんて指さしたりしない。僕だって怖かったもん。大丈夫。大丈夫だよ。怖がるやめよ。
そう伝えて、僕はポケットから例のハンドクリームを出す。
僕がクリスマスプレゼントにドラコに渡したクリーム。彼は一度も使っている様子はなく、棚の中にずっと入っていた。せっかく作ったのに意味ないじゃん!とすこしはぶてていたから、ここぞとばかりにもってきた。丁寧に、馴染むように彼の手に塗りこんでいく。広がる百合の香りは上品で、ドラコに合う気がした。僕の母さんの名前。匂い。それをドラコにまとっていてほしいと、心の狭い僕は願っていた。
物音がしてみるとカーテンから顔をだしたのはロンだ。手にはチョコレートを持ってきている。謝りに来たのだな。と思って何も言わないでおくとドラコのほうから「ごめん」と謝っていた。
なぜか、つい悔しくて、握っていた手をぎゅっと握ってしまう。その僕の腕からはドラコからプレゼントされたブレスレットが見え隠れしていた。
***
「終わったー!」
テストが終了し、ロンと抱き合って喜びを全面に表現する。僕の隣のドラコと通りかかったハーマイオニーが呆れ顔でこちらを見ていた。うるさい!前回よりはこれでも断然にいいぞ!実技はそれなりできたし!座学だって落第点じゃないやい!魔法史だって、さすがにあそこまでドラコにテスト対策をしてもらっておいて赤点をとるほど失礼な僕ではない。かけるとこは書いたぞ。覚えているところは埋めたぞ!
それに、この一年での一大イベントはこのテストではない。このあと待ちうける来るヴォルデモートの再会なのだから。それさえクリアすれば、僕的にはこの一年はクリアだ!今回はどうせ序章にすぎないのだから、なにもできないしすることはない。ひょひょいとあいつの顔を触って賢者の石をまもればいいだけだ。
そうやって、気丈に振舞ってみるが、痛いものは痛かった。わかっていても痛みには耐えられないじゃんね!痛みを感じると同時にヴォルデモートのこと、そして前の世のことを思い出す。道中で死んでしまったもの、守りきれなかったもの、僕の「ために」死んでしまったもの。全部が全部僕のせいであるとは、思わない。その考えについては何度かハーマイオニーやドラコに怒られている。ドラコに関しては「何様だ」という嫌味のこもった麗しい表情付きで…。くそ
そういう日は、ドラコが気づいて僕を彼のベッドに誘ってくれた。クリームを塗ってもらって、二人で一緒に寝るのだ。「お休みハリー。何も心配することはない」そうやって優しく抱きしめてくれるから、僕は涙を彼に悟られないように「お休みドラコ。僕たちは大丈夫だ」と返すのだった。
そして、その日は突然来た。ハーマイオニーの「確認したいことがあるの」という言葉が一年生最終決戦への幕開けだった。
***
「ドラコ。これ、とける?」
僕は、スネイプ先生から出された試練の紙をドラコに渡す。
僕は、この問題はレベルが高すぎてとけない。当時のハーマイオニーが解けていた問題がとけないというのもなんとも情けない話だか、挑戦してみたけどやはりわからなかった。前回と同じ瓶とはかぎらない。
ドラコはすこし考えたあと「一番小さい瓶」と答えた。前回と同じ。か
「そう、じゃあ紫の炎をくぐって戻れるようにする薬はどれ?」
「それは、なんの質問だ。」
「ドラコは、それを飲んでハーマイオニーとロンと一緒にいてくれ。この先は僕ひとりで行く。」
「僕も一緒に行く」
「だめだ!」
何を馬鹿なことをっているんだ。向こうにはヴォルデモートがいるんだぞ。クィレルに寄生しているといっても、そこにあいつがいることには間違いない。ヴォルデモートに会って倒れたほどに、ショックを受けるドラコが耐えられるわけがない。
耐えられたとしても、僕がそれを許せない。
しかし、ドラコはドラコで強情だった。
信頼していないわけじゃない。君のことは信頼している。前の世でも大人になってからだけどあんなに仲良くなったんだ。君のことを信頼していないとあそこまで仲良くなるわけないじゃないか。それに、この一年間でより君のことがわかった。君がひどく友達思いで、世話好きで優しいやつだってこと。そんな君だから傷ついて欲しくないんだよ。わかってよ。
「僕は、君に死んで欲しくない。」
「同意だ。同じ言葉を君に返そう。君の亡骸を見る趣味は僕にはないぞ」
「……っ!」
「だから、二人でいって、二人で帰ろう。」
何かが切れる音がした。
二人でいって、二人で帰る。それを、君がいうのか、僕をおいてけぼりにした君が。僕を一人にした君が。僕を不幸せにした君が。「嘘つき」僕が次に呟いた言葉だった。
ドラコの嘘つき。二人でとかいって自分が犠牲になればいいとか考えているんだろう。僕がそんなことして喜ぶと思っているの!自己犠牲は美しくない。残されたもののことを考えろ!僕をおいていったくせに、僕が一人になっても「私がいる」っていったくせに、僕をおいていったのは君じゃないか。僕を一人にしないって、ずっとそばにいるっていってくれたくせに、裏切ったのはドラコだ。僕は残された。苦痛だった。嬉しくなかった。君に守られて、よかったなんて幸せだったなんて少しも思わなかった。そういうところまで考えが行かないドラコって、本当相変わらずすぎて反吐がでる。
あぁ、こっちのドラコに言ったって意味がないんだった。
そうだ。このドラコは僕のドラコじゃあない。
「もういい。勝手にすれば」
そうだ、勝手にすればいい。
僕は透明マントを彼に渡す。
わかった、好きにしろ。
けれども僕はお前を絶対に殺させない。
つぎこそは「僕が」「お前」を守って死んでやる。
そうして、久しぶりのヴォルデモートには、ドラコの怒りと八つ当たりで対応してしまった。そもそも、お前のせいでこんなことになってんだわ。賢者の石なんてだれがくれてやるかよ。三年後の復活の時をむしろ、覚えてろよ。
***
ドラコが目覚めない。
こいつ、本当に弱くないか精神。大丈夫かな。きっとロンでもこうならないぜ。今後のパーティに加えるの考えたほうがいいかな。後方支援と僕の親友要員でいてもらったほうがいいかな。とかぐつぐつ考えていたら、とんでもない爆弾落としやがった。なるほどそういうこと、そういうことできみはヴォルデモートがトラウマなのねって、ちょいまて。
「っはあああああああ!はやくいえ貴様!」
ドラコが絶叫する。てかまって貴様とかもはや僕のドラコ。
って僕だって叫びたいんだけど!
「まってまて、僕も整理がつかない。ちょっとまって、いやほら。同じ世界線の完全ちがう平行世界かもしれないから!もうすこし確認をしよう。アルバスとスコーピウスは正確には大親友かい?」
「…正確に言えば大親友ではない……。僕の職業は?」
「だよね。君の仕事は癒者だ。だけどマグルの大学もでていて医者の免許も持ってる」
「完全に私ではないか。」
ドラコ一人称私になってるよー。
だよね。そうだよね。たくさん平行世界があったとしても、純血嫡男のドラコくんが癒者で、そんでもってマグルで医療免許もってるなんてそんなチート、僕のドラコでしかないよね!!!!!!
いやいやいや、ちょっとまって、じゃああれらは?
僕に笑いかけて、抱きしめて怒って一緒に寝たドラコは僕のドラコってこと?プレイバック。めっちゃもったいないことした。思い出せあの時のドラコを思い出せあの幸福を……。
僕が必死にあの時そのときのことを考えていると、またもやドラコが爆弾発言をする。
「なぁ、ハリー。先に死んだのはどっちだ」
「それを君がいう?ドラコだよ」
「だよね。私も私だと記憶している。たしかホグズミードでやられたんだよな」
「……そこか。」
そこか。ついもらした言葉。ホグズミードが彼の記憶の彼の最後なのか。僕はその言葉を自分の中で繰り返す。覚えていないのも無理はない。それならば、それで話を通すまでだ。
そのあとは、お互い気づいてたら、この一年間もすこしスムーズに動けていたのではないか(なにせstage1だ。)とか、自分たちの前の世では考えられない関係性やあれやこれを話した。途中あいつが「なかったことにしよう」と提案するから。何言ってんだコイツ。と本気で思った。こっちの気持ち知ってんの?あ、知らないのかこいつ知る前に死んだから。
「なかったことにしないよ。僕はドラコのことが好きだから」
「はい?」
照れてる。どうせ、友情のことだと思ってるんだろうな。こいつ、友情に飢えてるから。しばらくはそれでいい。しばらくは、ね。来年はジニーもくるし再来年はアストリアが来る。そしてダンスパーティーだ。本当どうしてくれようか。
目の前のドラコがぼくのドラコなら、違うアプローチが必要になる。計画変更が余儀なくされる。君がぼくのドラコじゃないなら、大親友という立場でもいいかなって思ってた。だけどそうじゃない。これは正真正銘人生コンテニューだ。
***
僕は、ストレスフリーで帰りの汽車にのりこんだ。ドラコが検知不可呪文をかけたから、僕は防音呪文と耳塞ぎをかける。ゆっくりと話す間もなかったから、ここで二人の記憶の帳尻合わせだ。ドビーが散々だったことを思い出し、彼には再三どうにかしとけよ。と伝えておいた。
そうしたら来たよ。また爆弾発言
弟がいる。だと?しかも養子にいっているだと?
思考回路はショート寸前。叫ぶ脳内指令さえだせなかったぞ?
笑ってんじゃないドラコ!
そうか、エイブリー家が。
なるほど、彼の弟が前回のドラコポジション。また計画をかえなければな。と、ぼくの脳内は忙しかった。だから、気づかなかったのだ。こんなギリギリにいうドラコが悪いと今度八つ当たりをしておこう。ドビーがドビーではなく。違う屋敷しもべ妖精の可能性を。
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