第六話
ちなみに(もう「さて」と「ちなみに」は使い飽きた)サジッタには父上が「マルフォイ」に帰ってこいと言っていたことを伝えたが丁重にお断りされた。「ありがとうございます。クリスマスパーティーを欠席するのは、非常に心苦しいのですが義父もおりませんし,今期はホグワーツで過ごします」だそうだ。「僕は経験したことがないけれども、ホグワーツのクリスマスもなかなからしい」と付け加えてサジッタとの会話は終わりにした。
ロンにも一応伝えた。「すると、あー。ありがとうございますって伝えといてくれる。」と、アーサーさんと父上は未だに不仲だが、父上は僕がロンと仲良くしていることに、そんな目くじらは立てていない。「ちなみに、クリスマスプレゼントは何がいいか聞いておけ、だそうだが」と聞くと「いつも申し訳ない!本当はお古のものが新しくなるとうれしいけど、父さんが拗ねるんだよね。」「本音は」「杖」「正直だな」
こんな感じで、一応父上からの伝言を伝えた上で、ハリーとともにクリスマス休暇のために僕の家へむかった。
「前回もおもったけど、ありえないくらいきみの家でかいいし領地広いよね。無理こんなん。生まれも育ちも違いすぎる!君がアステリアと住んでた小高い丘のあの家のほうがめちゃくちゃ品がいいよ!」
「それはどうも、あれは全部アステリアの趣味だ。きっと天国で喜んでる」
「こっちのアステリアはまだ生きてるけどね!?」
興奮しているのか。普段のハリーと比べたらすこしうるさかった。そういえば、この家に招待したのは初めてだ。以前は招待というより…心が苦しくなったので、割愛させてもらう。ちなみに、姿くらましをすれば、一発で玄関だが父は未成年の僕たちが付き添い姿あらわしをすることを嫌がった。「自分たちがするのはいいのだが、適当なやつにまかせて万が一バラ消させてみろ。正気ではいられない」というのが父の主張だ。
ということで、最寄りから家までは車での移動であった。
玄関につくと母が嬉しそうに立っていた。
「おかえり。ドラコ。まぁ、あなたがハリーね。ドラコからたくさんはなしを聞いているわ」と二人をだき抱え「楽しんでいってね」と微笑んだ。余裕があるときの母上本当にうつくしいな。「ナルシッサさん、この時点では本当うつくしいな」同じことを思っていたようである。
「お世話になります。ハリー・ポッターです。ナルシッサさん。よろしくお願いします。」
「まぁ他人行儀に呼ばないで、シシーと呼んでくれると嬉しいわ。」
「シシーさんよろしくお願いします」
ハリーの緊張が、ひしひしと伝わる。前回のハリーにとっての母上は「こう」ではなかったことは息子の僕がよく知っている。母上は本来愛に溢れた優しい人なのだ。環境と状況は本当に人を変えてしまう。この幸せを、家族を最後まで守り抜きたい。
「何が好き?ドラコから甘いものが好きときいてたくさん用意したのよ。」
見れば、世界各国から取り寄せたのではないかと思うレベルのお菓子がそこにはならんでいた。さすが母上、やりすぎるレベルにやりすぎてくれる。チョコレートやキャンディはもちろんケーキもタルトスポンジパイ。カヌレもあれば、点心まで!ハリーがおろおろしながらこちらを見るので、椅子を引いてやってその隣に僕がすわった。
母上は嬉しそうに紅茶を入れる。大抵はハウスエルフがやるが、大切な客人がきたときは母上自らがいつも紅茶を入れていた。僕は、珍しくゴマ団子をみつけ、さらに移す。母上はあんこが好きではないらしくこういうときしかラインナップに入れてくれないのだ。
美味しそうに食べるハリーをみて、母上は嬉しそうに微笑んだ。
「本当にきれいな緑色の瞳なのね。お母様にそっくり」
「シシーさん、母のことを知っているんですか?」
「あら、リリーは有名人だったわ。」
食べていたケーキを落としそうになるハリーに、皿をナイスアシストした僕を褒めてくれ。
「あのっ、母のことを知りたいです」
母上は、学生時代のことを思い出していたのだろうか。すこし意識を飛ばしていたようだがすぐに返ってきた。
「あら、私に聞いても楽しくないわよ」
「それでもいいです」
そう?と母上は杖をひとふりして、僕たちのカップに紅茶を注ぎ足す・
「うーん。やっぱりリリーそっくり。そうね。リリーは優秀な生徒だったわ。真面目で正義感が強くて、いつもポッターたちを注意しては、幼馴染のことを守ってた。けれどもそうね、包み隠さず言うならば、当時のスリザリンとグリフィンドールでいくまさにグリフィンドール」って感じの子だったのよね。すこし偏見が強かった。その彼女の概ね正しい正義に救われた人もいれば、傷ついた人もいる。そんな感じかしらねー」
「シシーさんは、僕の母と、その、仲が良かった?」
「まぁまぁそれを聞いちゃうのね。かわいい。そうね。ある程度の関係はあった。といっておきましょうか。私とルシウスにとって、学校でおこる些細なことや諍いはどうでもいいことだった。グリフィンドールがスリザリンになにかしようと。スリザリンがグリフィンドールになにかしようと。まぁだからかわからないけどリリーにはなつかれてはいたわね」
「それで、」
ハリーはまだなにか聞きたそうだったが母上が「もうおしまいにしましょ。またいつでも答えてあげるし機会もあるわ。あなたがドラコの友人でいてくれるならね。」そういって杖ひとふりで目の前のお菓子たちは姿を消した。
「すこし休んだらお買いものにいきましょ!クリスマスプレゼント。子どもたちの分はルシウスに一人されちゃったの」
そういって、母上は着替えるために部屋をあとにする。隣で固まっているハリーを連れて僕の部屋に向かう。途中で意識をとりもどり「もっと早くシシーさんに会いたかった!」と叫んでいた。
「一応客間も用意しているが、どうする?僕の部屋でも構わない」
「きっとベッドもキングサイズで大きいんだろうなぁ。僕まだ12歳だからこんな大きいお屋敷の客間とか寂しくて泣きそう。是非ともドラコの部屋で」
「急にキャラ設定するな。了解」
そういって僕の部屋に通す。といっても、何も特別なものはおいていない簡素な部屋だ。「何もなさすぎて一周回って君らしすぎる!」と叫びながらクローゼットを開けて回っていた。「あぁ、そっちの壁のそのカーテンあけてもいいぞ」「なになに!ってただの本棚かよ!びっしりだな!この部屋!壁一面!?ハーマイオニー連れてきたら喜ぶんじゃないの!」ハリーは色々と僕の部屋を楽しそうに物色していた。
そのあとは、母上に連れられてクリスマスの買い物に出かけた。ある程度のものを買ったあとに「おもしろみがないわねぇ」と呟いて連れ出されたのはロンドンだった。
母上は僕とハリーにお揃いの万年筆を買ってくださった。そして、ハリーにはクリスマスパーティ用の服を一着誂え、僕には僕たっての希望でマグルの本を数冊かってもらう。「ロンウィーズリーの彼は何がいいと?」と聞かれたので「本当は杖が欲しいみたいなんですけど、両親に申し訳ないからといっていました。僕はペットなんてどうかなと思うのですが」と進言するが「ペットはあちらのご両親抜きにプレゼントできるものではないわ。でもそうね。私は箱入りの娘でそんな常識知らなかったことにしましょ。価格もみないみない」そういってダイアゴン横丁に戻ってくる。
相変わらずお茶目だ。ハリーと一緒にえらんだロンのペットはふくろうにした。スピックスコノハズク。小型で手乗りサイズだ。ロンのとおなじ赤毛のふくろう。手紙を届けるのはまだできないかもしれないが、スキャバーズの今後のことを思うと、今かわいいペットを手にしていてもバチは当たらないだろう。
そうして、サジッタへの大量のプレゼント(これはさきほどのロンドンでのプレゼントと合わせてホグワーツ直送にした。無理があるこの量は)を買って、帰宅かと思われたが母上が急に「忘れてた!」と叫ぶ。
「知ってるのよ!マグルの女の子!仲がいいでしょう!プレゼント買いましょう!」
女の子といえば服よね!と嬉しそうにしている。隣ではハリーが母上のテンションと今の状況についてこれずにまた放心仕掛けていた。さすがに、これ以上は、と思い「母上、グレンジャーのことですよね。また後日にしましょう。ゆっくり見たほうが素敵なものに出会えますよ」と声をかけた。「それもそうね」と納得し、やっと屋敷に戻ることができた。
父上も帰ってきて、その日は家族団らん。ゆっくりとすごし、就寝時間になる。用意されていた寝巻きに身を包みハリーはベッドにダイブする「もう、僕ここの子になる。」とかわけのわからないことをつぶやいていた。
「なに、君に両親。めちゃくちゃいい人だったんだけど!シシーさんは、みため美しいのに中身すごい乙女でかわいいし。ルシウスさんなんか、ドラコに似てただの紳士だった。知識も有って博学で。いーなー!」
「君に僕の両親のことを褒めてもらえるのは非常に嬉しいよ。あれが本来の両親なんだ」
「うん。そうだね。そうなんだよね!結局状況と環境はその人自身も変えちゃうってことだ。ダメだよあんないい人たちが、どっかの蛇頭のせいで、悲しい末路をたどるのは」
「あぁ。絶対にそうしない」
それからは母上のハーマイオニーのクリスマスプレゼント探しをしたり、クリスマスパーティーに参加したり、と楽しい日々をすごした。最終日に父上が可愛らしいバレッタをハーマイオニーあてにと、渡してきたのはびっくりした。さすがにこれは息子の僕もびっくりした。思わず「フィニートインカンターテム」とハリーと、確認をしてしまった。今回ばかりは僕もハリーと一緒に「女の子ってずるい!」と叫んでいた。
ちなみに、屋敷にはドビーがいたのだが、僕たちはすっかりそのことを忘れてクリスマス休暇を楽しんでいた。まぁそういうときもあるよな。僕のこの人生の目標、ハリーと友達になって謳歌するだし。と自分を慰めた。ハリーもまったく同じように自分を慰めていた。帰りのホグワーツ特急の中での話だった。
***
ホグワーツに戻ると、ハーマイオニーとロンに泣きながら怒られた。久しぶりの再会にそれはないんじゃないのかと思ったら「こんなこうかなクリスマスプレゼント貰えない!返せない!」ということだった。後ろでハリーは、「僕はこの展開予想できてた」とかつぶやいていた。いや、僕もそれなりに予想してたけど、泣くレベルか?
ハリーがふたりに寄り添って、「うんうん。怖かったね」となだめていた。なんだよこんちくしょう。
久しぶりの再開のあとは、懐かしのコミュニティールームですごした。まだ、戻ってきたせいとも斑で、コミュニティルームに人がいなかったからだ。
「ロン。おじ様にありがとうと伝えといて。また「ピロー」が手紙届けられるようになったら直接お礼いいますって」
「わ、私もお願いできるかしら。色んな色のワンピースとか服もあってびっくりしてるのだけど、えぇ、本当」
そんな、気にすることでもない。それはあの人たちの趣味みたいなものだ。「ネビル。父上に君のことも伝えておいたから今後、君にもなにか届くかも知れない。ただの趣味だから感謝して受け取っておいてくれるとたすかる」「ひぇ」
「ひぇ」とはなんだ「ひぇ」とは。
近況報告をある程度済ませてから、探し物の話にうつる。結論から言うと成果はゼロだった。どの寮にも侵入したが、見当たらなかったと。そもそも帰宅している生徒が多すぎて、もってかえっていたらその所在がつかめないし、完全ではない調査だという。空き教室とかもくまなく調べたけれどそれらしいものはなかったようだ。
「ふうむ。」とハリーは考えるようにしてつぶやく。
するとハーマイオニーが、「あ、でも一応連絡しておきたいことがあるの」と手を打った。なんでも直接サジッタに聴きに行ったそうだ。「あなたはドラコが継承者だと思う」と
「するとね、兄が継承者であればそれはそれで誇らしいですが、今は悪評もついてまわっていますからね。でも、『継承者』であることと『石化事件』を一緒に考えるのがそもそもの間違いなのかもしれません。そう思うと、やはり兄が継承者で、ただの愉快犯は別にいると考えたいのが僕の希望です。とまあだいたいそんな感じ。で言ったの。」
「おまえの弟ほんとゆるがねぇな」みたいな視線こっちに飛ばすのやめろ。
「なるほど、二つの事件を別々に捉えるというのはなかなか新しい見方だ」
「そう。継承者は継承者として別にいて、それに乗じてこんな事件を起こしている人がいるって考えたら、それはそれでなるほどって思っちゃったわ。」
それにしても、よくサジッタがそういう考えを教えてくれたな。と聞けば「図書室でときどき一緒になるのよ。」だそうだ。外では一切関わってこないが図書室では「マグルのおねえさま」と慕っているらしい。慕うならマグルじゃなくて名前を呼べなまえを。