こんにちはハリーです。今日も今日とて僕には手紙が一枚も来ません。ハーマイオニーやロンはいい。どうせドビーが手紙を差し押さえてるんだろう。けれども、ドラコ。お前は許さん。僕は、プリペット通りの住所を教えたのだ。なのに、なぜ、一枚も僕のところに手紙が届かないのだ?僕の、この、状況を、誰よりも、理解しているはずなのに!僕泣いちゃうよ!?
ドラコは僕の知っているドラコだったとわかったのは、一年生が終わることだった。遠回りをしていたのでは?という会話はとうにしたが、本当「それな」案件すぎて、笑い通り越して真顔だ。
はぁ、ドラコとの一年生もっと楽しみたかったな…。いや、楽しかったけどそうじゃなくて、僕のドラコだってわかってたらもっともっと楽しんだのに…。なんか損した気分。だけれども過ぎた一年間を嘆いても仕方ない。これから、これから!ってことで、僕は毎日ポストに手紙を確認しにきている。おかしくない?ありえなくない?
まぁ、それでもせめて誕生日には来るだろうと思っていた僕が、その考えが甘かったことを先に述べておこう。
ビビというハウスエルフがきたことは、ドビーがビビに変わっただけで僕とっては些細な問題なので割愛しておく。念の為にいっておくと、僕の人生にとって重要なことはドラコであり、そして僕の前回手に入らなかった学生時代の謳歌である。ヴォルデモートとかほんと、僕の人生の本筋ではない。
部屋がめちゃくちゃになろうが、バーノンおじさんが怒ろうが、「魔法不適正使用取締局」から連絡がこようが、なんてことはない。そうなったらひとりでダイアゴン横丁までいくし。姿表しでもなんでもしてドラコの家にいけばいいと思っていた。(この体になってからまだやってないけど)けれども、本当に大筋は変わらないんだよね…。と目の前の赤毛の友人のロンとその兄フレッドとジョージをみて僕はつぶやいていた。
そうして、僕は無事にあのかわいそうな家から脱出することができたのだった。ちなみに、やはりこの瞬間までドラコから手紙はこないし、この救出作戦にもドラコは参加していなかった。何かを察したロンが「僕はフレッドとジョージにまきこむなって言ったんだよ」と言っていたが。「ありがとう」とだけ微笑んで返しておいた。それはそれ、これはこれ。優しい友人をもったなドラコ。
「ハリー、誕生日おめでとう。これプレゼント」
ロンは、兄二人が運転する車の中でハリーにプレゼントを手渡す。ハリーは「そういえば。前回は誕生日の日じゃなかったな」と過去のことを思い出しながら、やはり、プレゼントというのはいくつになっても何回もらっても嬉しいな。と改めて感じた。
「うれしい!初めて誕生日プレゼントもらった!大切にするね!」
「よかった…って初めてなの!?」」
「そうだよ!どうせ僕のこときにかけてくれてるのはロンだけだしね!」
ハリーのめちゃくちゃ美しい笑顔にロンは全てを察する。ドラコの再教育のおかげで、ときどきは空気が読めるいい男に成長しているロンである。これは、ドラコから何もなかったことに怒っていることぐらいは、さすがに察しがついた。ドラコがハリー愛が重いのは知っているが、ハリーも大概だな。というのがロンの意見である。もちろんロンはハリーに「前の世」があったなんて知る由もないので「ハリーがドラコの毒牙にそまってしまった」というのも彼のもっている認識である。
「ドラコは直接渡すって言っていたよ」
「ふうん。」
「だから、君のことを忘れているわけでもないがしろにしているわけでもないよ!」
ウィーズリー家につく。前回同様にペナルティをモリーから言い渡されるロンとフレッドジョージを横目に、ハリーは丁寧に挨拶をする。今回は前回と違ってスリザリン生だけれども、快く受け入れてくれた。「疲れたでしょう」と椅子に促される。モリーの後ろに幼いジニーがいるのが見えた。
「昼ごろまでドラコもいたのよ。ロンの宿題をみてくれていたの」
「そうなんですね。もうすこし早くお邪魔できていたら…」
にっこりと、丁寧に返す。彼女の前では「いい自分」でいようと思うのはもう義理の母にたいする癖だ。うん。仕方ない仕方ない!そうして、目の前の懐かしさに、浸っているとうしろからロンに声をかけられた。
「ハリー!あいつ妹のジニーなんだ。」
「ジニー。可愛いね」
「はは。いつもならおしゃべりしてるのに、かわいいって言われてシャイになってる!あいつ、ドラコと一緒になってハリーオタクしてるから。君にあえて舞い上がってるのかも!」
そう、ジニー。僕にあえて舞い上がってくれるんだ。しかもそれをドラコと。ありえないような現実が目の前に広がっていることを実感する。ジニー。いつだってきみは勇敢だった。きっと、君もあの彼女のようにたくましく勇敢に、導くアテナのように。
「ハリー。僕の部屋で遊ぼう!ドラコに何か伝えたいことある?」
「ん?だいじょうぶ!ヘドウィグに頼んで、手紙もっていってもらったから!」
「そう?だったらいいか!なにして遊ぶ?」
またまた、こちらの光景も懐かしいな。寮が違ってロンと一緒に過ごす時間は前回と比べて全然なかった。だから、こんなふうに、遊べるとは思っていなかったのに…。うん。とりあえずは、いっか。薄情者のことはおいておいて、遊ぼうっと。
***
ロンの携帯がふるえる。その画面をみてロンは「うげえ」とわかりやすい反応をしていた。「どうしたの?」と聞くと「ドラコの弟。知ってる?サジッタっていうんだけど、あいつが来るって。そういえば、ジニーと同い年だった」と心底いやそうな顔で返ってきた。「ドラコに全然似てないんだ。」
「どんな弟なの?」
「似てないというか体面を取り繕おうとするいい子なところは同じなんだけど、すごい嫌味ったらしいやつ。多分頭がいいんだけど、それに自分で気づいてるタイプ。」
なるほど。それはロンと合わなさそうだね。といって笑ったら「それはそれでどういう意味だよ」と言われた。確かに、それもそうだ。ごめんロン。前回には存在しなかった人物に期待を抱きつつ、ロンの反応にいささか不安がよぎる。うーん。前回のドラコみたいな子だと思っていたのだけど、一筋縄では行かない感じなのかな。
そう警戒してであったドラコの弟サジッタ・エイブリーはなんともいえない、思考がぶっとんだ、狂気を孕んだ少年だった。つい、ドラコが僕にした仕打ち(誕生日を祝ってくれないとか、手紙を送ってくれないとか)全てを忘れてしまうほどだった。なるほど、これは曲者まさか大好きなドラコの弟にたいして「サイコパスかな!?」と叫ぶとは思っていなかった。
書店での初対面を果たし、ボクとドラコはカフェにきていた。
席に座るやいなや僕はサジッタのことをドラコにぶつける。似てない似てない!ドラコには全く似てない!見た目も全然似てない!安心して、全く違うから!そう思いながら「ドラコじっとしてて」といって彼を見つめる。美しいブロンドときれいなアイスグレーの瞳が僕を見つめる。どうしたと困惑した表情も本当にたまらなかった。この顔が好きだ。でもこの時代にこの表情が僕に向けられることはなかった。だから、今しっかりと堪能したいと持っても別にばちは当たらないだろう。
それからは近況報告を行った。主にはハウスエルフのことと、リドルの日記のことだ。書店でリドルの日記イベントは起こらなかった。しかし、「ビビ」というエイブリー家のハウスエルフが僕のところに現れた以上、前回とおなじリドルの日記騒動は動き出しているに違いない。どういうことだとうんうんうなるが、途中あきて、つい「リドルの日記って優先度低くない?」といったら当然のように「低くないだろう」と言われた。真面目か!
クリスマスに機会があれば、ウィルトシャーのお屋敷に遊びに行く話をして、僕は例の話に話題を移す。それは「僕の誕生日」についてだった。我はマンドレイク薬を所望するなり。
「作ってあるんだが、一人分だ」
「えー。そうなの?なんで」
「ほかの薬を作るのに使ってしまった。せっかくのマンドレイクだからな!こう、自分の中の欲望を収めきれなかった!」
「まぁいいよ!あっじゃぁさついでにお願いしたい薬もあるんだけど…」
「ほう、聞こうか。」
と、こんな感じで僕たちの二年生は幕を開ける。
***
はい。予定通り目の前の柱は塞がれておりホームに入れない現象発生。いやぁごめんロン。知ってて、君に先に行かせるような真似してごめんよ。謝罪の代わりにぶちまけた荷物整理しておくからドラコに連絡してくれるかな!
「わかった!」といってドラコに連絡をする。「あきらめようロン」と言っているのに何度も挑戦しようとするロンに僕は涙がでそうになった。「あぁなんて健気な少年なんだ…。」
申し訳ないけど、絶対無理。運命って変わらないようにできてるんだもんん。去年一年間で僕はそれを感じたし、ドラコも記憶を持っていて好きに動いていたっていうのに、物語の本筋は変わらなかったんだよ?無理無理あああああ、だからロン…。
そうしていたら颯爽とドラコが現れた。
が、それはホグワーツへの登校難民が一人増えただけだった。
前回と同じ提案(空飛ぶ車案)をするロンをなだめて、僕はドラコの指示でホグワーツにフクロウを飛ばす。誰宛にするかときいたら「お好きにどうぞ」と言われたのでお好きにした。きっとあいつは「ダンブルドア以外の誰がいるんだ」って思っているんだろうけど、僕はダンブルドアとは極力関わりたくないんだ。そして、できるだけスネイプ先生と仲良くしたい!ということで「スネイプ先生」宛にフクロウを飛ばした。学校以外で見るスネイプ先生って僕なにげ初じゃない?!楽しみ度が増してきたぞ!
コーヒーとベーグルをドラコから受け取って、ホグワーツの迎えはいったいどれくらいかかるのだろうか。と考える。キングクロス駅を出発して、ホグワーツにつくのは約5時間だ。そう考えると、それくらいの時間は僕たちも覚悟しておかなければならないのか、と気分が下がっていたところに、救世主。黒づくめのスネイプ先生が目の前に現れる。え!早くない!?さっすが先生!
「先生!はやい!さすが!ありがとう!」
と先生に飛びつこうとするも、するりとよけられてしまう。くそう。両手がふさがっていなければもっと俊敏にハグを狙いにいけたのに!は!このコーヒーのスネイプ先生に渡せばスキもできてハグもできるのでは!?という僕の名案は、ドラコに止められた。うううう。スネイプ先生、外でもその服なのですね。目立ちます。けど揺るがない先生がスキ。
そのまま付き添い姿現しで、ホグワーツに向かう。とりあえず、スネイプ先生の研究室までついていくことのだが、会話がない。ロンはあれから一言も口をきかないし、ドラコにいたっては何か考えてる様子だった。これは、どう説明したものかと考えているんだろうなぁ。真面目ないい子だ。こういうところがドラコの良さだと本当に思う。うん。説明面倒だから君に投げるね!
しかし、さすがのドラコも彼を納得させる説明はできていなかった。ロン視点で説明したとしても、原因も何もわからない。だからといって僕たちが知っていることを話すことも危険だ。中途半端に事実を知っている僕たちが、スネイプ先生が納得できるように説明するのは至難の技だった。ここはもう、この方法しかないだろう。
そうおもって僕は目頭ににギュっと力を込める。ローブも握り締め、うるうると先生に訴えかける。すると、先生はわかりやすく狼狽えて隣の私室へと消えていった。
「落ち着いたか」
「はい。すみません先生。パニックになってしまって」
「いや、いいのだ。確かに『わからない』ことほど不安になることはない。君たちにもわからない原因について、君たちを責めるように聞いた私がいけなかったのだ」
スネイプ先生が出してくれたお菓子を三人で食べる。最初は警戒していたロンも「ありがとうございます」といって手をつけていた。なかなか来ることもない、この地下室の研究室に彼は、キョロキョロと視線を動かしていた。
「そういえば、ポッター。君がクリスマスに作った水薬のハンドクリームがあっただろう。」
「あぁ!ドラコの為に作ったやつですね!」
「あれの作成をウィーズリーの双子にあげてもいいだろうか。レシピを彼らに見られてしまってな。事情を伝えたら「これは商売になる!」と言って制作したいといってきたのだ。制作するのは吾輩は構わないのだが、売り物にしようと考えているようでな。」
ロンは、頭にはてなを浮かべている。それもそうだ。双子の兄とスネイプが関わっているようなことを聞いたのだ。ロンは知らないが、実はあの双子とスネイプ先生は繋がっている。優秀な双子のもてあましている実力を悪戯ではなく、有用な方法で発揮しろ!といって研究室にひきずってきたのが始まりだそうだ。(ちなみにこのこと自体は一年生の頃双子と研究室で遭遇したときに聞いていた。)
「あぁ、大丈夫ですよ。僕はドラコの為にあれを作って、もうすでに彼にプレゼントしているので。それに、先生には申し訳ないですけど、調合が苦手な僕がアイディアもっているより、彼等のほうがより活用してくれそうですしね」
「では、そのように彼に伝えておく。」
「あ、ただし僕自身が無限に手作りすることは認めてくださいね。」
「もちろんだ。」
「でも、先生。生徒に校内でのそういう行為をお許しになるのですか?」
「校内?」
そういいながら先生はニヤリと笑う。あっ何も知らなかったことにします。はい。
マクゴナガル先生とハーマイオニーがロンを迎えに来たため、僕たちもそのまま寮に戻る。スリザリンのみんなは僕たちが汽車に乗っていなかったことについて特段聞いてくることもなく、この長期休暇の話題をしてそれぞれの自室に分かれた。
あぁ、疲れた。予測をしていたことでもあるし、特別事件が起こったわけでもない(実際、罰則も何もない。研究室で優雅に時間を潰しただけだ。)けれども、やはり、疲れた。こんな言ひは一人で寝たくない。ドラコに甘やかしてもらおうと、彼のベッドに入る。ぶつぶつ言っていたが、ただの振りだ。彼は僕を追い出すこともなく一緒の布団へいることを許してくれた。
が、それはこの話題のための前フリだったのだろうか。まさか、ジニーのことをこのタイミングで言われるとは思っていなかった。僕は!もう疲れてるんだ!その話よくない!?と思うが、それは出さずに彼の話に耳を傾ける。
あぁ、ジニーはかわいいし、以前と変わらない勇敢さを兼ね備えていると僕もわかった。けれどもドラコ。よく聞いてくれ。僕は、今回、ジニーは選ばないよ。僕はジニーを幸せにはできないから。僕は彼女を愛さないから。僕は彼女を傷つける。そして彼女も僕を傷つける。僕が幸せにしたいのはドラコだし、僕を幸せにしてくれるのも誰でもない。ドラコだよ。これは、約束したことなんだ。僕の人生で決まっていることなんだ。ドラコマルフォイを幸せにする。それが僕の存在意義で、ここにいる理由なんだ。
そんな思いを込めて、いや、隠してかな。僕がドラコに返した言葉は、どうぞ勘違いしてください。とでも言うかのようなないようだった。
「未来の奥さんじゃなくて、前の僕の奥さんだし、彼女を守るのは、君にとっても当然のことだろう」
さて、明日は二年生一日目、たのしい学校生活を過ごしましょうかね!