誕生日パーティは一応つつがなく進んでいた。
家のパーティではなくハリーのためのパーティだから、招待客はみんな学生である。夏休みに入ってから、初めて会うためか、色々話で盛り上がった。ネビルも招待されており、「君の祖母さんは大丈夫なのか?」と聞いたら「場所はいってないんだ。ハリーの誕生日会とだけ伝えた!」と言っていた。なるほど。強くなったな。
それでも、スリザリン生の中にいるのはいたたまれず(ロンとハーマイオニーが来れてないからなぁ)僕たちとずっと三人でいた。ハリーは途中にパンジー達三人衆に連れられて、奥のスペースに連れて行かれていた。一体今度は何をしたんだ。
「こんにちは。ドラコお兄様。」
ネビルと、この夏休みの話をしていると、可愛らしいワンピースに身を包んだ、アストリアに声をかけられる。紅茶の入ったグラスを小さな両手で抱えて。
「おや、君のお姉さんは、僕の友人を連れて向こうに行ってしまったよ」
「えぇ、存じております。えっと、ミスタ、私もご一緒してもよろしいですか?」
アストリアはネビルに確認をとる。ネビルは、かくかくと首を縦に振り、僕とのあいだのスペースを開けた。
「僕はネビル・ロングボトム。グリフィンドールなんだ。君は、グリーングラスの妹?」
「えぇ、姉をご存知ですか。アストリア・グリーングラスといいます。トリアと気軽に呼んでください。姉についてきたのはいいのですが、姉は、ご学友との会話に夢中で取り残されてしまって」
「そうなんだ。僕もハリーの誕生日パーティだからと思ってきたんだけど、スリザリン生ばかりで萎縮していたところなんだ。あっスリザリン生がどうとかじゃなくて、友達がいないって意味で」
ネビルはブンブンと首をふる。
正直みていて面白い。トリア可愛いだろう。君の戸惑いはよくわかるよ。グリフィンドールにはこんなしっかりしたお嬢様はいない。まぁスリザリンにも、トリアほど柔らかい女性もいないがな。イメージで会話すると、彼女の女性らしい可愛らしさにイチコロになるぞ。
「ネビルは薬草学が得意なんだ。緊張しなければわりとなんでもできると思うんだが、緊張するからわりとなんでもできない」
「この性格は一生治らない気がするから、僕は一生なんでもできない子なんだよ…」
「焦るからいけないんだ、あと自己肯定感が低いと成長できないぞ。まぁスリザリンの僕たちと仲良くしていて後ろ指をさされているくせに、未だ友達でいてくれる貴重な友人のひとりだな。」
アストリアは、なるほど、そうなのですね。と愛らしく相槌をうつ。それから、新学期から彼女もホグワーツの一年生だとうことで、話がそちらに流れていく。「トリアはスリザリンじゃなくてレイブンクローとかグリフィンドールも合うかも知れないなぁ」「あ、もしグリフィンドールだったら、ハーマイオニーっていう女の子がね。あ、マグルなんだけど」
「うっわー!!!!ドラコの浮気者!ありえない!僕というものがありながら!」
数メートル先から、叫び声が聞こえた。
アストリアがびっくりして目を開いているじゃないか。おちつけハリー
「ネビル!僕頼んだよね!たのんだよね!」
ええい、やかましい。
「静かにしてくれないか、うるさくてかなわない。」
「っはああああ??」
「浮気者とか、よくわからないし」
あ、静かになった。
何が浮気者かわからないが、そういうならそっちだってそうじゃないか。パンジーに泣きついて、そこ男女だぞ。いいのかパンジー、ハリーに肩を許して。
「アストリア。気にしないで。これはハリーの発作なの」
「そうそう、いやでも来年から目にはいるから、ある意味、今日遭遇してもよかったかもね」
「巻き込まれないようにね。あ、トリアあっちに行きましょう。彼らといると馬鹿がうつるから」
そういいながら三人は、彼女を連れてその場を離れる。
アストリアは立ち上がって僕たちに向き直った。
「ドラコお兄様、ネビルお兄様、ハリー様ここで失礼いたします。色々と楽しかったです。スリザリンで待っていてください。ネビルお兄様。寮が違っても仲良くしてくださいませね。」
「かわいいね。」
「かわいいだろう」
「ネビルお兄様だって、初めて言われた」
「いい子だから、よろしくな」
「僕はお兄様っていわれなかった!」
ハリーがぎゃいぎゃい叫ぶ。昨日から情緒不安がすぎやしないか。大丈夫かハリー。
そんな話をしていると、目の前に小さな紙がふわりと飛んできた。鳥の形を模したそれは、僕目の前でとまり、はらりと開く。そこには、父上の字で、ハリー宛の文が書かれていた。
魔法大臣であるファッジが、どうしてもハリーに会いたいのだという。今はパーティの途中だから、お帰り願えないかといったところ、確固として譲らなかったらしい。主賓が抜けるのは申し訳ないから、このままパーティはお開きにさせてもらって、奥の応接室まで降りてきて欲しいというものであった。
シリウス関係だ。そう確信して、僕とハリーはこの会をお開きにした。
ファッジには父上とハリーで対応した、ファッジはハリーと二人で話したいといったらしいが、そこは父上が譲らなかった。「まだ未成年の子供が、保護者となりうる大人と同伴なしで魔法大臣とはなすことなどない」だそうだ。
そうして、出てきたハリーは神妙な顔をして、僕と僕の自室へ戻ったのだった。
「で、ファッジはなんと?」
「んー、前回とほとんど同じ。ロンドンにはマグルがいるところには出かけるな。と、そしてできるなら、漏れ鍋に部屋を用意するからそっちで残りの夏休みを過ごさないかだってさ。前回は僕がシリウスに殺されるのを避けるために提案してたはず。」
「はぁ?なんだそれは、それじゃまるで、君がこの屋敷に留まることをよしとしてないみたいじゃないか」
「うん。ルシウスさんも同じことを言っていた。二人でシリウスがどうのこうのとも言っていたよ。前回は、僕にシリウスのことを隠したがっていたのに、随分様子は違うよね。で、結局ルシウスさんが、『ハリーの安全は保証する。ただまぁ、これではあなた方が懸念させることの解決にならないとおっしゃるのであれば、ハリーの保護を名目にして、この屋敷を見張るでもなんでもすればいいだろう』って」
やはりそういう展開できたか。と、ドラコは思った。できれば、できれば今回のこの展開については、話さなくていいなら話さないでおこうと思っていたのに。今、目の前のリドルとシリウス・ブラックが何者か、オライオン様について話をしている間にこの話題が流れてくれればいいと願うも、それは無駄におわる。
「で、ドラコ、この屋敷を見張るって何?」
「あぁ、心を冷静にして聞いて欲しいんだが。」
「うん。」
そうして、今回のハリーの立ち位置について僕は語った。前回は、ファッジ率いる魔法省はハリーのご両親やダンブルドアを裏切ったシリウスが、我が主ヴォルデモートのために、ハリーを殺すことによって、例のあの方の権力がもどると考えていた。けれども、今回は違う。ハリーはスリザリンで、まさかのマルフォイの嫡男であるドラコ・マルフォイと親しくしている。この状況だけで、魔法省の見方はまるっきり違った。それは「シリウスとハリー・ポッターが協同し、ヴォルデモートの復活を遂行するのではないか。というものだった。ましてや、真実がどうであれルシウス・マルフォイは元死喰人なのだ。彼らにとって疑いやすい、最高の条件がそろったのである。
『馬鹿だねぇ。相変わらず。知らないってことは恐怖だ。人は知らないからこそ恐れの中で想像を、妄想を肥大させる。事実と異なるかどうかなんて、どうでもいい。そうなれば真実なんてあってないようなものだろう。』
「そうして、恐れて、無駄なことに神経すり減らしてるってわけだ。あの魔法大臣は……ってそれ本気?そうくる?まじ?ちょっと笑いが止まらないんですけど」
ケラケラとハリーが笑う。
わらいとばせるなら、ましなのかもしれない。
ヴォルデモートの仲間扱いされて、ショックを受けるかと思っていたが、いや、これはショックを受けているのか。
「はぁ、笑ったわらった。そう、目が節穴の魔法大臣。今すぐにでもハーマイオニーと変わったほうがいいんじゃないの?ドラコ。また、君が傷ついた顔をしている。僕のことで傷つかないでよ。」
ねっ。とあたまを撫でられる。
そんなに僕はわかりやすいのだろうか。
「あっそういえば、違うとわかってて聞くんだけど、この家黒い犬かってる?」
「黒犬?飼っていないが…え?まさか」
「シリウスってちょぉっとストーカーなとこあるよねぇ」
夏休みの最終日。ハーマイオニーやロンと合流して、最後の買い物を済ます。
僕もハリーもロンも、ファイアボルトの前で資産が釘付けになる。
ハーマイオニーはご両親からのお小遣いで、利発そうな猫を買っていた。
僕の両親とは、ここについた時に、すでに分かれていて、明日のキングクロス駅で再会する予定だった。ハーマイオニーやロンたちとともに漏れ鍋で一泊する。
ハリーがアーサーさんとおそらくシリウスの話をしている間に僕はフレッドとジョージのところへ、例の道具について話を聴きに行っていた。「あぁ。完璧だよ。」「君からの支援金もあったし、すぐだったね」
「僕ののぞみのものができたら、それを使ってそのまま商品化してもらってもいいから」
「オーケイドラコ。君の依頼のものはできてるんだが、これをグッズとしてどう活用するかはまだ、考え中だ」
「商品開発の大変なところであり、楽しいところですな」
そうして、必要なイベントを一つ一つ回収しながら、いや、回収させられながら、新学期初日を僕たちは迎えた。