三年生の時間割はいくつか選択授業になっていた。僕がドラコと同じ授業を選択していなことをパンジーたちは、明日槍がふるのかしら?と心配していたけれど、僕は占い学だけは生まれたときから取らないって決めてるから。そんでもって僕はドラコみたいに優秀ではない。魔力は高いから呪文学とかDADAとか杖を振るのは得意だけどそれ以外は、合格点をとれるかなってくらいなんだ。必要以上に勉強はしたくないんだよ!
そりゃあ、ドラコと一緒にいれないのは悲しいけど、それと引き換えに勉強しなきゃいけないとなれば話は別だ。いいもんスネイプ先生が僕にはいるもんね。
とまぁこんな感じで僕は彼らが占い学の授業に向かうのを見送る。
この時間僕はフリーだった。何をして遊ぼうかなーと思って、リドルを呼び出す。
「はぁい。リドル。」
『なに?』
「サジッタは元気?」
『元気だよ。特にやることもないから、学生らしく勉学に勤しむといっていた』
「へぇ、といっても君が一通りはどうせ教えているんだろう。ときどき必要の部屋が使われていたからね。今思えばあれは君たちが使っていたんだね」
『ふふふ、ご名答。といってもサジーが僕をこの学校で所持していたのは短期間だったからね。どっちかというと、入学するまでの座学を教えられるだけ教え込んだというところかな。』
「ご苦労様だね。」
二時間目の変身学は扉のところで彼らが現れるのをまつ。トレローニー先生の適当な占いでロンが怯えてしまっているのは、なんともおかしかったしちょっと可哀想だった。魔法生物学の授業では、特に問題がなく一時間が終わった。なんだ。ドラコがなにもしなければ、何も怒らなかったのか、と拍子抜けしていたら事件がおこった。
サジッタがヒッポグリフによって怪我をしたのだ。
見舞いにいくと、彼はケロリとして様子で、スリザリンの先輩へ憤っていた。まぁその憤りも「無駄な感情」だと切り捨てているようで、改めてこの子は怖いなと思う。こういうのも、リドルの受け売りなんだろうか。この調子だと、ヒッポグリフの処刑は免れるかなと思っていたけど、サジーの言葉を聞いてそんな生ぬるい考え、この物語のまえでは無駄だと思い至る。なるほど、わかった。サジーじゃあない、別の先輩がこの出来事を訴えてヒッポグリフについてはそれなりの処置が行われるかもしれないってことね。そんでもってそれは自分のせいではないと。わかったわかった。ってわかりにくいわ。もっとわかりやすく単刀直入にメッセージにしろ。
***
ヒッポグリフについて、一応策は講じておこうと考える間もなく、リーマスによる初めての「闇の魔術に対する防衛術」の授業が行われた。
「ドラコ。ちゃんと『本物』には蓋しておいてね」
「わかってる。それもせずに行くと、僕はヴォルデモートになりそうだ。」
「僕はどうだろう,深層心理はわからないけど、ガッチガチに固めておこうと思うよ」
僕はわかっている。どうせドラコの姿だ。ドラコの、あの…
そこまで思い出したところで僕は心にシャッターをしめる。危ない。本気でまね妖怪をドラコに変えてしまう。それだけはダメだ。せっかくなら面白いものに変えられるものにしよう。と0点のテストにしようかな。と考える。それをリディクラスでビリビリに破いて、花ふぶきにしよう。そうしよう。
しかし、そこまで用意周到にしていた僕の心をひどく揺さぶる現象が起こる。
それは、ドラコを前にしたまね妖怪が「病床のアストリア」を写したことだった。それだけでも僕はショックだった。やはり、ドラコはアストリアのことを今でも深く思っているんだ。知っていた。しっていたよ。君が奥方のことを愛してるって。
それでも、もう少し僕の方を見てくれたっていいじゃないか。
僕だって君のことが好きだったんだから。
ジニーが送り出してくれた、あの時から僕にとっては新しい人生が始まる予定だったのに。
ノーと君に断られても、何度だってアタックする予定だったのに。
けれども、それすらもできなかった。
好きだと伝えることすら。
それすらも、できなかったのに。
「リディクラス」と君がいったその言葉に、目の前のアストリアは美しい花嫁姿に姿をかえた。それは、写真でしか見たことがない、純白の美しい姿だった。
そんなにも、
こんなにも時間が経って。
新しい人生を歩んでもなお、
君は彼女を選ぶんだね。
そう思うと、悲しくなって、恐ろしくなって
あの11歳のアストリアが怖くなって、ドラコの目の前から消えてしまえばいいのに。と
そう思ってしまったから、
まね妖怪は、あの可愛らしいアストリアに姿をかえた。
どこまでも、傷をえぐってくれるな。
「リディクラス」
みんなにはその後質問攻めにあった。まぁ、仕方ないよね。って思ったけどドラコも「理由」を聞いてくるから、ほとんど僕は泣きそうになって、あっかんべーだけしてロンをみつけて走り去った。絶対。ぜったいドラコにだけは涙をみせてやるもんか
***
「スネイプ先生。僕の心はもうダメです」
「毎回占い学の授業のたびに吾輩に来るのはやめんか」
「きづいてました?」
僕はスネイプ先生のところでぐずぐずとお茶をのんでいた。
先生は優しいから、適当にひどく親身そうなようすは見せないで僕の話を聞いてくれる。そういうふりをしているだけで、先生は僕の話をちゃんときいてくれているってこと知ってる。
「その、マルフォイに依存しすぎるのをよせ。」
「ダメです?」
「嫌な奴を思い出す」
父さんとシリウスかな?
まぁシリウスが父さんに依存してるふうだったもんなぁ。
「これは、僕が生きる意味なので無理です。依存は不可抗力ですけど。ドラコがそこにいて笑ってくれるのが僕の幸せなので」
「だったら、ほかの女性のとこで、幸せにしているのを祝福ぐらいしてやれ」
「それは先生のことですか!!!!」
「ええい。いちいち癇癪をおこすな!」
追い出された。
いいもんいいもん。
そうして空き時間を利用しながら、僕は僕の準備をしていった。
とりあえず、スキャマンダー氏のお孫さんがレイブンクローにいるという噂を聞きつけ、遊びに行く。その道中でルーナとも友達になった。なかなかおもしろい子達で、色々なお願いをしてしまう。彼らは、それら全てに「生活が豊かになりそうだね」といって了承をしてくれた。
そうして、初のホグズミード行きの連絡がくる。
これに関しては僕はスルー。どうせいけませんし?
ロンたちに、お土産をお願いしてから、その日を楽しみにまつ。
当時は行きたくて、色々とすねちゃってたんだよね。
***
「忍びの地図イベントについては、ぼくがなんとかするとして、はいこれ」
『はいこれ。とはなんだ』
「スキャマンダー氏からいただいた、検知不可拡大呪文のかかったトランク~。出会って二ヶ月で、これをプレゼントしていただくにいたる僕ってすごいコミュ力高い!」
そういって、僕はリドルにそれを渡す。
「これをね、もすこし、拡大して、大草原にして欲しいんだ。できれば、この中で生活できるぐらいの自然を作って欲しい」
『それは、僕に神になれということか?』
「おおう、そうだね。天地を創造する神になって~」
できるでしょ。と僕は彼にトランクを渡す。
まさかできないわけないでしょ。というと彼は『口車に乗せられてやろう』といってそのトランクを受け取ってくれた。よし、これで、まずは一つ準備終了。
ホグズミードの日は、スネイプ先生の研究室で楽しくお茶会をしていた。途中リーマスがきて、いつもと違ったおしゃべりを楽しんだ。僕たちはスネイプ先生のことが大好きだからそれを伝えるとリーマスはとても驚いていたけど。
「ルーピン先生は、スネイプ先生のことをファーストネームで呼ぶのだな」
「そういえばそうだね。シリウスはファミリーネームだった気がする」
「そういうとこで距離感がわかるよな」
「ドラコのことをドラコと呼び始めたのはいつだったか今思いだしてる」
「やめろ。恥ずかしいだろ」
「確か、僕が先に呼び始めてー…あの時のお酒美味しかったね。日本酒だったな」
「しっかり覚えてるんじゃないか」
「その反応はドラコもでしょ」
ふふふ、僕はすこし幸せな気分になる。
幸せな気分になると、またその分悲しいこともある。山あれば他に有り。まあ僕とっては、まったくもって悲しくはないワケだけど。
それは、シリウス・ブラックの侵入の知らせだった。
シリウスの侵入なんてどうでもいい。そんなことより、その噂話に花を咲かせて誰かを傷つけてしまっていることに気づかない、生徒たちに腹が立つ。僕が気にしていないから、きにしなくていいんだ。この噂は全く関係ない。僕に関係ないところで、関係ない人たちがすきかってはなしているだけなんだから。
***
しばらくは、シリウスの話でもちきりだった。そんな校舎内にいるのも煩わしくて、ドラコと同じではない授業のとき、ふらふらと禁じられた森を散歩するようになった。厨房から、お菓子をいくつかいただいて。
その日は、ドラコがネビルに魔法薬学の勉強を教えるというから逃げてきた。なぜ、テスト前でもないのに勉強をしなければいけない!
おもしろいものないかなー。とキョロキョロしていると。無用心すぎやしませんかねシリウスさん。であっていまいました黒い犬と。まぁ無用心なのか。僕に会うためにわざわざ会いに来たのかについてはあえて曖昧にしておきましょう。
持っていたお菓子を「ほら」とほおり投げるが、パッドフットはそれを無視した。僕を、ただいっぺんを見つめているようだった。「ああ」と僕は、彼の視線の先に手をあてる。
「似合うでしょう。緑色。僕の母さんの目よりは深いけど、けれどもきれいな緑だよ」
うううう。と犬が唸る。
それが面白くてつい、挑発してしまう。
「僕の大切な人。ドラコ・マルフォイっていうんだけどね。お揃いなんだ」と
***
クィディッチは、まぁ上々といっておこう。吸魂鬼たちがドラコをおそったら気が気ではないと思い、さっさと退散願おうと思って守護霊の呪文を唱えたら、スネイプ先生と校長からもお助けいただいた。
まさかのダンブルドア!?今回はそんなに関わっているつもりもないので(といっても、見舞いに来てくれたり、最低限のアドバイスはくれてはいたが)助けてくれるとは思はなかった。つい、穿った見方をしてしまう僕をドラコが「あまり考えるな」というから考えるのはやめておいた。
そうやって、色々と変化はあるが、僕としては、予定通りに物事は進んでいた。スネイプ先生とドラコをつなぎ脱狼薬の研究を進め、ドラコはルーピン先生と守護霊の呪文の約束をする。僕は、叫びの屋敷の万が一に備えて、トランクを入手して、改良をリドルに押し付ける。もちろん、ペティグリューをに逃がさないための道具もドラコを通して双子に発注中だ。そして、肝心の忍びの地図もその双子に借りて、しかも途中まで作った地図付きで、ドラコに渡して作成に取り掛かることができた。
何の問題もないように思った。
もともとこの学年はヴォルデモートは関係ない。
何も起きなければ、ほんとうに何も起きないのだ。
あとは、平穏にドラコと楽しい学校生活を送るだけ。
楽しみだなぁと思った矢先に、「ハリー様」とこえをかけられた。
もう悪い予感しかしなかった。
後ろを振り向くとそこには、シワ一つ無いローブを身を包んだ。「可愛らしい」が誰より似合う女の子アストリア・グリーングラスがそこにたっていた。
***
なんでこんなことになった?と僕は一生懸命に今日この時までのことを振り返るが何も理由は思いつかない。思いつくとしたら、さきほど声をかけられて「お茶でもいかがですか」というアストリアに「うん」と答えた僕に理由があるとしか思えなかった。
「お口に合うかわかりませんけど」
といって差し出されたお茶は、とてもいい香りがしていた。ピーチのかおりが甘くて、ピーチティかなと口をつけたら、渋くてびっくりした。「中国茶ですのよ」とアストリアが笑うから、だったら、先に言っといてよ。とすこし不機嫌になる。
なんなの。ドラコに近づくなっていい気に来たの。それは、僕のセリフだし。恋愛としてはそっちのほうが近いかもしれないけど、振られたらそこで終わりなんだからな。僕は友人という立場にいれば、「終わり」は来ないんだから。あ、言ってて泣きそうになってくる。
「そういえば、まね妖怪。わたくしに変化したとか。なぜです?」
「それは、あのときにも言ったけど、君にドラコを取られるかもって」
そういうと、彼女はそうですか。と可愛らしく笑った。その瞬間彼女の周りには花が咲いたようだった、朗らかに笑う。ほんとうに。その彼女が、ティーカップを音もさせずに、机におく。そうして僕の目を見てはっきにりこういった。
「単刀直入に聞きますけど、ハリー様はドラコ様が好きなのですか」
どう答えたものか、とおもい言葉を詰まらせる。
その様子をみてアストリアは言葉を紡いていった。
「お姉さまたちが言うには、ハリー様は恋愛としての意味でドラコ兄様のことをお慕いしているというのですが、そうなのですか?もしお遊びなら、あまりあの方の心を悩まさないでいただきたいのです。」
「それは、何。どういうこと」
「言葉の通りですわ。ハリー様。本気でないなら、思わせぶりな態度はやめていただきたいと思うのです。」
僕は目の前の少女に悲しみを覚える。
ずるい。
「思わせぶりじゃない。思わせてるんだ。あいつが鈍感なだけだ。僕は好きだって何度だって伝えている」
「けれども、ドラコ兄様はそれを信じていないじゃあありませんか。それは結局伝わっていないのと同じでしょう。本気でドラコ兄様のことを思っていらしゃるんですか?」
「想ってるよ!
僕は声を荒げる。
誰に言われてもきっと僕は癇癪を起こしただろう。スネイプ先生にもいちいち癇癪を起こすなと言われた。だけれども、アストリアはダメだ。君が言ったら、我慢しようなんて思わない。我慢なんてできるはずもない。
「僕はドラコのことが好きだ。好きだから今ここにいる。僕が今ここにいることが、ぼくのドラコに対する全てだ。周りになんて言われようと、周りが認めてくれなくたって、それが僕の真実で僕が、彼を愛してる証拠だ。」
言ってしまった。
たった11歳の女の子に。
パンジーたちにすら、僕はこんな姿を見せていないのに。
アストリアだからだ。
聞いてきたのがこのこだから仕方がない。
「そうですか。あなたがここにいることがドラコ様の愛なのですね。わかりました。それを信じます」
「何が言いたい」
何が言いたい。
この子は何を確認している。
「そういえば、スコーピウスはドラコに似て、なかなかにイケメンに育っていましたね。あれでは周りの女性が頬っておかないでしょうに。でも、まぁあの子にはアルバスがいますものね」
そういって、微笑んで静かにカップを口元に持っていく。
僕は、その場を逃げ出した。
きっと、みっともなかっただろう。
彼女が僕を追ってきているか、どうなのかそれすらもわからず、僕は全力で、脇目も振らず、寮の部屋に閉じこもった。
アストリアがアストリアだなんて信じない。
そんな、まさか、嘘だろう。
嘘だろう。
ドラコの奥方だとはやし立てた。
自分の気持ちを隠すために、バレないようにするために。
なのに、あの子が正真正銘のドラコの愛したアストリアだなんて、そんなの勝ち目がないじゃないか!
僕には何もない。
ドラコが好きだって気持ちしかない。
それも伝わっていない。伝えてきていないから。
すべて冗談だっておもわれてる。
アストリアはどうだ。
ドラコは彼女のことを「かわいい」っていっていた。
アストリアだって、ドラコのことを好きだ。
だって、「彼女のドラコ」だ。
「僕のドラコ」じゃない。
友情でいいわけがない。
でも、恋愛で勝ち目がない。
ドラコの一番が僕でなくなる瞬間が、その時が、もうすぐそこにある気がして。
ぐるぐるぐるともう何もかんがえられなかった。