第四話
その日の夕食は、”良く”はなかった。今日の飛行訓練でのことがすでに広まっていたのだ。まぁ今回のことはハリーに無理矢理やらされたことであったし、いうなれば人命救助である。ひそひそと話にあがるほどのことではない。
まぁ、だから気にしないでもいいか。と開き直っていたのだが、そうもいかなかった。フリントが目の前に現れたのである。いや、今僕食事中なんですけど先輩。
来年は、是非ともクィディッチの寮選手に立候補してくれだの。まあ今でも十分強いけれど、君がいたらなんとかかんとか。いや、素直に頭下げてお願いしろよ。そしたら考えてやる。まわりくどい、面倒くさい。
ちらり。と横をみたらハリーが美味しそうに糖蜜パイを食べていたから、なんだか腹が立って足のすねをけっておいた。糖蜜パイを主食にするなといつも言っていただろう!
なんだか疲れたので、ロンをよんでコミュニティルームで食後の団欒をしていた。ハリーと僕とロンでおしゃべりをしていたら、微かにドアがあいてハーマイオニーが顔をのぞかせた。「ロンがいないから、もしかしてここかなって思ったのよ。」
「ハーマイオニーもお茶どう?ドラコの入れてくれる紅茶おいしいよ!」
「え、えぇ…でも。」
「貴族様ご用達だぜ。飲んどいて損はないって!」
二人にさそわれてあれよあれよと、連れてこられるハーマイオニーにドラコはしずかに「ミルクは?」と聞く。男三人で集まるよりも彼女がいたほうが花がある。それに……。ん?なぜ自分が給仕の真似事のようなことをしているんだ。ということが頭によぎり、思考が切り替わる。なんか癪だ。見返りに高級お菓子の要求する。
ハーマイオニーの前に音もなくティーカップとシュガーを差し出す。シュガーはこの部屋に備え付けのものだ。ここが寮なら自分達や、女性陣が愛用しているはちみつを出せるのにな、とも思うが、持ち運びも面倒くさい。今度自分のローブのポケットに検知不可能拡大呪文をかけておこう
「あ、ありがとう。」こくりと一口。
「そういえば。私知らなかったの。あなた…ドラコは無言呪文が使えるのね。ネビルの体の浮き方が魔法にかかったようだったから、どういうことかと思って調べたの。そうしたらそういうのもあるって知って。本当、ここでの生活が楽しみになってきたわ。あなたたちには少し出遅れてる気がするけど、私頑張るから」
おおっとホグワーツの才媛。未来の魔法大臣の火をつけてしまった。
「そうみえたのか?それなら恥をさらしてないみたいで安心した。」
「あら、どういうこと?」
「必死だったってことだ。あれは使えたのではなくて、なぜかそうなっていただけだ。自分で扱えたわけではない。あるいみ魔力の暴走みたいなもんだ。」
「けれども、箒の技術については事実だ。」
「ロン…おまえ」
そうして、話は飛行訓練の話からクィディッチの話になっていった。
前回と違い今回のクィデッチには、ハリーは出場しない。もともとのメンバーだ。ハリーが選手じゃないといけない理由があっただろうか。と記憶を探ってみるが、自分の記憶ではないので特に思い当たることもない。かつての友人たちの会話を切り替えてみても、引っかかることもなかったので、スルー案件だな。と納得する。
「ねぇ。」
後ろから聞こえる声に四人はびっくりして動きをとめる。
振り向くとそこには、ネビル・ロングボロムの姿があった。
「マルフォイ。きょ、今日はあり、ありがとう。き、君にも怪我がなくて良かった。」
「あぁ、怪我がなくて良かったな。それより、君は僕のことをファミリーネームで呼ぶことを選ぶのかい」
「えっ」
「僕は君のことをファーストネームで呼んでしまったと思って、な。やめておいたほうがいいのかな。」
「あっネビルでいいよ!僕も君のことをドラコって呼んでもいい?」
「もちろんだ。」
隣でハリーとロンが「やめといたほうがいい!」「こいつは王子に見せかけた悪魔だぞ!」「外見に騙されるな!」とか叫んでいるけど、聞こえない。というより大概失礼ではないだろうか。ネビルのように感謝されこそすれ、そんなふうに文句を言われる筋合いはないのだが。特にロン。
話が終わったあとも、ネビルは何か言いたそうにもじもじもとそこに残る。仲間に入りたいのだろうか。お湯を沸かし直さなきゃいけないかなと考えていると、彼の口から発させたものは意外なものだった。
「ハーマイオニー、ロン。きみたち今夜決闘するって本当?」
いやいやまてまて、僕は何もしていない。僕は無実だ!前回は僕がけしかけたけど今回は無実だ!やってもない上に疑われているわけでもない事象についつい言い訳をしてしまう。あと何回この現象があるのだろうかと思うと、ため息がでる。
「ハーマイオニー、ロン。決闘ってどういうこと?本当?」
ハリーが二人に質問する。いいぞ。
「あぁ、本当だよ。今夜トロフィー室で、介添え人はハーマイオニーだ」
既視感。既視感しか覚えない。
「なんで」
「理由はいいたくない。」
「私も、言いたくないわ」
「危険だ。やめておいたほうがいい。誰かに文句言われたの?そんなの無視しておけばいいんだよ。」
「あぁ、誰かになにか言われたね」
「えぇ。そうよ。無視すればいいのよ。けどロンが売り言葉に買い言葉で、けど、その気持ちも分からないでもなかったからいっそのこと私がついていけばいいんだわって」
おいおい未来の魔法大臣。自信過剰にもほどがあるぞ。とんだお転婆だな。知ってたけど。誰に何を言われたのか知らないが、まぁ行くべきではないだろうな。どうせ、騙されてる。おなじ時期におなじ現象が起きるということは、おそらく、まぁ。そうだろう。
「僕もハリーに同感。行かないことをおすすめするよ。」
「でも…!
「でもじゃない。夜に寮の抜け出すなんて、罰則ものだぞ。それにまぁそのお相手が誰かは知らないがきっと来ないだろうな。」
「えっ」
「僕なら、フィルチとかスネイプ先生に『グリフィンドールの生徒が今日の夜、トロフィー室できもだめしするっていってました。気のせいならいいんですけど』って伝えて、にやにやしながら暖かい布団で寝てる。」
「えげつな…!これだからスリザリン生は!」
まぁ、実際に僕がやってことだしな。
信憑性、あるだろう。
そのあと、ハリーと二人でなんとか説き伏せて、行かないと言わしめた。「退学になってもいいのか」「寮生にうらまれるぞ」
ロンは「ビビリだっっていわれるかもしれない!逃げたあいつは、情けないって笑いものになるかもしれない」と最後まで言っていたけれども、そんなの無視だ。
ハリーと二人で寮に戻りながらまたロンの話になる。
「彼は、なんというか単純だよね。」
「まぁな。単純なところがかわいいのかもしれないが、時々腹が立つ」
「はははっ」
「もう少し上手に人生歩んでくれと、ずっと思っているさ」
寮に戻ると、一人の先輩が自慢げに今日のことを語っていた。ひとりグリフィンドール生をはめてやったぞ。と。情けないものだ。自分は、言いふらしはしなかったぞ。周りの他のスリザリン生も彼の発言には耳をかしていなかった。懸命だな。と思う。誰もこんな馬鹿に巻き込まれたくはない。隣でハリーは憎らしげに見つめていた。
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