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なぜ、こんなことになっているのか。理由を、僕が納得できる理由をください。
朝起きると、隣には幸せそうに寝息を立てるハリーがいました。
気絶するかと思いました。
なんで、こんなことになっているのでしょうか?
昨日は、ロンとハーマイオニーを説得したあと、寮に戻ってきてそのまま寝たはずだ。「おやすみ」という彼がなんだか、寂しそうだったのでおやすみと頭を撫でた記憶はある。つい、やってしまったと思った記憶まで残っているから絶対だ。「ドラコありがとう」といってくしゃりと笑ったのだ。感動で泣くかと思った。
その流れでもしかして「一緒に寝るか」とか口走ってしまったのだろうか。いや、もしそんなことを口走っていたら、それこそ強烈で記憶に残ってないとおかしいし、死んでいても不思議ではない…は!これは死後の世界か!
二人部屋なんだ(神様ありがとう)寝床を間違えようもないはずだ!
混乱する自分の気持ちも知らずハリーは寝返りを打つ。足が、あたる。
この距離が許されているのか。とふと心が落ち着いた。
そうだ、”今の世”では、この距離が僕とハリーの関係性なんだ。
ハリーの頭をなぜる。
ほしくてほしくてたまらなかったものを手に入れているにすぎない。そろそろなれなければ、せっかく手に入れたものをなくしてしまう。
そういってハリーを起こさないようにと静かにベッドをたち、身支度を始める。
しかし、その努力もむなしくドラコの叫びでハリーを起こしてしまうのだった。
「あいつは! 馬鹿か!!」
「は!えっなになに!?」
朝食へむかうドラコとハリー。
ドラコは、今朝からのイライラが収まらないらしく仏頂面で廊下を歩いている。ハリーが「怖いよー、笑顔笑顔」とほっぺをつつくもなんの反応も返さない。するり、とハリーがドラコの腕に手を回した。
「なんとなく想像できてたじゃん。ロンがそんな簡単にあきらめるわけないよ」
「……」
「まぁほら、ロンもハーマイオニーも何もなかったわけだし、減点もされていた無かったってことは、バレてもないってことだよ」
ピタリ。と歩くのをやめ、静止する。
「立ち入ってはいけない4階。そこにいる大きな犬。ホグワーツは何を守っている?」
ドラコの呟きは朝の騒音にかき消される。
本人も誰かに伝えようとして呟いたわけではない。
自分の脳内の整理をするためだ。
しかしその言葉は、そばで引っ付いていたハリーの耳にはしっかりと届いていた。
***
最近、ハリーが時々きえる。
いや、自分たちもずっと離れず一緒にいるわけではないのだが、なんだか妙な胸騒ぎがする。ふとしたときにいないだけで、「そういえばハリー」と声をかける時には、隣にいて「なにドラコ」と返事をしてくる。だからそんな頻繁に消えているわけではないのだろう。過保護もすぎるぞ。と自分に言い聞かせるのだが、もうすでに、クィレルの手にかかってしまったのではないかと不安さえよぎる。
ちなみに自分が、一年生の時の黒幕が闇の魔術の防衛術の教師であるクィリナス・クィレルだったことを思い出したのは先日である。
ハリーが先日ブチギレて
「もういやだ!あのニンニク臭い授業!スコージファイしてもいい?もしくはファブリーズ!しゅっしゅ!」と叫んだからである。
ファブリーズとは、と聞き返すのは忘れた。
我ながらなんでこんな叫びで思い出すのか、苦笑してしまったが、思い出してしまったものは仕方がない。まぁおそらく彼の教授に対する怒りで思い出したのだろう。そういうことにしておこう。「いっそのこと……」とぶつぶついながら呪文学の教科書とにらめっこしているのは、無視しておこう。なるようにしかならないし、もしなにか仕掛けたらとめるのみだ。あれには、名前を言っていわいけないあの人が寄生しているのだ。なにも知らず攻撃をして返り討ちにあうのだけは避けたい。
あー、ハロウィンの飾り付けきれいだなー。
現実逃避しよう。自分で言うのもなんだが、すこしハリーのことばかり考えすぎている気がする。まぁ隣にしっかり彼を座らせておきながら言うことでもないが。
こいつは、糖蜜パイしか食べ物を知らないのではないか。と不安がよぎったので、更にパンプキンパイとスィートポテトも突っ込んでおく。通りすがりにパンジーたちが「餌付けをするならちゃんと、野菜も食べさせなさいよー」とつぶやいたので、生野菜を入れておいた。どうせ食べないんだろうな。野菜のキッシュも入れておくか。
「ねぇドラコ」
されるがままだったハリーが、急に話しかけてくる。
謝らないからな。野菜も食べないとお前の従兄弟どのみたいになるぞ。
「ロン。今日一人なんだね」
「ん?ネビルもシェーマスもいるじゃないか。ディーンもいるな」
「きみが彼らをなぜファーストネームで呼んでいるのかは、聞かないからな」
「いいのか」
「いい」
それは残念。と大げさに肩をすくめる。
「そうじゃなくてハーマイオニーがいないんだよ。」
「ん?あぁそうだな。けどあいつらもいつも一緒にいるわけじゃないだろ。」
男女がペアなんて、まだ11歳で思春期もまだといえどなかなかないだろうしな。いや、あいつらならやりかねないけど。
「ラベンダーや、パドマたちともいない。」
「それは君がなぜ彼らをファーストネームで呼んでいるのか、聞いて欲しい振りか…痛い!」
そのときクィレルが全速力で部屋にかけこんできた。その顔は青ざめていて、恐怖が張り付いていた。
「トロールが……地下室に……お知らせしなくてはと思って」
ガタン!ハリーが勢いよく立ち上がる。びっくりして「大丈夫か」と、彼を見ると、その顔は恐怖ではなく怒りでいっぱいだった。
「ドラコ。僕は今から女子トイレに行く、いそいでロンを連れてきて!」
「ば‥女子トイレだと!なぜそんなとこ……わかった。しかし、なぜ地下室ではない」
「思い出したんだ。さっきパーバティが、ハーマイオニーが女子トイレにいるっていっていたのを!急がなきゃ!」
そういって振り向かずに走っていく。
こんなことはしていられない。ハリーが女子トイレにといったのだ。彼の勘はあたる。闇祓い仕事も、攻撃のしかたもクィディッチも、あれは勘と発想で切り抜けていた。
「ロン!」
「えっ…なに!」
「ハーマイオニーを助けに行くぞ!」
監督生や先生に見つからないようにロンを引っ張って、女子トイレに向かう。その道中、ハーマイオニーと何があったのかも聞いた。呪文学?発音ごときで?いやいやいや誰も友達がいないって?「それでもお前は英国紳士か」怒りでついロンのほっぺを叩いてしまった。
「女性にも優しくできない。自分にアドバイスしてくれた人に感謝どころか傷つけるような言葉をいう。彼女はマグルで、僕たちみたいに入学前から知り合いがいるわけじゃないんだ。周りに友人がいないのはあたりまえだろう。ひとりで不安で入学してきているんだ。貴様が守ってやらなくてどうするんだ。」
「貴様って…」
「揚げ足をとるな。」
「…ごめん。」
「貴様が謝る相手は僕ではない。彼女だ。はやくいって助けるぞ。」
ロンに怒ってしまった自分に腹が立った。手をあげてしまったことも。聞いて呆れる。あれは散々過去の自分自身がいじめ抜いてきたことだ。マグルだからと、「穢れた血」と罵ったことさえも覚えている。傷つけられて怒るなんて、ましてや自分が傷つけてきた相手を擁護する形で。
ロンには彼女の盾でいてほしかった。ハリーがスリザリンに来てしまったおかげで、守る相手が分散されてしまった。きっとこのままだと、以前と同じようにロンとハーマイオニーは名前を言ってはいけないあの人討伐戦に組み込まれる。そのとき、彼女を守るのはお前の役目なんだ。
途中スネイプ先生とすれ違った。
異臭がする。女子トイレでビンゴか。
ドアをあけると、そこはトロールが暴れていた。洗面台はぐちゃぐちゃで、ソイツはハリーとハーマイオニーと対峙していた。ハリーはハーマイオニーを抱えて一生懸命に守っている。
「ドラコ!ロン!」
「待ってろいま助ける」
こっちの存在に気づいたトロールが緩慢な動きでこちらを向く、そして振り上げる棍棒。一瞬のことで「プロテゴ」を捉えるので精一杯だ。動きはのろいくせに、棍棒を振り下ろすときだけはやいな!しかも腕力がえぐい。
プロテゴでは心もとない。
行けるか?と思いながら「プロテゴ・マキシマ」を唱える。トロールの一撃を受け止めたことを確認して「レダクト」を唱えるが、びくともしない。くそ、トロールのくせに、低脳で頑丈とかしょうもなさに怒りが沸く。
「プロテゴ!」ひっしに唱えるが、魔力がおいつかない。どうにかしないと、どうにかせねば、
「ウィンガーディアム レビオーサ!」
隣のロンが必死に杖を降っていた。ふわり、とトロールの手から棍棒が飛び出す。空中でくるくると回転し、トロールの頭の上に落ちた。トロールはフラフラしたかと思うと、ドサッと音をたてて倒れた。
ロン、お前やったな。そういってハイタッチを決めようと振り向いたら、走って逃げられた。いや、違うか。「ハーマイオニー!」ロンは彼女しか見えてなかったのだ。
ハーマイオニーにかけより「ごめん、ごめん。」と呟くロン。彼女も涙をながしながら「ごめんなさい。本当にごめんなさい」とつぶやいていた。
二人のそばにいたハリーはなにが起こったのかとびっくりして二人を見つめていたが、すぐにふわりと笑って「よかったねぇ」と二人を抱きしめていた。
あのあと、僕らは先生方に保護?され、無事にトロール事件は幕をとじた。それぞれ減点されたり加点されたりもあった、が。怪我がなくて、死人がでなくて、本当によかった。
***
十一月。クィディッチシーズンの到来だ。
前回のハリーの初戦はこのタイミングでスリザリンとの勝負だった。
今回は、特に何もないので、観戦するだけだ。ハリーもクィディッチの話になると「楽しみだね!」興奮を隠しきれていないようだった。
「ねぇドラコ。引き受ければよかったのに」
「馬鹿を言うな。無理に決まっているだろう」
「けど!代打といえど、シーカーを、一年生が務めることなんてなかなかないんだよ!」
「練習もしてない。チームのこともわからない。僕がはいることのリスクが高すぎる。」
「でも…!」
「ハリー、君が僕に期待?してくれているのは素直にうれしい、うれしいが、僕には無理だ。『テレンス・ヒッグスが試合に出れなくなった』と言われても『そうですか』としか思わない。チームの足は引っ張りたくない」
それに、スリザリンのシーカーには君がなるんだ。来年の選手選抜で君が選ばれて、君がシーカーをする。その邪魔はしたくない。
「本音は?」
「代打とかふざけるな。失礼だ。と思っている。」
「そして?」
「二軍ぐらい用意しとけ!」
けらけらと、隣でわらう。「実に君らしいよ」とバンバン背中を叩かれるが、当然だろう。ものには頼み方っていうものと、自分たちがどこまで予測して動いていたかがいるんだ。ちょ、痛い。叩きすぎだろ。痛いぞポッター!
ちなみにこの出来事を知ったロンは、わかりやすくすねてた。愛いやつ。
この時期の特筆しておくべきととといえば、クィディッチのことではなくて、ハグリットとの会話だろう。グリフィンドールVSスリザリンの試合のあと、さすがに僕たち四人で一緒にうろつくことはできなくて(コミュニティルームも同様)ハグリットの小屋で紅茶を頂いていた。
頂いていたっといっても、淹れたのは自分自身だが。彼が入れてくれようとしたのだが、茶器をみてめまいがした。「僕がいれます」といって変わり、ローブから必要なものをとりだす。拡大呪文かけていて良かった。便利だ。
お湯を沸かし、カップを温めながら、四人の会話に耳を傾ける。「フラッフィー?」あれは、貴様のかハグリット。やめろ、僕の古傷が痛む。「いたたたたた」と一人茶番をしていたら、もうひとりとんでもない名前が聞こえてきた。
「ニコラス・フラメル」
有名な、錬金術師だ。
そうか、この学校が守っているものは……。
神様。