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クリスマスも目前12月
あれから、彼らは「ニコラス・フラメル」について調べているようだった。彼が誰かも、守っているものが何かも検討がついている自分が教えてもいいのだが気が進まなかった。これに気づかなければ、意外と、思ったより彼らは平穏に一年目を終えることが出来るのではないかという考えに行き着いたからだ。
ホグワーツが守っているのであれば、ダンブルドアが目を光らせているだろうし、こちら側がなにかをする必要もないことなのだ。本来は。
まぁ、ハリーの出生や巻き込み体質を考えるとそうともいってられないのだろうけど。彼と交流をもってから何度巻き込まれたか。
クリスマス休暇。帰ったら何をしようか。
「え?僕?帰らないよ。というより帰る家もないもん。プリペット通り四番地のあの家は僕の家じゃない」
「そうか。なら僕の家に来るか?」
「えっ……!えー行きたい。いきたい!」
「じゃぁ父上と母上にいって」
「だが断るっいてっ」
思わず持っていたノートで目の前のハリーを殴っていた。
「なぜだ。わりと楽しいと思うぞ。まぁダンスパーティーは面倒だが、普通のクリスマスパーティーもある。」
「うげぇ。貴族のパーティーって大変そう」
「まぁ、一つの仕事みたいなもんだな。君は美味しいもの食べて上質な音楽に耳を傾けていればいいだけだぞ」
「本音は」
「面倒くさすぎる。君が一緒に帰ってくれたら、退屈な休暇も楽しくなるかなと」
「正直なドラコに花まる~。」そういって髪をぐしゃぐしゃとされる。犬じゃないぞ。こう乱暴にあたまをなでられるたびに、最初の頃はオールバックをやめといて良かったと思っていたが、ここまでくると苛立ちになる。「ふふふ~。直してあげよう」ま、いいか。
「わかった。出席すべきパーティーが終わったらすぐ戻る。ロンは残るっていっていたからまぁ退屈はしないだろう」
「えー。ゆっくりしてきてもいいのに」
「いっとくがスリザリン生の中でのこるの、おまえだけだぞ。」
「え?まじ?」
当たり前だろう。
クリスマスプレゼンとは、悩んだ。
ハーマイオニーは直ぐに決まった。マグル製の万年筆だ。モンブランの上質デザイン。いろはレックゴールド。彼女の髪色と合わせて似合うだろうなと思って直ぐに決めた。
星の王子様とコラボレーションしているものもあったが、さすがに恋人でもない女性に贈るには質が良すぎた。
ロンは、お菓子の詰め合わせでいいだろ!と思って選んでいたのだが「いつまでも子供扱いするなよ!」と天の声が届いたのでやめだ。スニーカーにしよう。課業日には向かないが休日や家で遊ぶときなんかにはいいだろう。モスグリーンをベースにしたハイカットのスニーカーで芥子色のラインがかっこいい。こういう渋い色があいつには似合う。
そして、ハリー。
悩みすぎていっそのことこいつこそお菓子でいいのでは?と考え始めた。いや、さすがに品が無さ過ぎる。うんうん。唸りながら探しているときれいな栞があった。そういえば。よく本をよんでいたり、ノートになにか書き付けていたりするな。と思い立ち、それの購入を考えた。透かしのデザインでステンドグラスのようにきれいに色がはめ込んである。ユリにしよう。白いユリ。ハリーの母上の名前だ。あ、あとあれも足しておこう。
毎日のようにハリーとロンから連絡がくる。ずるい。
早くホグワーツに戻りたい。休暇はまだ残っているのに、と母上が寂しそうに僕に声をかけたが、僕は「いってきます母上」とハグをしてすぐに、学校へ戻った。そんな顔をさせたいわけではないのだが。
寮の部屋に戻ると、そこにハリーの姿が見えなかった。ロンと大広間の方にでもいるのだろうか。今日帰るといっていたのだが…「ハリー」と、すこし寂しく思いながらどんどん強欲になっていく自分に自分で首をさす。魔法を使って荷解きをすると、「くすくす」と笑い声が聞こえてきた。
振り向くと、そこには生首のハリーが横たわっていた。
あー…透明マント。まて、変なことつぶやいてないよな。
部屋に戻ってからの自分の発言と行動を振り返るべくかたまっていると、ハリーのほうから寄ってきた「びっくりさせちゃった?すごいでしょう」と生首の状態のままくるくると回る。
「ドラコが帰ってくるの楽しみにしてたんだよ。ロンも多分大広間で待ってる。いこう」
パサりと、羽織っていたローブをベッドのうえに投げ、僕を引っ張っていく。なんと、無用心なんだ。あれがどんな価値があるのかわかっているのか。…わかってないのだろうな。
深夜。小さな物音で目が覚めた。
本当に小さな物音だったと思う。隣をみるとハリーの姿はなく、音の主は彼だったのか、と。眠れないなら暖かい飲み物でも用意しようか、とおもい談話室に降りる。そこには丁度、寮から出ようとするハリーの姿があった。
「こんな夜更けにどこにいくんだ。マイリトルフレンド」
「ドラコ…リトルって失礼じゃないか。」
「夜中にこっそり抜け出そうとする子供はそれで十分だ。それで?」
「…ドラコもくる?夜の散歩だよ」
そういってハリーは手に持っている透明マントをあげた。
散歩といったわりには、ハリーの足取りは、どこかに向かっているかのようだった。それが正しかったと思ったのは連れてこられた部屋にあった道具を見た時だった。
「みぞの…鏡か。」
「ドラコ知っているの」
「あぁ、心の一番奥底にある強い『のぞみ』を見せる。これに魅入られて人生を狂わした人もいると聞いている。」
「そう、そうなの。」
長い沈黙だった。お互いにじっとみぞの鏡を見ていた。
そこには、たしかに自分の「のぞみ」が写っていた。
手に入れられるところまできているのに、いまだ「強いのぞみ」か。情けない。
どこまでいっても情けないな。どこまでも不安が押し寄せる。いつまでも抱き続けることになるだろうことに、気づいていて、今日この瞬間でそれが決まった。僕は、それを「のぞみ」だと思い続けて終わるのだろうか。
「ドラコ。何が見えてる?」
「いわないと、ダメか」
「ううん。僕も言いたくない。」
「そうか。」
それから、何度か、ハリーは夜中に部屋を抜け出していた。
ただの散歩なのか、みぞの鏡の所に行っているのか、僕は聞かないでおいた。
僕は、もう二度とあの鏡には会いたくないと思った。
少しでもハリーのなぐさめになるのであれば。
限界がきたら、スネイプ先生かマクゴナガル先生に伝えようとだけは決めておいた。