血濡少女のヒーロー?アカデミア   作:夏秋冬

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Prologue:2

「かおり、風斗(ふうと)、私は雄英高校を受けることにしたよ」

 

 夕飯を食べ終わり、リビングで寛いでいる美亜が2人に言った。テレビではタイトなスーツを着たMt.レディ(マウントレディ)というヒーローが、(ヴィラン)を拘束する様子が報道されている。

 この格好で巨大化は流石に恥ずかしくないか?もしかして世間ではこれが普通なのだろうか。スタイルに自信がないわけではないが……あまり見せびらかしたいものではないな。そんなどうでもいい事を考え始めた時、リビングに声が響いた。

 

「えーー!雄英!凄い!美亜ちゃんヒーローになるの!?」

 

「大丈夫かよ……」

 

 嬉しそうに目を輝かせるかおりに対し、ジト目で此方を睨む風斗は何やらぶつくさと文句を垂れている。

 

「雄英高校って最難関だろ、受かるのかよ?美亜、勉強も個性も全然だろうが。顔だけはいいんだしアイドルヒーローでも目指せば?」

 

「否定はしないが……少なくともお前よりはマシな頭をしているぞ」

 

「へぇ、3個下と比べてる時点で大したことねぇな」

 

「勘違いするなよ、3年前の時点でという意味なんだがな」

 

「あー!まーた喧嘩だ!いけないんだよそういうこと言うの」

 

「うるせぇ、おこちゃまは黙ってろ!大人の話なんだよ大人の!」

 

 私達の言い合いが始まりそうだと察したかおりが、有耶無耶にしようと声を上げる。

 熱犬孤児院の日常風景だ。風斗の煽りに乗るのは尺に触るが、最近は慣れたものだ。きっと照れ屋なこいつなりのコミュニケーションなのだろう。普段はかおりと拳士が騒ぎ、私が巻き込まれて、風斗が呆れながらもなんだかんだ付き合う。そんな皆を美波が優しく見守る。騒々しくて、けれども何処か心地よい。

 

「昨日だってお風呂で歌ってたでしょ!下手!それに長いの!」

 

「なっなっ、何聞いてんだ!お前よか短かいだろ!」

 

 いつのまにか2人のどうでもいい口論が始まっている。相変わらずの光景に、面倒くさいと肩を竦める。止めてやらなければ拳士が風呂から上がるまで続きそうだ。

 

「2人共、雄英高校ってどんなイメージなんだ?」

 

「雄英高校はねー、すごい!かっこよくてヒーローって感じがする!」

 

「んだそれ……俺は悪くないと思うぜ。西の士傑、東の雄英ってぐらいだしヒーロー科じゃ1番だ。美亜が合格するかは別だけど」

 

「なんだ、風斗も心配してるだけじゃん!」

 

「心配してなにが悪いんだよ」

 

「ありがとう2人とも」

 

 私の問いかけにぱっと答えてくれた2人、それでもまた言い争いを始めそうだ。これ以上はやりたくないしやる気も無いので、仕方なく、本当に仕方なく良い感じのことを言って自室に退散する。ちなみにこの2人の言い合いもいつものことで、今回も拳士が風呂から上がったら仲良くトランプでもするはずだ。

 

 リビングを去った美亜の背中を見送った後、ボーッとした2人は顔を見合わせて呟く。

 

「今の笑顔はずるいだろ(よね)」

 

───────────────────────────

 

 皆が寝静まった夜、美波と拳士は談話室のソファに並んで座る。頻繁に行われている2人だけの飲み会だ。いつもはだらけて寄っかかったり、戯れてくる拳士が今日はいつになく真剣な表情をしている事に気付く。

 

「なぁ、美波」

 

 長い付き合いの彼女が何を言いたいかなんて容易に想像がつく。

 

「美亜のこと?」

 

「そうだ、あの子を本当に雄英に入れるのか?ヒーローにするのか?」

 

 美波の予感が的中したようで、拳士からは少し剣呑な雰囲気が漏れ出している。久しく見せたことの無いその姿に、少しだけ懐かしさを感じてしまった。

 

「私は応援したい。あの子の決めた道だから――」

 

「嘘だ。本当は行かせたくないくせに、普通の人生を送らせたいくせに。私達が何年一緒にいると思ってる」

 

 私の宥める声色に、拳士の鋭い声色が交差する。此方がそうであるように、向こうにとっても長い付き合いで――きっと本当の想いも見抜かれている。

 

「あの子が、本当の意味で幸せになるために……いつかは向き合わなければいけないこと、知らなければいけない事だってある筈だわ」

 

「そのために雄英に行かせていいと、本気でそう思ってるのか?」

 

 拳士の言葉が鋭くなっている、段々と怒りが抑えきれなくなっているのが分かる。けれどここで引くわけにはいかない。私はあの日決めたのだ、何があっても美亜を幸せにすると。

 

「思ってる。これは嘘じゃないわ」

 

「美亜の個性を知っているはずだ!それにあの容姿!必ず目立つぞ、必ず!!その時になってからでは遅いんだ!ただでさえ露出の多い雄英にいたら、美亜の……美亜の過去が望まぬ形で暴かれるかもしれない。貴方がそれに気づかないわけがないだろ!!!」

 

 拳士が力任せに机を叩き、空の缶が床に散らばる。剣呑な声色は次第に涙声へと変わる。

 

「美亜は強い子だ……それは分かってる。でも……今も時々あの顔を見せるんだ。必死に隠そうとしているんだ、自分の暗く弱い表情を。でも、だからこそ怖い。あの子の本質はまだ変わっていない、私は……美亜のあんな姿はもう見たくない」

 

 思わず言葉に詰まってしまう。分かっているからだ。ずっとずっとあの子が無理していることも、今もまだ苦しみ続けてることも、私達にそれを悟られないようにしていることも。美亜は強い子だ、だからこそ私はどうしたらいいのか分からない。

 

「大丈夫、大丈夫よ。美亜は強く賢いわ。きっと私達が思ってるよりもずっと。それにあの子が自分で決めたことを、私達が信じてあげなくてどうするの」

 

 そう言い聞かせながら、悲痛に震える拳士を抱き寄せ頭を撫でる。その言葉は拳士を慰めるためのものだろうか。それとも自分自身に言い聞かせているのだろうか。私はまだ未熟だ、31歳になって、5年もあの子と過ごしてきてまだ分からない。『慈愛の美波』と呼ばれながら、苦しむ少女1人すら救えない。そんな私だからこそやらなければならない事がある。今度こそ、たとえ何を賭してでも。

 

「私に出来る事は美亜を信じること、この場所を守ること。辛くなった時、悲しくなった時、全てを投げ出したくなった時、あの子が帰って来られる場所はここだけなの。だから、だから絶対に……」

 

 頭を撫でていた右の手に、拳士の手が重なる

 

「私達だ、美波」

 

 その真剣な眼差しに思わず気持ちが軽くなる。この子はどこまでも真っ直ぐで、ずっと変わらない。その真っ直ぐな目で見つめられると、私達ならなんでもできる気がしてしまう。ふっと笑みが溢れる。でもこの子に似合うのはやっぱり笑顔だ。今はワンちゃんの笑顔が見たい。

 

「そんな泣き腫らした顔で言われても……可愛いだけよ」

 

「なっ!」

 

 顔を真っ赤にした拳士としばらく見つめ合うと、堰を切ったように互いに笑い合った。その後の宴会は、いつになく楽しく、夜遅くまで続いた。




キャラ紹介

熱田 美波(ねった みなみ)
31歳 163cm??kg
熱田's目   黄金色、とても澄んでいる。
熱田's全身  母性溢れる。
熱田's手   暖かい。
熱田's口   常に微笑んでる。
熱田'sヘアー ふわふわ

個性「熱波」
 自身の手から放つ波動で熱を送ることができるぞ。人間電子レンジ!離れたものにも伝えることができるが、本人曰く保温、温めぐらいにしか使い道がないらしい!
残念!!

犬千代 拳士(いぬちよ けんし)
30歳 177cm??kg
拳士's 耳 犬耳、弱点。
拳士's 目 キリッ、クールビューティー、知性溢れる。
拳士's犬歯 鋭いけど使う機会はない。
拳士's尻尾 ふわふわもふもふ、みんな触りたい。
拳士's全身 高い身体能力に見合って筋肉質、見せたがらない。

個性「犬」
 ふわふわの犬耳と尻尾が生えている。出そうと思えば爪が鋭く、長く尖るぞ!身体能力が高く、鼻、耳共によく効いてる!単純だけど強力な個性!
 ドックフード食べるか?あっ食べない。ネギとニラは?食べられるのか……


 前回と合わせて読んでいただきありがとうございます、沢山の方に読んでいただけて震えております。
 明日にはプロローグを終えて本編へと入りたいと思います。美亜の初個性披露は明後日の予定です、よろしくお願いします。
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