血濡少女のヒーロー?アカデミア   作:夏秋冬

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Prologue:終

 立春を迎え、草花は春の準備を始める。まだまだ肌寒さを残した2月26日、雄英高校受験日当日を迎えた。

 

 美亜が進路相談を受けてから約1年が過ぎた。

 

(時が経つのは早いな。この1年、人生で1番充実していたかもしれない。美波さんから勉強を叩き込まれ、時には悔しいが風斗にも教わった。あいつもなかなかやるじゃないか)

 

 ベッドから立ち上がると荷物を確認する。筆記用具、受験票、実技用の運動着……忘れ物は無いはず。

 

(体術、トレーニングも飽きるほどやったな。戦う為の筋肉なんて鍛えてこなかったからきつかった……スタイルを維持する為の筋肉がクソの役にも立たないなんて流石にショックだった。それでも少しは走れる様になったし、体術も覚えた。出来ることが増えるたびに拳士さんは泣いて喜んでくれたな)

 

 準備を終え鏡の前で身嗜みを確認する。拳士が張り切って制服を買ってきたため、今日はその制服を着ることになっている。紺色のスカートとブレザー、紅色のネクタイに黒のタイツを履いている。どこの制服か知らないが中々悪くない。

 くるっと一回転すると紺色の髪がふわりと舞う。初めての制服に思わず気分が高揚する。

 

(かおりは勉強を邪魔してはいけないと、甘えるのを抑えてくれたな。リラックスするらしい香りも頑張って探してくれたし、何より学校生活について色々教えてくれた。まぁ、食べ物の匂いはキツかったがな)

 

 香りを出す個性で大惨事を引き起こし、かおりは食べ物の匂いを出すのを禁止された。

 

「美亜、忘れ物はない?受験当日は道が混みそうだからそろそろ行こうか。」

 

 ちょうど身嗜みの確認を終えた時、ドアの向こうの美波から声がかかる。少し藍色を帯びたダッフルコートを着て、チェックのマフラーを巻いて防寒も忘れない。よし、と頷いて玄関まで降りると、他の3人が見送りに出てきて応援してくれる。

 

「この1年沢山教えたな、楽しかったよ。美亜の努力、雄英への思いは本物だった。

絶対受かるさ、何事も気持ちからだ。だから、もう私も迷わない――Plus Ultraだ!行ってこい美亜!!!」

 

「がんばってね美亜ちゃん!私、応援してるから!いっぱい頑張てたもん、絶対、ぜーーったい合格するよ!!」

 

「美亜、頼むから怪我だけはすんなよ…無理したら泣く奴が3人もいるからな、うるさくてしょうがないんだ」

 

「風斗、素直に心配ですって言えよな。それと私は泣かないぞ!」

 

「拳士さんは真っ先に泣くだろ。まぁいい、それとあんまりかっこ悪いとこ見せないでくれよ。俺らの姉ちゃんなんだから」

 

「分かってる、必ず合格するよ。いってきます」

 

 美亜はいつになく想いのこもったみんなに見送られ車に乗る。どうやら柄にもなく緊張していたらしい。助手席に座って落ち着いてから、初めて手が少し震えてたことに気づく。

 

(浮き足立ってて緊張にすら気付かなかったのか、皆のお陰で地に足が着いたな)

 

 少し頬が火照るのが自分でも分かった。パタパタと顔を仰ぎ、今度は別の感情を抑え込むのに奮闘する羽目になってしまった。

 

 しばらく美波の運転で走り駐車場に車を止める。そこから沢山の受験生と共に少し歩くと、雄英高校の正門が見えてきた。正門とその先にある校舎、あまりの大きさに思わず感嘆してしまう。

 

「大きい……」

 

「流石は天下の雄英高校、セキュリティも万全みたい。私はここまでみたいね。私、拳士、風斗、かおり、みんな心から応援している、美亜の合格を祈ってる。大丈夫、必ず合格できるわ。だってあれだけ頑張っていたもの。無理はしなくていいけれど悔いだけは残らないようにね」

 

「ありがとう美波さん、いってきます」

 

 震える手を意思の力で抑え、美波と別れて歩き出す。私の道だ。初めて選んだ道だ。決して楽な道ではない。周りにいる沢山の人達が数少ない枠を争って凌ぎを削る。何を緊張してるんだ、こんなとこで立ち止まってる場合じゃ無い。そう思えば思うほど、皆の顔が真剣に見え思わず立ち止まる。

 

――私に、彼らと並ぶ資格があるのだろうか。

 

「美亜ーーーーー!」

 

 突如響いた声援。振り返ると、柄にもなく大声を出したせいか、それとも他の受験生に見られているせいか、顔を真っ赤にした美波がサムズアップしている。

 笑えてはいないだろう、それでも心は軽くなる。せめて私らしく胸を張って歩こう。恥ずかしいのを我慢している美波に、小さくサムズアップして歩き出す。

 大丈夫、頑張れる。私にはこんなに暖かい家族が応援してくれるんだ。

 

 小さくなってゆく美亜の後ろ姿を見て、思わず涙が溢れる。寂しいからか、それとも不安だからか。違う、きっと嬉しいからだ。離れていく美亜の後ろ姿は相変わらず余裕が無さそうだ。実は誰よりも怖がりで、臆病で、自分に自信がなくて、常に虚勢を張っている。そんな美亜も確かに成長しているんだ。美亜が自分の足で歩き出すことが嬉しくてたまらない。

 

「いってらっしゃい。貴方の未来(これから)が幸せに包まれる事を願っているわ……」




キャラ紹介

扇羽 風斗(せんば ふうと)
11歳
風斗's性格 最近反抗期が来た、でも優しさが隠しきれない。
風斗's足  拳士とかおりのおかげで健脚。
風斗's頭  以外と勉強ができる。

個性「風」
 風を操る個性、シンプルだからこそ超強いぜ!
 でも扇で指向性を加えないと発動しないし、少しの時間と範囲しか操れないぞ!例の士傑のあの人とは比べ物にならないけど将来が楽しみだな!


芳香 かおり(よしか かおり)
8歳
かおり's目  キラキラまんまる。好奇心旺盛。
かおり's腕  よく動く。
かおり's全身 ちっちゃい。
かおり's足  よく走る。

個性「フレグランス」
いろんな香りを手から煙のように出せるぞ!
いい匂いだ!匂いに効果はないぞ!ただし知ってる匂いじゃないと出せない。
ハンバーグの匂いは?出せるのか……


読んでいただきありがとうございます。
ようやくプロローグも終わり、次回から本編に入ります。
次回、美亜の戦い方が明らかに!?
よろしくお願いします!
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