血濡少女のヒーロー?アカデミア   作:夏秋冬

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第35話 血塗少女と初めてのパトロール

 

 『心配してくれてありがとう。でも俺は大丈夫。お互いに職場体験頑張ろう!それではおやすみ!』

 

 緑谷と麗日にメッセージを打ち終え、飯田は深くため息を吐いた。

 マニュアル事務所に職場体験に来てから2日目が終わった。クラスメイト達の職場体験の感想でグループチャットが賑わっている。和気藹々としたやり取りを見ていると、申し訳なさや罪悪感で押し潰されそうになる。

 そんな中、緑谷くんと麗日くんから個別に心配しているとのメッセージがきていた。いつも通り振る舞っていたつもりだったが、表情や態度に出ていたのだろうか。

 

「私怨で動くのはやめた方がいいよ。我々ヒーローに逮捕や処罰をする権利はない、もし私刑と捉えられればソレはとても重い罪となる。あ!いやヒーロー殺しに罪がないとかじゃなくてね。君、真面目そうだからさ!視野がガーッとなっちゃってそうで案じた」

 

 今日の昼、マニュアルさんに言われたことを思い出す。ヒーロー殺しを追っている事を気付かれてしまった。それでも決して怒る事はなく、寧ろ優しく僕の身を案じてくれた。本当にありがたい忠告だと思う。

 

「しかし……じゃあしかし……!!この気持ちをどうしたらいい!?」

 

 苦悩に濡れた独り言が、誰もいない夜の部屋に溶ける。無謀である事など百も承知だ。それがいけない事だということも。けれど頭では分かっていても心が止まることを許さない。どす黒い感情が今も沸々と湧き上がり続ける。

 その時、通知音が響き沈みかけていた意識が引き戻される。緑谷くんか麗日くんからの返信だろうか。

 

『死ぬなよ』

 

 画面を見た飯田の目に入ったのは、美亜からの非常に短いメッセージだった。

 美亜くんとは業務的な連絡をこちらから一方的にしているだけで、その返信も『うん』『わかった』などの簡素なものばかり。初めて向こうから送られてきたメッセージ、内容と簡素さのギャップに思わず笑みが溢れる。

 

「美亜くんには……気付かれてしまったか……」

 

 死ぬなよという言葉、間違いなくヒーロー殺しの件に気づいたのだろう。考えてみれば当然だ。色々言ってしまったし、職場体験中にヒーロー殺しが再びこの街に現れることを聞いたのだろう。その情報があれば、冷静な美亜くんなら気付くに決まっている。

 それにしても、友が死地に飛び込もうとしているのに何ともあっさりしているものだ。普通なら必死に止めるか話を聞こうとするだろう。初めからヒーロー殺しと戦うことを前提にした忠告をするあたりが実に彼女らしい。

 でも、今はそれがありがたい。どんなに優しい言葉をかけられようと、どれだけ熱く説得されようと、どうせ止まることなどできないから。寧ろ、俺自身の醜さと比較してもっともっと自分が嫌いになってしまう。

 

「ありがとう美亜くん……」

 

 夜の闇に押しつぶされそうだった心が、ほんの少しだけ軽くなった。飯田はアプリを閉じて眠りにつくのだった。

 

――明日こそ、ヒーロー殺しに会えることを願って。

 

───────────────────────────

 

「お前、昨日ちゃんと寝たか?」

 

 職場体験3日目の朝、宿泊するホテルの朝食バイキングでミルコが美亜に問いかけた。

 向かいに座る美亜は、緩慢とした動きで白米を口に運んでいる。目の下には隈がはっきりと刻まれ、瞼も半分ぐらいしか開いていない。ミルコの問いかけにも答えることなく、黙々とご飯を口に入れている。

 

「おい、聞いてんのか?」

 

 ミルコが頭を軽く小突く。美亜は今気付いたかのように顔を上げ、周囲をキョロキョロと見回しだした。

 

「あぁ……すまない。あまり寝てなくてな」

 

「大丈夫かよ」

 

 予定では今日も手合わせをやるつもりだ。こんな注意力散漫な状態でやっても何の成長もない。職場体験も3日目に入りそろそろ何らかの成長を見せて欲しいが……この様子では難しいかもしれない。だがそれも仕方がない。何せちょっと前までまともに個性すら使っていなかった中学生だ。それでいきなり戦えと言う方が無茶だろう。勿論例外はあるが……

 

「そんな事より今日もやるんだろ?ちょっと考えている事があるんだが……とりあえず見てくれ」

 

 その言葉を聞いて、ミルコは面白そうにニヤリと笑う。まさかこの短期間で何らかの答えを出してくるとは。良い悪いは別としてその姿勢は称賛に値する。

 

 3日連続でトレーニング施設に移動した2人は、慣れた様子で準備すると向かい合った。

 

「さて、それで何を見せてくれんだ?」

 

「あぁ……ずっと考えてたんだ。どうすればもっとマシな戦いになるのか。私にしか出来ない戦い方ってなんだってな」

 

 美亜は声に出しながら自分の考えを纏める。

 

「私の個性は傷を負うこと、攻撃をくらうことが前提だ。だがミルコのように、理不尽にも一撃で行動不能にしてくる奴らがうじゃうじゃいることを知った」

 

 職場体験とは名ばかりの手合わせ。幾度となく骨を砕かれ、筋肉を潰され地面に這いつくばった。いくら『再生』があろうと動けなくなっては何の意味もない。

 

「必要なのは身体の強化ではなく補強。骨を砕かれようと、肉を潰されようとゾンビのように戦い続ける。(ヴィラン)は再生など待ってくれないから」

 

 USJでの脳無戦、再生の隙もなく一方的に屠られた。私には強靭な体も躱せる瞬発力も無い。だからこそ倒れてはいけない、膝をついてはいけない。

 

「考えすぎて思考が固まっていたんだ。血腕に執着する余り、そこからの派生にしか考えが及ばなかった」

 

 槍、盾、鎚、刀、千差万別に変化する血腕が武器だと思っていた。だが違う、この個性にはまだまだ可能性がある。

 美亜の手首が裂け鮮血が溢れ出す。溢れ出した血液が腕に纏わり付き、その腕を赤黒く染め上げる。床に流れ落ちた血が足に絡みつき、膝から太腿へと覆い尽くしていく。

 

(成る程、一夜漬けにしてはよく考えたじゃねぇか。体が脆けりゃ外骨格を作ればいい、シンプルだが理に叶ってるな)

 

 ミルコは大胆だが考えられた進化に笑みを深くする。美亜の致命的な弱点である身体能力の低さ。『再生』の能力を持っていても、初撃で行動不能にされてしまえば再生している間にボコされるだけだ。だからこそ行動不能にされないように立ち回るべきなのだが、美亜にはそれが出来ない。

 ならどうすればいいか。簡単だ、壊されても倒れなければいい。外骨格を形成することで、折られても潰されても無理矢理立ち上がることができる。勿論、痛みを感じない美亜だからこそできる戦い方だ。

 

(だが、こいつ倫理観ぶち壊れてんなぁ……痛くねェとはいえ、1日でそんなグロいやり方を考えてくるかよ)

 

「――おい、どうした?」

 

 美亜の体を覆いつつあった血液が肩や腰で止まった。そして突如、美亜が膝から崩れ落ちた。ミルコは駆け寄ってその体を支える。その顔色は青ざめ、額に大粒の汗を浮かべ呼吸も荒い。

 

「いい考えだと……思ったんだがな……」

 

 美亜は昨晩、この戦い方を思いついてから何度も試してみた。しかし覆う箇所が多くなればなるほど不快感と悪寒が増していくのだ。それでも無理に進めようとして、何度もぶっ倒れたし吐いた。まるで体が『個性』を拒絶しているかのように、その侵食を阻むかのように反応するのだ。

 

「ったく、それで寝不足だったんだな」

 

 美亜から倒れた理由を聞き、ミルコは呆れたようにため息を吐きながら乱暴に腰を下ろした。

 

「あのなぁ、そんな一朝一夕で身に付いたら苦労しねェよ。ついこの間まで個性まともに使ったことないガキだったんだぞ。失敗して、アホみたいに時間を掛けて身につける。それで当然だろ」

 

 確かに立ち塞がる壁を易々と超えていく奴らは居る。いわゆる『天才』と呼ばれる奴らだ。僅かな時間で恐ろしく成長し、それでも満足しない化け物。美亜の通う雄英高校といえば天才共の巣窟だ。クラスメイトや先輩、そして私らヒーローと比較して焦る気持ちは分からなくはない。ミルコの脳裏に、拳士のアホみたいな笑顔と戦闘時の真剣な顔が浮かぶ。

 

「まぁ、私がちょっと煽り過ぎたところもあるが……えっと……そんな焦んなくて良いだろ。少なくともお前は良くやってる方だ」

 

 まだ学生の頃、拳士にボコされた後にこんな事を言われた気がする。当時はうるせぇとしか思っていなかった。強いからって見下すな、お前に勝たなきゃ意味ないんだ、そんな反骨心がミルコを突き動かしてくれた。思い返すと意外に支えられていたかも知れない。

 

「――まさか励ましてくれてるのか?」

 

 柄にもなく慎重に言葉を探したミルコに対し、美亜の返事は困惑を含んだものだった。勿論、この返答に煽る意図がない事は分かる。単純に普段のキャラとの違いに困惑しているのだろう。それでも恥ずかしい、やはり慣れないことはするもんじゃない。

 

「うるせェ!とりあえずその技は忘れろ。昼飯までは手合わせするぞ!」

 

 ミルコは照れを隠すかのように乱暴に立ち上がり、美亜から離れる。その視界の端で、疲れた顔の美亜が一瞬だけ笑ったような気がした。

 

 

 午前中一通り手合わせをしたミルコと美亜は、夕方のパトロールに向け一度休憩を取り、16時に再度ホテルのロビーに集合した。流石に3日目もぶっ通しで手合わせは気が詰まると思ったのか、気分転換を兼ねてパトロールをする事になったのだ。

 美亜が昼飯を食べながらうとうとしていたからか、気を利かせたミルコが昼寝をする時間をとってくれた。実際、昨晩無理し過ぎたせいか眠かったし驚くほど熟睡できた。すっかりリフレッシュした体を伸ばし、コスチュームに不備がないか確認する。

 

「よし、じゃあパトロール開始だ!といってもお前は見学な。私から離れるなよ、気晴らしだとでも思って気軽に見てろ。よし!じゃあいくぞ!」

 

 ホテルから出ると、街は夕暮れに染まりかけていた。流石にまだ人通りも多く、家族連れや学校帰りの学生が集団で歩いている。

 こんな中をコスチュームで歩くのは恥ずかしい。いつかテレビで見たMt.レディとかいうヒーローを思い出す。あのヒーローやミルコほどボディラインを強調する衣装ではないが、それでもこの魔女のようなコスチュームは目立つ。

 

「おい、あれって……!」

 

「ミルコ!?ミルコだ!保水市にいるって話マジだったんだ!」

 

「ファンです!握手して下さい!」

 

 街に出ると、周りの通行人が一気に騒がしくなる。流石はNo.6ヒーローミルコだ。実力は勿論、そのサービス精神の高さから人気もある。そんな彼女を一目見るべく次々人が集まってくる。

 しかし流石はトップヒーロー、慣れた様子で写真を撮る人にはポージングを決め、子供の頭を撫で笑顔を向ける。その間も歩みを止める事なく、隙なく周囲を見渡してパトロールを怠らない。美亜は人混みに遠慮しつつ、ミルコの少し後ろを恐る恐る着いて歩く。

 

「あれ?あの後ろの女の子、どこかで見たような……まさか……ついにミルコにサイドキックが!」

 

「いや、あれ雄英高校の子じゃね?!なんかテレビで見た気がするぞ!」

 

「千染美亜だろ!一年生だよな、結構良い感じだった子じゃん!」

 

 しかし、ミルコの後ろを着いて歩くコスチュームを着た存在に気付かないはずもなく、美亜もあっけなく注目の的となってしまった。

 雄英高校体育祭から一週間程しか経っておらず、生徒達の活躍はまだまだ記憶に新しい。特に注目の一年A組、そこそこ活躍した美亜を見つけた彼らのテンションが上がる。

 

「テレビで見てたけど、リアルだともっと綺麗かも!お人形さんみたい!」

 

「これで将来有望なんだろ?俺、今のうちから応援しちゃおうかな!」

 

「こっち向いてー!」

 

 いつの間にか大勢に注目されてしまった美亜は、助けを求めるようにミルコを見る。

 ただでさえコミュニケーションが苦手な上、こんな熱狂した人達を上手くあしらう自信なんて無い。どう考えても面倒くさい、ここは先輩ヒーローに何とかしてもらおう。

 

「へぇ、お前意外と人気あんだな。ちょうどいい、これも経験だと思ってファンサービスしてみな!」

 

「ファンサービス!?いや……何すればいいんだ」

 

 しかしミルコは面白そうに笑うと、立ち止まって美亜を促すように顎をしゃくった。

 

「深く考える必要なんてないぞ、応援に応える気持ちが大切なんだよ。後は手を振るでも握手するでも何でもすればいい」

 

 ファンサービスは人気ヒーローになる上で必要なスキルの一つだ。だが学生の身では大々的にやりずらい上、余程のことがないと注目されない。そういった意味では非常にいい体験なのだろうが、美亜からすればありがた迷惑だ。そもそもヒーローになるかすら分からないし、仮になったとしても愛想を振りまくつもりもない。

 しかし、にやにやとこっちを眺めてくるミルコがいる以上やらないわけにはいかない。ミルコに促され、美亜は人だかりへと向かう事にした。近づくと歓声が大きくなる。もうどうにでもなれ、と半ば自暴自棄になりながら歩を進めた。

 

「わー!すっごい綺麗!頑張ってね!」

 

「体育祭見てたよ!惜しかったねぇ」

 

「……ありがとうございます」

 

 次々とかけられる声や、差し出される手に握手や軽い会釈をして答えていく。流石に何人もの人に注目され、緊張のあまり動きがぎこちなくなり何度か噛んでしまった気がする。それでも何とか対応し、一通り挨拶し終えてようやく落ち着いてきた。話す内容も、応援メッセージ的なものからプロフィール的なものに変わり、美亜もそろそろ引き上げようとした。

 そんな中、人だかりの端の方に俯いて遠慮がちにしている少女を見つけた。先程から声をかけるでもなく、握手を求める事もしてこない。ちらちらと視線は感じていたから、少なくとも応援してくれている人の1人なのだろう。美亜がその少女の方を見ると目が合ったが、すぐに俯いて逸らされてしまう。不思議に思った美亜はその少女へと歩を進めた。美亜の目的を察したのか、周囲の人たちも自然に空間を開け少女を前へと誘導した。

 

「よお、そんなに俯いてどうした?」

 

 中学1年生ぐらいだろうか、意外に小さかった少女に屈んで目線を合わせ声をかけた。黒髪ミディアムヘアの前髪には金色のメッシュが入っており、垂れ下がって目元まで覆い隠している。俯いてもじもじしているが、どこぞのロッカーのようなパンクな格好をしている。美亜はそのチグハグさに首を傾げながら少女の返事を待った。

 

「あ……あの!」

 

 少女が両手を強く握り意を結したように声を張り上げる。急に大きな声を出したせいか声が裏返ってしまい、顔がみるみる赤くなっていった。美亜はそんな少女の様子に表情を変えず、じっと次の言葉を待った。

 

「あの……好きです、応援してます。体育祭かっこよかったです。あたし、その、最初に見た時から綺麗だなって思ってて、それで……」

 

「分かった分かった、とりあえず落ち着け。私は逃げないし時間もあるから」

 

 美亜は矢継ぎ早に言葉を続ける少女の頭を少し乱暴に撫でる。話したい事に口がついていかない感じは、どことなくかおりに似ている気がした。だからいつもの癖で頭を撫でてしまったが流石に迷惑だったんじゃないか。少し不安に感じたが、少女は嬉しそうに目を細めてナデナデを受け入れていた。

 

「あたし、ヒーローとか全然興味無かったんだけど……千染さんを見てかっこいいなって、あんな風に活躍できたらなって思って……」

 

「そうか、ありがとう」

 

 美亜は内心首を傾げる。皆体育祭での活躍を誉めてくれるが、そもそも活躍していただろうか。体育祭なんて、爆発に巻き込まれ、半身を氷漬けにされ、暴走して制圧された記憶しかない。まぁかっこいいと言ってくれているならそういう事にしておこう。

 

「それで……雄英高校……目指したいなって。今更遅いかもしれないけど。2年生だし、学校行ってなかったから……」

 

 少女の声が次第に小さくなる。雄英高校ヒーロー科は国内最高峰、当たり前だが入学難易度も相応に高くなる。実力と学力共に優れているか、実力が余程突出していないと門前払いだろう。不登校というのは余りにもアドバンテージが大きい。

 

「そんなこと言われてもな……私も学校なんて行ってなかったぞ」

 

 だが、美亜は中学生はおろか小学校にすら行っていない。五十歩百歩かもしれないが、状況は少女より最悪といえる。勿論家庭環境に差はあって、そこに問題があるのかも知れないがそこまではフォロー出来ない。

 

「それも小学校からだぞ、こんな私でも雄英高校に入れたんだ。必ず……とは言わんが、目指しちゃいけない理由にはならないだろ」

 

 少女は驚いて顔を上げる。まさか雄英体育祭で3位になるような人が、中学はおろか小学校まで行ってないとは。

 

「とりあえずやってみろよ。駄目だったとしても、雄英志望ならどっかのヒーロー科には受かるだろ。そこでまた努力すれば良い、どうせ将来は同じヒーローだ」

 

 やっぱりこの人には芯があるんだ、少女はそう実感する。自分と同じように学校に行ってない千染さんが雄英に入学し、雄英体育祭で3位に輝きあのミルコの元で職場体験をしている。その事実は少女を勇気づける。

 

「あの……あたしも……ヒーロー目指します!駄目かもしれないけど、それでも頑張ってみます!」

 

「そうか、まぁ好きにすればいいさ。駄目だったからといって私に文句を言いにくるなよ」

 

 急に恥ずかしさを感じたのか、口元を手で隠した美亜が空いた手で少女の頭を乱暴に撫でる。そして群衆に向かって一礼すると、早足でミルコの元へと立ち去っていった。

 

「よかったなぁ嬢ちゃん、頑張れよ!」

 

「そうだよ!いつか雄英体育祭で見れるのを楽しみにしてるね!」

 

 少女の決意に感動した人達が、次々と激励のメッセージを送る。少女も先程までの暗い表情と一転し、花が咲いたような笑顔でそれに応えるのだった。

 

 

「へぇ……お前って意外と熱いヤツなんだな、見直した!」

 

「うるさいぞ!はぁ……何であんなこと言ったんだ私は……」

 

 一方美亜は、ミルコに散々茶化されながら、自分の恥ずかしい言動に頭を抱えパトロールに戻る。少女の煮え切らない態度に熱くなってしまい、つい色々と話しすぎてしまった。一刻も早く忘れよう、そう割り切った美亜はパトロールへと集中する事にした。

 出鼻を挫かれた形となったパトロールだったが、その後は特に大きな事件もなくのんびりと進んでいった。流石にヒーローが多数集まった保須市で暴れる(ヴィラン)などおらず、お婆ちゃんの荷物を持ってあげたり、子供と遊んであげたりと、美亜でさえも平和なまま1日が終わると思っていた。

 

 それが嵐の前の静けさとは知らずに――





美亜:返信こない……これが既読無視というやつか(ブチギレ)

飯田:あれにどう返せというんだ!?

・美亜の新スタイル
 血で鎧を作ります。外さえ固めてれば中はどんだけぐちゃぐちゃでも戦える!という脳筋戦術です。全身覆ってしまったらもう誰だか分からないし、コスチュームもいらないよね……?

読んでいただきありがとうございました。
相変わらず亀更新ですが、次回もよろしくお願いします!
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