雄英高校のヒーロー科と言えども高校生として勉強をする必要がある。そのため午前中は必修科目、国語や数学、英語などの授業を行なっている。
雄英高校に通って2日目、A組では1限目の英語が行われていた。
「んじゃ、次の英文の内間違っているのは…?
おらエヴィバディヘンズアップ盛り上がれーーーー!!」
教室にプレゼント・マイクの声が響く。
そう、雄英高校は教員が全てヒーローなので授業の個性が強い。
ただ確かに教員のキャラは濃いが、授業内容は至って普通なのだ。そのギャップでほとんど皆が普通だ、とかつまらん、と思っていた。
(おー、成る程、勉強してる感じするな。
これが噂の挙手か、確かに飯田や八百万の真面目組以外は誰も手あげないな、かおりから聞いた通りだ。新鮮だな…)
そんな中で美亜は以外と楽しんでいた。授業内容やプレゼント・マイクのテンションではなく、学校に通い、集団で授業を受けるというのは初めての体験でとても新鮮だ。せっかくだし挙手してみるか…と右手を控えめにあげる。マイクがおっ!と声を上げてこっちを見た。
「意外なお便りありがとう!千染、アンサー頼むぜ!」
「1だ。容易いな」
「ノー!次!」
おかしいな、絶対に正解してると思ったのだが。成る程4番か、流石真面目眼鏡だ。
2時間目 エクトプラズム先生の数学
「中学ノ復習ダ。コノ問題ヲ答エテミロ」
「√3だ」
「チガウ、次ダ」
3時間目 セメントス先生の現代文
「この時の筆者の気持ちを答えなさい」
「②だ」
「違うよ美亜さん、なんでそんなに自信満々なのかな?」
4時間目 ミッドナイト先生の近代ヒーロー美術史
「このヒーローの名前は?」
「オールマイトだな」
「全然違うわ、ホークスよ。貴方の目には何が写ってるの?」
こうして午前の授業を終えると大半の生徒が食堂に向かった。食堂ではクックヒーロー、ランチラッシュの作る絶品料理が安価で食べれる。
例に漏れず美亜も食堂に向かう。食堂があるからと美波が気を使ってお小遣いをくれたのだ。ちなみに、毎朝風斗とかおりに弁当を作っているのでもう1人分ぐらい難なく作れる。しかし、美亜には大きな問題があった。
(学食というものは誰かと食べると聞いたぞ、まずいな、誘うってどう誘うんだ、そもそも誰を?)
私自身は1人で食べることに何ら抵抗はない、むしろ煩わしく無くて良いと思う。しかし2日目で壁を作りに行くのは流石にまずい、あまり悪目立ちしたくは無い。
「美亜ちゃん!学食?一緒に食べよ!!」
「そうか、いいぞ。一緒に食べようじゃないか」
立ち止まって迷っていると麗日が誘ってくれた。その慣れた誘い方に感心しながら麗日についていくと既に緑谷と飯田がいる。どうやら彼らも一緒に食べるらしい。
4人が食堂に向かう後ろ姿を見て峰田は歯を食いしばる。
「くそー、何だ緑谷!あいついきなり愛嬌抜群の麗日とモデル級の千染を侍らせやがってー!!」
「いや飯田もいるだろ」
瀬呂範太は苦笑いしながら悔しがる峰田にツッコミを入れていた。
美亜は今日のランチラッシュセット、ブリの照り焼き定食を受け取って席に着く。さて、何を話すんだと困惑していると飯田が黒縁メガネを右手で上下させながら話しかけてくる。そのロボットみたいなカクカクした腕の動きはどうやっているんだ…?
「美亜君!午前中の授業は素晴らしかったな!中学の復習といえどもやはり興味深い、君もそう思うだろう!?」
どうやら毎回手を挙げて発言していた私が授業に興味を持っていたと勘違いしているらしい。横で美味しそうに頬を膨らませて白米をもぐもぐ食べていた麗日が笑顔でキツいことを言ってくる。
「そうだよ!全部間違えても諦めないのはすごいよ!」
「麗日、その発言はうららかじゃないぞ」
「そうだ麗日君!例え間違えても復習して今度こそ正解したらいいんだ、何事も最初の一歩からだ」
熱心に語る飯田をBGMにして、時折相槌を打ちながら舌鼓を打つ。料理ヒーロー?が作ってだけあってかなり美味しい。特にこの白米は一粒一粒が艶々で、固すぎず柔らかすぎずの程よい炊き方、こだわりが感じられる。
「そういえばあのホークスとかいうヒーローは凄いのか?ミッドナイト先生が新進気鋭のスーパーヒーローと言っていたが」
美亜がそう尋ねると、横で普通に話していた緑谷が急に身を乗り出して早口で捲し立ててくる。
「えぇ!千染さん知らないの!ホークスは『速すぎる男』と呼ばれてて凄いヒーローなんだ!個性は『剛翼』!18歳で事務所を立ち上げて僅か半年でトップ10ヒーローの仲間入り、10代でのノップ10入りは史上最年少で前回のチャートで22歳で遂にトップ3に入ったんだ!あ、チャートっていうのは
「長いぞ緑谷、それにそんな近づかれては食べづらいだろ」
「あっ、ごっごめん千染さん!」
美亜が呆れた表情で言い放つと、緑谷は顔を真っ赤にして手で覆いながら慌てて離れる。
「緑谷くん!素晴らしい知識だ、ヒーローがよっぽど好きなんだな!」
「ヒーローオタクなんだね!凄いやん!」
飯田と麗日は何故か感心したように褒め称えている。麗日にそれは褒めているのか?と疑問を抱きつつ付け合わせのきんぴらごぼうを一口食べた。やっぱりおいしい、ホークスは覚えられなくてもランチラッシュぐらいは覚えておこう。
昼休みを終え、午後の授業を待つ教室は浮ついた雰囲気に包まれている。
午後はヒーロー基礎学。しかも担当はあのオールマイト、ヒーローを目指す生徒たちが浮き足立つのも無理はない。
そして、廊下からあの声が響く。
『わーたーしーがー!!
普通にドアから来た!!』
勢いよく入ってきたオールマイト、NO1ヒーローの名に恥じない筋骨隆々、威風堂々、明らかに何かが濃い様な気がする英雄の登場に教室のボルテージは最高潮に達する。
「すげぇ…オールマイト本当に先生やってるんだな!!」
「ヒーロー基礎学!ヒーローの素地を鍛えるための科目だ!早速だが今日はこれ、戦闘訓練だ!!!」
そう言って掲げたプレートには「BATTLE」の文字、いきなりの戦闘訓練に教室が騒めく。
「そして、そいつに伴って…こちら!
君たちの『個性届』『要望』に沿って作られた
着替えたら順次グラウンド・βに集まるんだ!」
戦闘服という最高に盛り上がる物が渡され、最高潮かと思われたボルテージは更に上がる。立ち上がってる生徒もいるぐらいだ。
そしてオールマイトは最後に言葉を残す。
『格好から入るってのも大切なことだぜ少年少女!!自覚するのだ!!!今日から自分は…ヒーローなんだと!!』
女子更衣室で着替えているとやはりオールマイトの話題になる。
「やっぱ凄いね!オールマイト先生!」
「かっこよかったですわね」
「いやーNO1ヒーローは迫力あるね」
そんなことを話しながら横で着替える八百万の戦闘服を見て美亜は思わず声をかける。
「なぁ…それは恥ずかしくないのか?胸元が丸見えじゃないか」
「それに脇と脚が丸見え!やばいよそれ!」
「要望ではもう少しお腹にかけて肌が見えていたのですが…布が増えてしまいました。」
芦戸も賛同するように声をかけると八百万は心底不満そうに戦闘服を見る。しかし皆が思う不満とは逆方向のようで、肌を覆われたことに不満を持っている。
八百万の個性は『創造』、強力な個性であるが肌から直接生み出すため服は邪魔になる。
「八百万さんは控えめになったんやね。
私、パッツパツだよ、ちゃんと要望出せばよかったよ…」
「可愛いと思うよ、ピンクいいよね!」
「そうですわ、麗日さんらしくてとっても素敵です。」
そう言われた麗日が照れた様に笑う。麗日のスーツはピンクと黒を基調にしたスーツで、ベルトと手首の球体以外はピチッとしてボディラインがはっきりとわかる。
それを聞くと今度は美亜の戦闘服を見る。
「千染さんの戦闘服、魔女みたいですわ」
「魔女っていうか軍服?だよねー、可愛い!」
「いーなー、美亜ちゃんスタイルいいから本当に似合ってる」
美亜の戦闘服は首までボタンで止めた白いシャツ、腰には胸下まで長さのある漆黒に紅い刺繍の入ったコルセットを正面で留めて巻いている。そこから背中側に生地が続き、肩を覆っていながら胸の上で合わさり、そこに紅のブローチが着く。肩口からは白磁の様な美しい腕が晒されている。下はピチッとした黒のパンツで、細く引き締まった脚が強調される。
(なんで下半身がこんなパツパツなんだ、まさか制作者の趣味じゃないだろうな?それにこんなに黒赤だと胸の白が目立つ…)
皆が着替え終わるとグラウンドに出る。戦闘服を着たからか皆の表情は引き締まっていて様になっている。
そんな彼等をオールマイトの気合いの入った声が向かえた。
『始めようか有精卵共!!!戦闘訓練のお時間だ!!!』
ここまで読んでいただきありがとうございます。
明日には戦闘訓練を始められそうです!
コスチュームなのですが頭に思い描いているモノを文章にするのが難しすぎました…、皆様の脳内でかっこよく、それでいて可愛く保管していただけると幸いです。
袖は無しの方向でお願いします。