心が弱くても勝てます   作:七件

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ルールの詳細はお手元の原作をお読みください。
その都度説明するかもしれませんが既知の事実として利用します。
題名が二つ続けてV系バンド感があるのはわざとじゃないです。


自由という名の牢獄

 

 

 

「ではこれよりーー特別試験を行いたいと思う」

 

 

 海のさざ波をバックに、一年Aクラスの担任真嶋先生の冷酷な一言が、緩み切っていた空気にメスを入れた。

 

「え?特別試験?」

 

 その当たり前の疑問は、池だけでなく、ほぼ全クラスで等しく巻き起こっていた。

 今の今まで、ただの旅行だと思っていた生徒たちに襲いかかる不意打ち。

 そんな混乱をよそに、真嶋先生は淡々と試験内容を明かしていく。

 

 無人島で一週間過ごすこと。

 最低限のものは配布されること。

 300クラスポイント支給され、マニュアルから幅広くキャンプグッズから娯楽品まで様々なものが買えること。

 そして、特別ルール。

 

 テーマは『自由』

 

 なんとも皮肉めいている。

 

 先生方からの説明は程なくして終わり、試験は始まった。

 

 

 

「無理!段ボールのトイレなんて耐えられない!」

 

 他のクラスも話し合いが始まる中、Dクラスのスタートはそんな不毛すぎる議題だった。

 篠原含めた数名の女子が、茶柱が見せた段ボールトイレの組み立て方を見て、抗議したのだ。

 平田はそんな彼女たちを宥めつつ、マニュアルから仮設トイレを購入することを提案した。しかし、反対の意見が挙がる。

 

「たかがトイレに20ポイントとかあり得ねえだろ!」

 

 ポイントを節約したくてたまらない南や池は、断固として首を横に振った。

 

「はあ?男子はそうかもしれないけど、こっちだって色々あるから。ね?平田くんもなんとか言ってよ」

「確かに、ポイントを全く使わないことは難しいと思うし……」

「そうよそうよ!」

 

 平田を盾に好き勝手言う篠原に、ポイントを出来るだけ使わない派の幸村も難色を示した。

 

「女子が仮設トイレを欲しがる理由は分からなくはない。しかしだからって、僕ら男子のポイントでもあるものを勝手に使おうとするのは納得いかないな。最低でも過半数の票を集めてから言うべきだ」

 

 眼鏡を上にクイッと上げて、篠原に対して厳しい口調をぶつける。

 

「女の子の総意だし!ねえ、軽井沢さんもなんとか言ってよ」

 

 女子の代表格である軽井沢に同意を求める篠原。

 しかし軽井沢は「別にどっちでも良くない?てか暑い」と、ダルそうにしている。

 太陽を遮るものがない砂浜で、突っ立ったまま議論を展開することに不満を持ち始める生徒も出てきた。だが幸村達は譲れない。

 

「この試験は他クラスとのポイント差を埋める千載一遇のチャンスなんだぞ。仮設トイレなんかに貴重なポイントは使えない。篠原さんのような個人の好き勝手を聞き入れていたら、いつまで経ってもDクラスから上がれないだろ。仮設トイレだけじゃない。僕としては今ここでしっかり方針を決めておきたい」

「は?なにそれ、私たちはなにも考えてないってこと?」

「本能のままで動くなら猿だってできる。女は感情論だけで動くから嫌いだ」

「別に全部使いたいとか言ってるわけじゃないんですけどー。最低限必要なものはあるって言ってんの。男の方が先のことも考えれない猿じゃん」

「それを好き勝手な判断だと僕は言っているつもりなんだけどな」

「だからっ」

「取り敢えず二人とも落ち着いて。もっと冷静にーー」

「冷静?だったら間違ってもポイントを使わないってことだよな?」

「それは……」

 

 

「少しいいかしら」

 

 

 段々ボルテージが上がっていく二人に板挟み状態の平田の代わりに、堀北は割って入った。

 今までクラスへの貢献を積み上げてきた少女の言葉だ。

 退学騒ぎや審議だけではなく、この前の期末テストでも彼女は勉強会を積極的に開き、平田がとりこぼしていた生徒を拾ってきた。彼女への信頼度は、四月時点では考えられないほど上がっている。

 誰もが彼女の意見に耳を傾ける。

 

「ここで話し合っていても埒があかないわ。まずはベースキャンプの場所取りやスポットの位置を確認をするべきよ。幸村くんも一度冷静になる必要がある。四十人で一つのトイレを回すことを、もう少し現実的に考えてみてはどう?反対意見があるならベースキャンプ地が決まって、ある程度落ち着いてから聞くわ」

 

 幸村は反論を考えているのか、押し黙る。

 篠原も自分の意見が尊重されている限りはそれ以上言わないだろう。

 

「この中にサバイバルに精通した人……、そうね、ボーイスカウトやキャンプ経験者の人は居るかしら」

 

 そして堀北はクラスメイトをぐるりと見渡す。

 すると、いつもは自信ありげな池が控え目に手を挙げた。

 

「キャンプ経験が何回かあるってだけだけど……」

 

「それでも充分よ。あなたのアウトドア経験を頼らせてもらうわ。今後は平田くんと協力してクラスを引っ張ってもらう役を任せても良いかしら?」

「えっ」

「経験があるのと無いのでは全然違うもの」

 

 女の子からモテたい池からすれば、こういった大役は願ったり叶ったりだろう。

 一方須藤は堀北に信頼されている池を見て、悔しそうにしていた。

 だが、須藤も須藤で、体力のある力自慢は今後のキャンプ生活で絶対に役に立つ。

 退学させなくて良かった、と堀北も今心底思っているはずだ。

 

「ありがとう堀北さん」

 

 平田は感謝の言葉を言ってから、島を探索する人を募った。

 強くは出れないまとめ役の平田をサポートする形で堀北は全体を動かす意見を出す。

 クラスの在り方が決まった瞬間でもあった。

 

 一旦日陰の場所を仮拠点として、今から一時間半ほどで成果の有無を問わずに仮拠点に戻る。その間探索チームではない人たちは、あまりに分厚いマニュアルを読み込む。

 ということになった。

 他クラスの中には既に動き出しているクラスもある。

 

 オレも一応探索チームに参加しておくか。

 

 十五人が立候補し、同じ班になったのは、

 

「よ、よろしくね綾小路くん」

「実に清々しい太陽だ。私の体がエネルギーを必要としているねえ」

 

 佐倉と高円寺だった。

 既に胃が痛い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 青々と生い茂った緑は、森の中へ足を踏み入れるたび色濃くなっていく。

 直射日光を避けられる分浜辺よりマシだが、ジメジメとした暑さは苦痛だった。

 先頭をどんどん突き進む高円寺はまるでこちらを気にしていない。

 不慣れな道をモノともしない強靭な足腰とスタミナには素直に感心する。

 

「高円寺」

 

 一応呼びかけてみるが、

 

「ああ、美しい。大自然の中を悠然と佇む私は、美しすぎる……!まさに究極の美!」

 

 ダメだ。

 手に負えない。

 

「佐倉、良かったのか?」

「え、な、なにが?」

「いや、探索なんて体力を使うし、面倒だろ」

 

 それに新たに出来た友達は立候補していなかった。

 わざわざ探索チームに入る必要はなさそうだ。

 

「だって……綾小路くんが、その、手を挙げたから」

 

 佐倉がハッとしたように顔を上げると、慌てて身振り手振りを交えて声を張り上げた。

 

「ちが、違うんだよ!!違わなくなくないけど!!!」

 

 どっちだ。

 好意の有無を遠回しに確認したかっただけだったが、鈍感系主人公らしい大変意地悪な質問になってしまった。

 恥ずかしくなったのか、小走りに前に飛び出す佐倉。

 

「あ、おい、危なーー」

「わきゃ!?」

 

 後ろを向きながら歩いていたため、大木の根っこに気が付かず、足を引っ掛け、後ろに倒れ込むーー寸でのところで、止められた。

 高円寺が颯爽と佐倉の転倒を防いだのだ。

 さながら白馬の王子様。

 

「女性の好意を無碍にしてはいけないよ、綾小路ボーイ」

「はわわ、こ、高円寺くん……」

 

 頬を赤く染める佐倉。

 高円寺はフッと笑う。

 

「悪いね、私は年上の女性が好みなんだ」

「私も高円寺くんはちょっと……」

「そうかい」

 

 高円寺の紳士的な態度に赤くなっていたわけではなく、好意があることをバラされたのが恥ずかしかったらしい。

 そのままくっついてくれても良かった。

 佐倉は高円寺にお礼を言う。

 彼は構わないさ、とまた先へと進んで行った。

 

「大丈夫か、佐倉」

「う、うん。高円寺くんって意外と優しいんだね」

「オレも驚いた」

 

 

 だが数分後、前言撤回することとなる。

 

 人生で初めて森らしい森に足を踏み入れた。

 最初はある程度方角を頭に叩き込んでおけば大丈夫かと思っていたが、それは見当違いだった。まず、そもそも真っ直ぐ歩くことができない。自然の障害物は乗り越えることを許さず、どうしても右へ左へと進路を強制的に変えられてしまうからだ。

 高円寺を見失えば、迷子になってしまうことだろう。

 しかし、こちらの事などお構いなしに、高円寺は更にペースを上げる。

 

 汗をかきながら、グッと小さくガッツポーズを作って見せ、「頑張ってみる」と無理をする佐倉。

 彼女もそうだが、オレも流石にバテてきた。

 今なお心拍数を測られていると思うと、少しだけ心配になる。

 

 

「あまり早いペースで進むのはマズいんじゃないか?迷うぞ」

 

 オレの理想とする道筋を進んでくれるのはありがたいが、息が上がりきっている佐倉を気遣い、忠告しておく。しかし彼は振り向くこともなく、髪をかき上げた。

 

「私は完璧な人間だ。この程度の森で道に迷うほど愚かではないさ」

「結構でかい森に見えるけどな」

「ここは自然の森とは呼べない。少なくとも日中、彷徨って迷う確率は極めて低いだろうねえ」

 

 佐倉を気遣うという先程見せた優しさに期待したが、どうやら無謀だったようだ。

 だが、興味深い意見は聞けた。

 

「ところで君たちに聞きたいのだが、実に美しいとは思わないか?」

 

 森を抜けるまで止まらないと思っていたが、突如目の前で立ち止まる。

 そしてこちらを振り返ると、髪をかきあげながら不敵に笑った。

 

「この森が?それとも高円寺が?」

「私に決まっている」

「いつもより美しく照り輝いているぞ」

「ハッハッハ、そうだろう」

 

 二人一組を組まされる際、変人枠として括られ、ことごとく高円寺とペアだったため、なんとなく彼の言おうとしていることが不本意ながら最近分かるようになってしまった。

 

 

「高円寺」

 

 だからこそ、再び先を行こうとする自由人を呼び止める。

 

「リタイアするつもりだろ」

「興味深い島ではあるが、確かに私を一週間引き止めるほどの魅力は感じないねえ」

「そうか。なら少しはクラスに貢献した方がいい」

 

 高円寺は何も言わずに空を仰いでいる。

 まるで関心がない、といった具合だ。

 もちろんオレと堀北の体調が万全であったなら放っておいたが、無為に30ポイントを落とすのは流石にキツい。自由人の才能の一端でも発揮してもらえれば御の字。

 

「この試験だけじゃない。今後クラス内で蹴落とすようなものもあるかもしれない」

 

 自分でも苦しい論だと分かる。案の定高円寺はつまらなそうにしている。

 まあ言うだけタダだ。

 

「個人の実力ではなく、仲間を募るような、そんな試験だ。その際、今までの好き勝手を理由に切り捨てられる可能性があったら面倒だろ?オレはこういった自然には詳しくないが、高円寺が何かヒントをくれれば、それを利用した発想をクラス内に高円寺が残した意見だとして伝えることができる。30ポイント分の働きを、」

「美しくないねえ」

 

 突然高円寺はそんなことを呟いた。

 一応オレの話はしっかり聞いていたのだろうか。

 だが、美しくない、とは何のことだ。

 佐倉は不安げにオレを見上げる。

「普通に頼んでみる、とか?」

 と小声で提案された。

 

 高円寺は立ち止まったままだ。

 

 やはり彼の気まぐれには付き合い難い。

 

 

「……お前の力が必要だ、高円寺。オレのためにも手伝って欲しい」

 

 

 オレは慣れない言葉を辿々しくなぞった。

 すると高円寺は白い歯を見せて笑った。

 

「暇潰しには悪くない。綾小路ボーイ。メモとペンはないかい?」

 

 オレはマニュアルから勝手に拝借していた簡易な地図とペンを高円寺に渡す。

 受け取った高円寺はそのままオレ達を気にも留めず、先を行ってしまった。

 前方からは時々草をかき分けるような、大地を踏みしめるような音が聞こえてくるだけだった。

 何故か佐倉はオレの顔に向けて手でシャッターを切る真似をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どど、どうしよう。すごい秘密、知っちゃったね……!」

 

 Aクラスに大打撃を与えるような情報を耳にしてしまった佐倉が興奮気味に言う。

 

 洞窟内部に埋め込まれているモニター付きの端末装置の画面にはAクラスの文字。七時間五十五分を切ったカウントダウンが表示されている。

 先程、Aクラスの二人がこの洞窟から出てきたところをオレたちは目撃した。

 

 船が桟橋に着く前、この島の外周を一周した。

 目敏い生徒はそこで、島の地形をある程度頭の中に入れていることだろう。

 それが、オレがここを一番に目指していた理由。

 必ず、この地形的有利かつ他所のスポットと近い洞窟のスポットを占有しようと動くクラスが現れる。リーダーのヒントを得られないか、と足を運んでみたが、想像以上の成果を得られた。

 

 恐らくあれは弥彦と呼ばれていた生徒のミスだ。

 櫛田の情報が正しければ、葛城のような男が迂闊に占有するとは思えない。わざとカードを使ったかのように持っていたのも、慎重な彼だからこそのカモフラージュ。

 

「後でオレの方から堀北に伝えておく」

 

 佐倉はリーダーを葛城と誤認しているようだったので、一応混乱の元になるから、と口外しないよう言い含めておく。

 

 

 仮拠点に戻る途中、偶然にもBクラスの生徒を見かけた。

 こっそり後をつけてみると、Bクラスの拠点を発見した。佐倉は普段のオレへのスニーキングのおかげで気配を消す術が上達していたらしく、足手まといにはならなかった。

 茂みに隠れながら、Bの様子を窺う。

 

「……すごいテキパキしてるね」

 

 佐倉が小声で言った。

 

「ああ。Dクラスの上位互換といったところだな」

 

 どうやら井戸をスポット占有するつもりのようで、その近くにベースキャンプを建てている。

 大きなテントを張る余裕はないが、その分をハンモックで補い寝泊りするスペースを確保していた。

 話し合いも活発に行われており、聞こえてくる限りだと、大量にビニールを貰って寝る際の緩衝材にする、ウォーターシャワーを活用する、など他にもお手本になるような有意義な情報が飛び交っている。

 一之瀬が議長の役割で、クラスメイトに意見を募り、パッパと決めていく。

 クラスを引っ張っていく役割としては、理想的な姿だろう。

 

 観察している間に、時刻は三時を過ぎていた。

 長居すればバレてしまう危険性も高まるので、リーダー決めが行われるのを待つのは諦めることにする。占有装置の位置を把握できただけでも大きな成果と言えるだろう。

 

 

 

 しかし、表向き成果を得られず仮拠点に帰ってみると、そこには誰もいなかった。

 

「は、ハブられた……」

 

 視界がぐにゃりと歪む。

 オレは知っているぞ、これはイジメというやつだ。

 かくれんぼで一人だけ見つけてもらえず、探すのを飽きられて鬼役含めてみんな帰ってしまうとかそういうやつだ。みんなのトラウマ。オレは意外と物知りなんだ。

 何故かオレに対して佐倉が再びシャッターを切る真似をしていたが、違う、そうじゃない。

 

「帰る場所を間違っちゃった……とか?」

「それはないはずだ」

 

 勝手にマニュアルの地図を切り取ったことがバレたのか?

 だからって佐倉まで巻き込まなくたっていいじゃないか。

 人間社会怖い。まんじゅう怖い。

 

 仕方がない。

 よく聞け、いいか。

 ここをキャンプ地とする。

 

 そう地面に手をつき項垂れていると、

 

「あ、いたいた」

 

 背後からそんな声が聞こえた。

 振り向いてみると、そこには山内が立っていた。

 山内!

 

「や、山内くん。みんなは?」

「寛治が川の占有装置を見つけて、そこを拠点にすることにしたんだよ。戻ってきてない班が佐倉と清隆と高円寺だけだったから、一人で待つことになったわけ」

 

 爽やかな顔でニカっと笑う山内。

 佐倉目当てで待っていたらしい。

 しかし、彼女は一歩引いている。

 

「助かった山内。あと一秒でも現れるのが遅れていたらオレは精神崩壊を起こしていた」

「ところで高円寺は……」

 

 オレと佐倉は顔を見合わせる。

 どう説明しようか。

 

「悪い、見失った。まあ高円寺のことだから大丈夫だとは思うが」

「マジか、まいっか。ベースキャンプはこっち」

 

 山内も高円寺の奇行に、もはや咎めることはしなかった。

 というか多分オレがいなくても山内なら「まいっか」で済ませてきそうだ。

 

 そんな山内についていくと、彼はおもむろに木の枝を拾い出した。

 

「な、何してるの?」

「焚火用の木を拾ってんだ。どうせ森を歩くし、効率的だろ?」

「おお」

 

 有能な男を演出するつもりらしい。

 そういえば無人島で良いところ見せて、船に戻った時にあの人形をプレゼントして惚れさせる、と意気込んでいたな。

 考えたな山内。

 これは佐倉の好感度ポイントをがっつり掴めるんじゃないか?

 

「じゃ、じゃあ私も!」

 

 山内の行動に感心するかと思われた佐倉だったが、何故か焦ったように木の枝を拾い集める。山内も「あれ?」と困惑気味だ。

 

「あー違う違う!焚火用の木の枝ってのは、乾いた細い枝の方がいいんだZE」

 

 すぐに切り替えて、アウトドアにも精通している感を出し、山内は親指を立てて格好付ける。

 どうせ池の受け売りだろうが、これには流石の佐倉もイチコロだろう。

 

「あ!そ、そうだよね!!」

 

 しかし、男の腕くらい太い木の枝をボトボト落として、わたわた慌て出す佐倉。

 

「たくさん拾わないとっ!」

 

 細い木の枝を強引にかき集めたため、ポロポロ溢れていき、最終的には躓いて転んでしまった。

 そしてオレの方を一瞬チラリと見て、しゅんと項垂れる。

 

 ……どうやら良いところを見せたかったのは、何も山内だけじゃなかったようだ。

 

「ごめんね、私。そそっかしくて……」

「い、いや、俺も最初は分かんなかったし……」

 

 落ち込む佐倉を励ます山内。

 その時だけ、いつもの欲望に塗れた目は鳴りを潜めていた。

 

「そ、そうなの?」

「だから気にすんなって!」

「あ、ありがとう!」

 

 二人の間に友情が芽生えた!

 

 

 

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