ゼロの武偵   作:滝瀬

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第11話

 

「まさか、フランスの名前を教えてないとかアランらしい」

 

そう言いながら苦笑いする男

アルフォンスさんというおじさんだ

俺はこの人と父の相性の悪さをそこはかとなく感じる

 

「アランって昔からなんでもできたけどコミニュケーションが下手でね」

 

アラン、とは父の方だったらしい

父の兄のアルフォンスさんはアルというあだ名で呼ばれている

正直いって長い名前だしな

 

紅茶を飲みながらクッキーを食べたりと談笑を開始したアルフォンスさん

 

対して俺はぐったりしている

ジークという名前だったとかそこら辺から驚きだ

 

「アランの奥さん、君のお母さんのメアリはルクセンブルクの第三王女でね」

 

なんだよそれ

初耳だぞ

というか、俺は王女を殺したのか

それはそれで凄いことしたな、俺

 

「とても綺麗な子だった。『一生枯れる事のない花』そう言われる程だった」

 

思い出に浸るように俯きながらそういうおじさん

おじさんはまだ結婚もしていないと聞く

それを聞くともしかして母さんの事が今もずっと好きなのか

 

「アランは王様になる寸前だったけどメアリを選んで日本へ逃げた」

 

逃げた

そう聞いた時は信じられなかった

父は決してそんなタイプの人間じゃない

 

「他国の王子と王女の結婚なんて争いの元にしかならないって言って。あの時のアランは凄かったよ」

 

無意識に歯を食いしばっている

 

普通にその・・・母さんの事が好きだったんだな

 

なんというかものすごく気まずい

 

「本当、恋は人を変えるってよく言うよね」

 

まぁ、よく本とかに書いてあるよな

現実問題、優しい奴が実は嫉妬深いとかって恋愛面に関してだし

そこを考えていると特に()()という名の()()が浮かんでくる

 

喉が乾いてきたので、カップを手に取り紅茶を口に含む

 

甘い後味の紅茶だな

あまり紅茶に詳しくはないが嫌いでは無い

 

「ジークも誰か好きな人が居るから断ったんでしょ?」「ごほっ!ゲホッ!」

 

突然、変なことを聞かれてむせた

好きな人、えっ、なに?

あまりよく聞き取れなかったことにしよう

 

「な、なんて言いました?」

 

「恋だよ。こ・い」

 

濃い、鯉、故意、虎威、恋・・・!?

頭の中はパニックに陥っていく

何事だ、突然

 

「日本の学生の恋愛物語を最近読んだばかりでね。だからジークの事も気になって」

 

いや、そこを照れくさそうに話すなよ

それはともかく間違いなく恋愛面の話だな

好きな人?

そんな者は居ただろうか

 

ここ最近の女性関係を考えてみる

友達の部屋にあってはならない物を仕掛ける女

謎の求婚と一緒に狙撃をされ、奴隷にならと言われた

あとはまぁ写真を求めてくる女共

 

「居ない・・・ですね」

 

「じゃあ、異性で1時間だけ一緒に居ても良い人って居る?」

 

居るだろうか

この場合は身の安全の確保が先決だ

白雪は何故か大量の武器を所持している

それを考えると白雪の逆鱗に触れる事が有れば確実に瀕死だろう

 

アリアは癇癪をどこで起こすかわからない

二丁拳銃に2本の刀

それがなによりも危険そうに見える

だが、バリツという徒手格闘も出来ると聞いているからわかるのだが・・・

バリツは小指一本でも相手の動きを封じる奴がいるらしい

 

レキの場合は間違いなく狙撃関連だろう

徒手格闘については疑う余地も無い

狙撃手なので恐らく格闘は出来ないだろう

仮に銃剣を使われても距離を詰めればなんとかなる

それを考えるとレキが一番の安全だろうか

 

「レキ・・・ですかね?」

 

何故か目をキラキラさせてこっちをみるおじさん

もはや女子に見えてきたぞ

というかなんで恋バナになったんだろう

 

「じゃあ、その子の事が好きなんだよ!!」

 

詰め寄ってきてそう告げたおじさんはどことなく満足そう

そう告げられた俺はとてつもない感情の嵐だった

何故か、羞恥の感情とレキに会いたいという感情とそれと

 

「絶対にそんな事は無い!!」

 

その感情の存在を否定する感情

結局、朝方まで話を聞かされ話を言わされたのだった

 

そして、日本の寮に帰ると

 

「なんだ、このドアは?」

 

部屋のリビングの壁に前までなかったドア

それはキンジの部屋の方向に付いている

よく見れば家具の配置も多少なりと違うし

 

こんな事があろうとも部屋に防犯カメラをつけている

早速それを見よう

パソコンをいじり出した俺は知らなかった

この動画で胃と頭が痛くなる事を

 


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