ゼロの武偵   作:滝瀬

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花火大会

 

あの日から2日

今日は夏祭りというものがあるらしい

花火なんて炎色反応が起こした物

今まであまり興味はなかったが・・・・

 

「レキ、夏祭りに一緒に行こう。浴衣でな」

 

そう言って秋月が経営する服屋に入店した

社長の息子というのは何故か広まっており、かなり待遇が良い

レキなんか男の人に待遇がいいな

 

レキに似合う浴衣を見繕って貰い、会計は終わらせた

後はレキが出てくるのを待つだけ

女子は時間が掛かるってよくいうよな

携帯をいじりながら待つ

 

「お待たせしました」

 

無機質な声が聞こえた

携帯のゲームを終わらせようとログアウトを開始

 

「いや、あまり待って・・・・・・/////」

 

携帯を閉じて振り向いた時、レキに見惚れてしまった

 

普段は制服だからわからなかったのかもしれない

金魚の模様の入った水色がベースの浴衣

ヘッドホンも外しているのも新鮮だ

 

言葉を失った次には頬に熱を感じた

 

「零さん、どうかしましたか?」

 

レキに心配されてしまった

相当な時間、黙っていたのだろうか

 

「いや、なんでもない。じゃあ祭りに行こう」

 

そう言って自分の赤い顔を隠したいので、手を繋いで先を歩く

レキもちゃんと歩けるようにスピードを落とし気味で

 


 

レキは何事にもハイスペックだな

 

射的を見てたのでやりたいのかと思えば全発、命中させるし

 

金魚救いをさせれば店員が泣くまで救う程

 

極め付きはやはりこれだろう

 

「お前って案外食うんだな。意外だ」

 

たこ焼きを3パックと焼き鳥を50本くらい

今は隣で綿菓子を頬張っているので、今のうちにとかき氷を買ってきたところだ

2日も一緒に過ごしてるけど食事は一緒じゃなかった

それと、この小さい体のどこにその量の飯が入るのか気になる

 

「アレルギーとか嫌いな食べ物は?」

 

「ありません」

 

そうか、ないのか

ふーん

レキはつくづく俺の好みの女性とはかけ離れている

そう思っていたのにたくさん食べるし好き嫌いがない

ここは良いところだな

 

「俺、料理するのが好きなんだ。今度、作ったら食べてくれるか?」

 

「はい」

 

いつもの会話

何気ない会話だけどなんか嬉しい

フワフワして胸が熱くなる

 

「あと少しで花火が上がるな。良いところがあるんだ」

 

そう言ってレキの開いた左手を掴んで歩く

少しの接触でも心臓はドキドキいうのがわかる

それに、他の奴らがレキを見てたくらいでこんなに急いで歩く事は無いだろ

 

祭りの随分、騒がしい所から変わって静かな所に来た

近くのベンチに腰掛けて花火が上がるのを待つ

袖を何やら控えめな力で引かれた

何かと思いレキを見る

 

「・・・・・」

 

虚空を眺めているようだ

そっちに何が

 

「っ!?///////」

 

ブワッと一気に顔が熱くなった

 

カップルがキスをしている

 

レキは良くこれを無表情で見ていられるな!?

 

「私たちもしますか?」

 

なる程な!?

そう言う意味で虚無だったんだな

俺が人気のない場所に連れてきたからキスしたいとでも思われたのか

 

「い、いや、し、しなくていいでしゅ!」

 

なんだ最後の『でしゅ!』って

おもいっきし噛んでるじゃねぇかよ

そんな俺を横目にレキは何やら俺に『ヘタレ』とでも言いたそうな顔

レキにそんなつもりは無いのだろうがなんとなく苛ついてきた

 

「レキ」

 

そう短く呼んだ後すぐにレキの唇を奪った

 

短い時間のふれるだけのキス

それがいつまでも続いているように感じた

ドキドキする

花火が上がる音が聞こえたので、名残惜しいが唇を離す

 

兄さんが言ってた事があった

好きな人と居るとドキドキすると

これが“恋”って物なのか

 

「なぁ、レキ。俺の彼女になってくれ」

 

自分からキスした

何故かキスをしたくなったのだ

理由がわからない

ただ、暫くの間はレキと一緒にいたい

 

「・・・・はい」

 

控えめにだが、レキはそう返事をした

 

『私と結婚を前提に付き合って下さい』

 

そういえばレキは最初の方にそんな事を言っていたな

俺が告白しなくても弾丸に当たればよかったんじゃないか

そんな事、言われたら何故か恥ずかしくなってきた

 

夜空に炎の花が咲き誇る

 

この光景を一生忘れられないのだろう

 

今まで見てきた中で1番綺麗な花火だ

 


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