ゼロの武偵 作:滝瀬
祭りの次の日
買い物から帰ってくると突然、雨が降ってきた
誰かが雨乞いでもしてたのかもな
そんな事を考えつつレキも俺もシャワーを浴びた後
手紙の差出人と思われるAを待つ
人間の体の一部が花に埋め尽くされて死ぬ
そんな変死体が多く見つかった
変死体のどれもが近くに必ず木で作られたAという文字
犯人はその事からAと呼ばれている
犯人は捕まっており今は刑務所の中
冤罪の場合はAはまだそこら辺を歩いてるのかもしれない
本当に模倣犯だと良いのだが
「レキ」
「はい」
「お前もそろそろ飽きないか?俺と一緒に居て」
雷が鳴り響いた
あまりレキは動じた様子は無い
その途端にベランダに変な影が現れた
焼け爛れたような顔面を満面の引きつった笑みで飾った男
黒いマントを羽織り、俺を見るなり仮面を付けた
窓に触れたと思えば窓に草のような物が生えていく
何をするんだ
窓を破り、中に入ってくる
耳が少し尖っている?
柔道などを経験している人間は投げられた時の受け身で擦れて少し耳が尖ると聞く
手からマジックのように大きな鎌を出現させ、そしてレキに一直線で向かう
俺が先程、ドラグノフを直したのを見た
その為にレキは銃剣を使った攻撃ができない
「お嬢さんの血は・・・何色だ?」
近接戦には向いてないレキもヤバイ事を察知している
そのおかげで、後ろに下がって攻撃は避けてくれた
なら、今のうちにこいつを外に落とす
外なら流石に他の武偵が気づく可能性もある
追加で仲間が来てくれれば勝率も100とはいかないが上がるはず
真正面から男をタックルする形でベランダまで押し出す
男も突然の事であまり身構えては居なかった
指に花の蔓の様な物が生えてくるのでそれを引きちぎりながら
「レキ、今すぐ逃げろ!」
タックルをしていた相手が突如として蛇のように腕の外に出て俺に蹴りを振る舞ったのだ
体重を乗せた思い一撃が腹に入った
蹴りの威力が強かったのと不安定な空中に居たせいで部屋の端まで飛ばされる
内臓の一部が傷ついたのかどう言う訳か口の中が鉄の味で充満した
「ごふっ!」
喉の奥底から込み上げてくるような熱い感覚
咄嗟に手で口を抑えた時に手に付着した液体を見る
真っ赤な液体の正体は、血だった
気づくと吐血していたようだ
「くっ・・・・ふはははは!」
人が吐血したのを見て笑ったぞ
お前は相当いかれてるんだな、俺も言えたもんじゃないけど
「何が、おかしい・・・」
人が苦しむ様を見て笑うとは・・・
狂った奴だ
時間切れだ、残念だったな?
なっ!
視界の一面が黒で塗り潰され、意識が遠のいて行く
しまった、さっきの吐血で気を取られすぎたようだな
「あぁイッテェなぁ?」
腹の一撃が思ったより重いな
なる程、戦闘経験はそこらの一般人よりは確実にある訳か
これは戦いがいがありそうだな
「レキ、テメェはさっさと部屋から出ろ。邪魔だ」
そういうや否やレキの足元をすぐ様、隣のキンジの部屋へと飛ばす
少なくともこれで10秒は得た
音もなく俺のそばにやってきたA
鎌を振り上げるとその鎌は破裂しワイヤーへと変わる
俺の体を縛るようになったワイヤー
ワイヤーに苔のような物が生えていく
「なっ!」
Aは俺を抱えてどこかへと向かう
超能力を持っているのか、空を飛んでいる今
生憎今は、本調子じゃない
後、15分待つべきだったんだ
タイミングが悪かった
顔のすぐ横を弾丸が通り抜ける
危なっ!
だが、なんとなくだがありがたい
弾丸の向きと位置を置換させて、足に撃ち込む
「があっ!」
「うおっ・・・・!」
しまった、Aに手を離されたぞ
コンクリートに向かって自由落下が始まった
「レキ!!」
俺の声に応えるかのようにワイヤーを撃って切ったレキ
レキの2051mの範囲内に居る限り、Aも運が悪いようだな
「逃がしはしない・・・!」
落ちている途中で、上を見てみるとAが急降下して向かってきている
左手にはさっきと同様で大鎌が握られており、俺を斬りつけるき満々だ
今度は下を見る
コンクリートはもう目前
こうなってしまうとタイミングが重要だ
「て、
この際、もうやけだ
空間と空間を繋いで置換し、コンクリートのすぐ上に繋げた
そして、海岸にあるであろう大量の石を相手に
Aは一瞬だが、反応が遅れた
瞬きをしていたのだ
空間を置換して俺が逃げるとするならAが俺を触っている限りは逃げられない
だが、俺は逃げる筈だ
俺を相手取る時は確かに瞬きは命取りだからな
地面に背中が預けられた時
鎌の刃が顔のすぐ横に掠れた
すぐに横に転がって立ち上がり、左側に出てきた空間に手を突っ込んだ
「魔剣グラム・・・力を貸して貰うぞ」
淡い緑の輝きを放ちながら現れた魔剣
魔剣っていうくらいなんだ
白雪の何でも斬れる刀を斬るようには言ってない
あの邪魔でしょうがない鎌を切ってくれればそれで良いんだ
「仕切り直しといこうか・・・勝負だ!」