ゼロの武偵   作:滝瀬

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カジノ

 

7月24日の昼頃

 

自分の銀行からチップに変える予定の1億程を引き出した

武偵業でも稼ぎは良い方だし、それに秋月家の資産運用などを俺も少しやっている

家の手伝いなので副業では無いし、お小遣い稼ぎということになっているらしい

 

台場

公営カジノに用があって来たのだ

 

俺は、青みがかかった黒のビジネススーツを着用している

 

私服て入る訳にはいかないのでサイラスに手配させた

すると、なんとも言い難いのだが堅物感が否めない

そういうコメントを父からもらった

だが、この格好はこの格好でいいんじゃなかろうか

 

わざわざ、防弾製の繊維にしたのだから

防弾、防刃、防火・・・

この三拍子が揃っている服も中々に少ない

 

ただ、防火の服が存在するんだな

そう思ったのは確かだ

 

【ピラミディオン台場】

 

名前通りにピラミッドの形をした建物

作りも結構、面倒くさそうだ

ギャンブルと聞いただけで頭痛がするのに・・・

 

「ボヤいても仕方ないか。狼牙、道案内を頼む。だが、姿は隠せ」

 

────ボッ

 

青白い炎が手の平の上に現れたがすぐに消える

 

ここは悪魔で公共施設のカジノ

それであればマナーは守るべきだ

 

配慮の結果、視覚の共有

 

頭の中に刷り込まれていく記憶と情報量

その速度は尋常で無いくらい早い

だが、その程度で根を上げる訳にはいかないのだ

 


 

カウンターを抜けると、大金を賭けなくても良い場所

 

横を通り過ぎるだけでこちらをみる人たちは集中力がないな

海辺のカジノってだけあってホールを囲むように海につながるプール

水路のような所は水泳用ではなく、水上バイクでバニーガール達が渡る道だ

 

「キンジとアリアか。2人して何してるんだ?」

 

成金に見えそうなキンジ

アリアはなんというかバニーガールの服が似合ってないな

そう思いつつ、苦笑いを浮かべて話しかける

 

「秋月、お前も来たんだな」

 

「これでも俺は結構な稼ぎはあるからな。アリアはあれに乗らないのか?」

 

あれ

指を指して水上バイクを指摘する

アリアなら喜んで乗りそうだが、本人は乗っていない

ぶっちゃけ、アリアの長所を生かす為には水上バイクがこの場においては有効だ

 

「あぁ、そういえばなんで乗らないんだ?」「うるさい!」

 

ぴょん!

 

跳ねたアリアはキンジの両目に向けて自分のうさ耳カチューシャでキンジの目をついた

 

うわぁ、痛そ

 

「・・・・・・」

 

なんかアリアが黙りこくってるな

何故だ

今のどこに黙る要素が・・・・あったな

 

耳打ちでキンジに何か言っている

 

「あとで風穴ルーレットだわ!あんた!」

 

危険な単語が聞こえた

かなりの大声で最後ら辺は叫んでいたので、堪らないというばかりにキンジはどっかへ行く

 

「アリア。泳げないなら今度、教えてやるからキンジ達と一緒に来いよ」

 

そう言ってポケットから連絡先を出す

実は最近、やっと建設が終わったのだ

男子寮のすぐ近くに家を建てた

金を出したらものすごい勢いで建設を考えていく女デザイナー

それか面白くて気づいたらかなりの額を出していた

 

室内プールが屋上に着いているのを確認しているのでアリアが友達を連れて来たら満員になるだろう

次いでに料理の評価をしてもらう事ができる

 

「べ、別に泳げない訳じゃないけど・・・まぁ行ってあげないこともないわ」

 

そう言って俺の連絡先をちゃっかり受け取ったアリア

こういうのってなんというかアニメとかでは人気だよな

実際はどうか知らないけど

 

歌手つきのジャズバンドをガン無視して歩く

面白い事にここは高額のチップをかける場所らしい

ここにいる女性は生まれつきあまり集中力がないらしく俺とめっちゃ目が合う

 

ホールの一角

携帯でバニーガールの撮影をしてる変態の群れを発見

そんなに綺麗な人なのか

どんな人だろう

興味を惹かれて近づいていく

 

妙な人の集まりの原因は白雪のバニーガール姿だ

白雪は性格は“アレ”だがスタイルなどは良い

今、見た感じだと恥じらっている感じがあるのでそれが男心を擽ったのだろう

ドンマイだな、俺は助けないぞ

 

カジノの2階

特等・ルーレットフロア

最低の賭け金は100万でなんかよくわからないが入るだけでも別料金がかかるらしい

 

そのフロアの一角で人盛りができている

今度は一体なんだ

金ボタンのチョッキを着た小柄なディーラー(ゲームの親)

 

「れ、レキ・・・?」

 

聞いてないぞ・・・嘘だろ、おい

なんでこんな場所にレキが居るんだ

よりにもよって今日のこの日に

 

「では、プレーヤーは次の賭け金(ペット)をどうぞ」

 

そんな俺を他所にレキは無機質な声で言う

周囲の観客はその声に盛り上がった

カジノによっては少しルールが違うらしいが、ここはプレーヤーが金を賭けた

その後にディーラーが玉をルーレットに投げ入れる

 

「は、ははッ・・・こんなに強くて可憐な、ディーラーは初めてだよ」

 

だろうな

多分だがレキは自分で好きなところに玉を投げ入れている

それができない前提のルールだけどな、これは

レキの人並外れた動体視力はそれを可能にするだろう

 

「この僕が、1時間も経たないうちに3500万も負けるなんてね」

 

そこまで負けたら諦めろよ

というか、今日は運が悪いなとかそういう次元じゃないと思う

俺は男がやっていることに頭を抱えた

 

「・・・残りの手持ちは負け分と同じ3500万ある。これを全て(ノワール)に賭けよう」

 

熱のこもった声と目つきで積み上げたチップをテーブルの【黒】に置いた

ギャラリーは拍手喝采しているがなんなんだろうか

いまいち、俺は状況をわかっていない

 

「【黒】ですね。では、この手玉が【黒】に落ちれば配当金は2倍です。よろしいでしょうか?」

 

相変わらず表情にも口調にも変化がないレキは白のピンポン玉のような物を持っている

 

「あぁ。だが、配当金は要らない。代わりに()()()()

 

イラッときた

 

レキを金で買うような物じゃないか

物品なんかじゃないぞ、レキは

どう貰うのかは知らないが・・・この男

俺は大嫌いだ

 

「僕は強運の女性を得ることで運を得て来たんだ」

 

自然と足は動いていた

人混みを掻き分ける形で進んでいく

 

「・・・・」

 

レキは黙りこくり、何故か異様に俺と目が合う

だが、俺は今はそれどころではない

今のレキはギャラリーから見たら怒っているようにみえる

ニコリとも笑わないからな

 

「この勝負、俺もやらせてもらうぞ」

 

軽く手を上げて席に着く

女性は盛り上がり出したが、男性はやけに嫌そうな顔をしている

隣のどこぞの社長はもっと嫌そうだ

俺をジェルで固めた前髪の間から睨んでくる

 

「誰だ、お前もディーラー目当てか?」

 

「俺は秋月家の者で、ディーラー目当てじゃない。アンタと勝負して勝ってみたくなった」

 

会場は一気に騒めき出す

俺は気にしないが、若干だが隣の社長の興奮も覚めてるように感じる

それ程の名前なんだな、秋月は

 

「アンタがディーラー目当てなら俺もディーラー目当てという事で行くから配当金は要らない」

 

若社長が睨んで来るのでそれに対して俺は喧嘩を売る

レキはまぁ、世間一般ではあり得ない程の状況で無表情だ

何を考えているのかわからない

 

(ルージュ)の23にそうだな、全額賭けよう」

 

そう言って手持ちのアタッシュケースを開いて全額を出す

まぁ、手持ちは1億くらいなのだが

金だけは持ってる人間だというのがわかると周りが拍手する

何故か、その中でレキが俺と目を合わせようとしないが・・・

 


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