ゼロの武偵 作:滝瀬
「よう、零!」
昼休みに学食を食べに向かう
今日に限って寝坊したんだよな
そんな事を考えいると黒髪の男が話しかけて来た
「武藤か。おはよう」
今年はクラスが違うからな
多少、背が高くなりイケメンに見える
「相変わらず女子の人気が凄いよな、お前」
前言撤回
こいつはイケメンじゃない
「お前、嫌な事を言うなよ」
「零、お前は他の奴らより圧倒的にモテてるんだぞ!?」
いや、知らないし
モテてると言われても理解は出来ないんだが
一部の人間にはモテてるだけだろ、どうせ
「そして、俺はお前がチョコを顔色一つ変えずに貰ってた時に殺意が湧いたからな!!」
確か、貰ってる所で武藤が来たやつか
目があった時に並々ならぬ殺気を感じたのは秘密だ
お前、そんな事を言われてもな
「俺が全く興味も無い相手だっただけだ」
「お前、全人類のモテない男を敵に回したぞ!!」
大袈裟だな
武藤だって一部の女子には人気があるだろうに
俺はその一部の女子が何故か勇敢なだけであって・・・
今日は予想外の人物から呼び出された
文字通り、スナイパーの育成をする科
俺の中では危険人物育成所だ
例として俺がターゲットとしよう
狙撃手の弾丸は俺には届くが、俺の弾丸は相手には届かない
要するに場所さえバレなければ一人勝ちの様な物だ
俺としては敵対は何としても避けたい
「こんな所に呼び出してどうしたんだ、レキ?」
翡翠色の髪
アーモンド色の瞳
細身の黒い銃身のドラグノフ
ヘッドホンを付けてこちらを見据えるレキ
「零さん」
なんだ、妙に緊張する
レキがジリジリと近づいてくるので反射的に後ずさってしまう
背中に壁がついた瞬間────
唇と唇が重なった
ドクンッ───
心臓の音が耳元でしたように錯覚するくらいドキドキしている
シリコンのように滑らかな唇
それでいて、マシュマロのように柔らかい弾力
彫刻のように整った顔が目の前にある
「私と結婚を前提に付き合って下さい」
「不可能だ」
唇が離れた時に告げられた言葉
いろいろ言いたいことがある
順序をぶっ飛ばし過ぎているのだ
キスは普通、付き合ってる男女がする物だろう
それなのにただの知人がキスをする?
待て、アメリカではキスは挨拶だと聞く
レキの国ではこれが習慣・・・そんな国、無いよな?
手の甲で唇を隠しながらレキから離れていく
「逃がしませんよ」
────チャキ
ドラグノフを構えてこちらを見るレキ
間違いなく銃口は俺の心臓を狙っている
「・・・お前、意外と情熱的な奴だったんだな」
今、知りたくなかったよ
基本的に無口、無感情、無表情を貫くレキ
そんなレキにこんな形で命を狙われるとはな
考えもしなかった
女難ってこれも含まれてると考えて良いよな?
「断ると言うのであれば風穴を開けます」
どんだけ俺のことが好きなんだよ?
心の中でつっこんだ
これは自意識過剰かもしれないが、俺の何処が良いんだ
お前とは話した事は数える程しか無いだろ
一緒の仕事も5回しかしていない訳だし・・・・
というか、隣の部屋でよく聞くんだよな『風穴』って
「レキ、落ち着いて話し合おう」
ここは一旦、落ち着いてもらおう
そうでないと話が噛み合わない気がする
「お断りします。異性とは話し合いで手に入れるものではなく───」
即答したレキはそのまま言葉を続ける
俺は頭を抱えてしまうが・・・
「
それがレキの男女感のイメージか
まぁ、それは俺もそう思うがな
「やり方が盛大に間違ってるぞ!?」
奪うって心の事だと思うんだ、俺は
異性の身柄を先に奪ってどうするんだよ
「間違ってなどいません」
いつもより、強めの口調で告げるレキ
どんだけ身柄を確保したいんだ
こいつが刑事とかじゃなくてよかった
もし、刑事だったら手錠をずっと付けてきて了承するまで監禁ENDだろうからな
「落ち着いて聞けよ、レキ。俺はお前の事を知らない。だから付き合えない」
「では、付き合ってから知って下さい」
それじゃ意味がないんだよ
どうしよう・・・
ロボット・レキと言うだけはあるな
誰かが誤った情報でも教えたのか
それでこんな事になっているのかもしれない
「よし、じゃあこうしよう」
これしかないよな
急遽思いついた事がある
「明日から1日に1回。1分間、お前が俺の狙撃をする」
狙撃科の麒麟児レキ
これで挑むのは流石に難しいが・・・
「もし、俺に弾丸が当たるもしくは掠ったらお前と付き合ってやる」
反撃をしなくて良い
これが1番の利点だ
スナイパーの強みを1つ奪う
その代わり、俺はいつ狙撃されるかわからない
「わかりました。では、その言葉を忘れないで下さい」
レキは了承して、銃を肩にかけた
そして、屋上から去っていく
はぁ、どうにかしてレキから嫌われなければ・・・