ゼロの武偵 作:滝瀬
家から出れない
出た瞬間に狙撃されるとか真面目にあり得る話だ
というか、あのレキならやるだろうな
学校に行かなければいけないよな
そう自分の中で割り切って、外へと出た
奇襲は狙撃手の常套手段だからな
それなりに気を付けなければ・・・
いや、そんなに気を張っていれば流石に疲れる
精神的に疲労させた後でレキは俺を仕留めるという事も可能だ
───プルルル、プルルル♪
携帯の着信音が鳴り響いた
話している途中に狙撃されては困るので早々に部屋に戻る
携帯の画面の表示
それを見た時に頭を抱え、電話を壊すと言うことも考えた
だが、それでは金と資源の無駄
諦めて電話に出た
『零、今すぐ秋月に戻って来い』
電話がつながって開口一番それか
俺が話しているのが自分の父親であり、クズだ
「それはなんでだ?俺は武偵高に入っているからそちら優先にしたい」
『今、ここで言うのは非合理的だ。会って話そう』
父が自ら会う事を悲願している?
あり得ない
どんな状況であろうと自分の仕事を優先した父が
明日は槍が降ってくるのかもな
『今、迎えに車を向かわせた。もうじきお前の寮の前に着く』
それだけを言い残して電話を切る父
なんとしても俺に会うつもりなのだろうな
まぁ、会うのが嫌な訳じゃない
俺は別に父が嫌いな訳じゃないし・・・
「お久しぶりです、零様」
眼鏡をかけた几帳面そうな男
この男は元は武偵だったが、護衛兼執事として雇われている
「サイラスか。会うのは何年ぶりだ?」
黒のスーツに身を包み、白の手袋をつけたサイラス
エメラルドグリーンの瞳
後ろで結んだ長髪
紛う事なきサイラスだと再確認
サイラス・フォルベッジ
それが、彼の名前だ
「確か2年145日ぶりかと」
懐中時計を開きながらそう言うサイラスも相変わらずだな
そう思いつつ、車のドアを開かれたので大人しく乗り込む
レキにはメールを送った
明日は2分間にしてやるから今日はやめてくれと
快く了承したレキの返事を確認した時に着いたようだな
高い高層ビルの一室
100階建てのビルの1番上の部屋
その部屋の一室で威張ってるのが父だ
白銀の髪に黒い瞳の男
無精髭を少し生やしているが、それがなんとも言えない魅力になっている
「単刀直入に言う。お前はフランス王室の王子だ」
ついに頭がおかしくなった父
どうしてだろうか
何か、変な漫画の影響を受け出したのかもな
「頭がおかしくなったのか?」
真顔で聞く俺に父は青筋を浮かべたがすぐに消えた
確かに事情を省き過ぎたと父も気づいたのだろう
遅すぎるがな
「違う。まず、私は第ニ王子だったが王位継承権は兄にあった」
初耳だぞ、それ
というかなんでそんな事を言い出すんだよ
父の言動に不安を覚えながらも大人しく聞く
「まぁ、兄には子供が出来なくてな。それで弟の私の息子。つまりはお前だ。お前が次の王様になるかもしれん」
「は?やだよ、そんなの」
国のための政治?
そんな物は生憎、俺は好きじゃない
「それと、お前の双子の兄は行方知れずになって5年だ。淡い期待は捨てろ」
兄の事を今、出すな
というか、あれは多分生きてるぞ
普通に俺より強いし・・・
逆にあれを殺せるやつを見てみたいよな
「・・・国民が認めないだろ」
精一杯の逃げの言葉
これくらいしか、今は思いつかない
第一王子の息子ならまだしも、第二王子の息子に国を仕切られるんだぞ
国民からしてみれば面白くないと思う
「国民からの意見だ。お前は王族の血が入っている。それなのに役目を放棄するつもりか?」
断りづらいように圧力をかけてきやがった
今すぐどうという事もないだろうしここは応じるのが吉だろう
まずは大人しく言う事を聞く
タイミングを伺って逃げるのが早い
「わかった」
渋々了承した
すると、目に目薬をさした後に手帳を開く父
「では、2日後にイギリス行きのチャーター便に乗って王子に会いに向かえ」
「2日後!?それに、王子って誰だよ?」
「逢えばわかる。俺は忙しいからもう行く」
そう言って部屋を後にした父
嘘だろ、身勝手にも程があるぞ