「ベラ、ベラ!イザベラ!!」
「ジョースター、さん?」
目を覚ますと、そこはまだ救命ボートの上だった。
「酷く魘されていたぞ、汗もびっしょりだ。悪夢でも見ていたのか?」
「DIOが、私の夢にDIOが出てきたんです」
「DIOだと!?詳しく話してくれ!」
私は夢の中の出来事を一行に全て話した。
「未来を知っているってどういうことだ?ベラにそんな能力あったか?」
「そんな能力はないよ」
「かと言って私のような占いなどでもないのだろう?」
「はい、私に占いはできません」
「じゃあなぜDIOはそんなことを言ってきたんだ」
「……わかりません、DIOの配下であるスタンド使いに能力がわかる人間がいたとして、それに私は間違った形で引っかかってしまったのかもしれません」
「ふむ、ありえない話ではないな」
じジョセフ達に言ってしまおうか迷ったが、それを言ってしまえばおかしくなり始めている原作が更におかしくなってしまうかもしれない。
デス13以外の夢を作るスタンド使いって誰だ?
私の想像通り、能力がわかるスタンド使いがいるのかもしれない?
私の知らない敵スタンド使いって誰?何人いるの?二人?三人?
得体の知れない敵に対する恐怖にふるりと体が震える。それに首元にはまだDIOの冷たい感触が残っている。
「み、み、みんなあれを見て!」
そう女の子が声を上げ、指した指の方にあったのは大きな貨物船
どこか嫌な空気を纏ったその貨物船にみんな乗っていく。
……ここでは確か、船員一人がやられてしまうはずだ、助けなければ。
「イザベラさん、大丈夫ですか?」
「うん、もう大丈夫、心配してくれてありがとう」
全員が船に乗り、ジョセフが船に誰かいないか見回る。
すると、一人の水兵の上でクレーンがくわんくわんと不自然に動く。
「ヴァンス、お願い」
水兵をクレーンから離れたところに移動させる。
もちろん、他の水兵もだ。
時を戻すとクレーンは誰を攻撃する訳でもなく、ただ静かに上に上がっていく。
「だ、誰も操作レバーに触っていなかったのに!」
「気をつけろ、やはり誰かいるぞ……」
典明くんがハイエロファントグリーンで船内の隅々を散策する。
だが、夕暮れになってもオランウータン以外の生物はどこにもいなかった。
私は水兵たちの護衛のために一緒にいた。
耳をすませながら、何かあればすぐに対応出来るようにしていた。
――キリキリ……
私は音が聞こえた瞬間にヴァンスを発動させる。
オランウータンの脳天に思い切り重たい機械を落とす。
時を少し戻してみるとギャインとオランウータンの悲鳴が聞こえ、走り去っていく音もした。
流石動物、なんとなく私がやったと分かるのだろうか。
「今、あの猿の鳴き声が聞こえたぞ……?」
「檻の中で何かやってしまったのでは?気にせず作業を続けてください」
あとは多分、原作通り承太郎が何とかしてくれる。
アット・ヴァンスはあまりパワーがないけれどこの水兵たちを守ることは出来る。オランウータンが変な気を起こしてまた水兵たちを襲わぬようちゃんと見ていなければ。
「イザベラさん……何やら外が騒がしい様ですが……」
「外に出ることは私が許可しません。どうかここにいてください」
「わかりました」
水兵がそう返事をした時だろうか、ズブズブと足元が沈んだのは。
全員身動きが取れなくなってしまった。
だが"まだ"私たちを殺す気ではないようだ。顔が埋まるか埋まらないかのところで沈まなくなった。
あの猿はどうしても先に承太郎を仕留めたいらしい。
たかが猿に承太郎が殺せるわけないのに。
しばらくして拘束が緩み船がぐにゃぐにゃになっていく。
「こっ、これは!」
「みなさん早く、こうなっては逃げるしかありません!乗ってきたボートで脱出しましょう!」
私たちと、少女と、水兵を乗せたボートがまた海に出る。
無事シンガポールに着くよう、今は祈るしかできない。