「ベラ、ポルナレフが心配か?」
「アヴドゥルさんがついて行ったから大丈夫だと思いたいんですけど、やっぱり心配です……」
「そうか」
「空条承太郎、それにイザベラ・ポズウェルか」
名前を呼ばれ、私たちはその声の方を向いた。
そこにはテンガロンハットをかぶった西部のガンマンのような格好をした男が立っていた。
一言声をかけてやろうと思ったとき、先に承太郎が私を庇うように前に出た。
「なんだ」
「いやなに、あんさん達を殺しに来たんだよ。だが女は殺せねぇな……」
「へぇ、優しいのね」
「あぁ、女に"だけ"な」
「ッ、承太郎さん!!」
慌てて承太郎を突き飛ばす。
人間、焦ると何をするか分からないものである。焦りすぎて能力を使えなかった。
落ち着いて冷静に考えれば能力を使い弾丸をずらすことも、承太郎をもっと安全な場所にうつせたのに……
エンペラーの弾丸が肌をかする。貫かなかっただけマシだと思う。
またシャツをダメにしてしまった。
「ベラ!」
「何してんだ!!」
ホル・ホースが真っ青になりながら私に近寄り、私の腕の手当をしようとする。
承太郎がそれを止めようとしたが、私はホル・ホースを知っている。だからきっと大丈夫だと承太郎に言った。
「あなたは私を殺さなきゃいけないんじゃないの」
「関係ねえ。俺は女には世界一優しいんだ。なのに怪我させちまった」
「……名前は?」
「ホル・ホースだ」
「ねえホル・ホース、どうしてDIOの下にいるの?」
「金だよ。それに俺は1人では動かねえ」
「フーン、ねえホル・ホース、あなた財団職員にならない?」
「は?……ははっ、綺麗なあんたに誘われたから思わずOKしそうになったが、お断りだな。あんさんらに寝返ったら俺がDIOの旦那に殺されちまう」
「あら、残念。でももう一度インドとは別のところで会えたらまた勧誘してもいい?」
「会えたら考えてやるよ、イザベラ」
手当を終えたらしいホル・ホースがスタンド、エンペラーを発現させこちらに構える。
「会えるわよ。だって私たちは死なないし誰にも殺されないもの」
私は静かに能力を発動させる。
もちろん承太郎にも流れを認知させている。
「走れんのか?ベラ」
「馬鹿にしないでください。私の怪我は大したものじゃないですよ」
「アホ、そうじゃねぇよ。1人でも許可すると能力維持が辛いんだろ」
「確かに辛いですけど……」
「仕方のねぇやつだ」
「えっ、うわわっ、じ、承太郎さん!」
「口閉じてろ、舌噛むぞ」
ひょいと持ち上げられ、俵担ぎにされる。
お腹が圧迫されるかと思ったが意外とそうでもない。さすがハイスペック、私に負担がかからないようにしてる……のかな?
とりあえずホル・ホースが見えないところまで逃げて能力を解く。
解いてすぐにジョセフから連絡が入る。
「はい、どうしました?」
『アヴドゥルがやられた』
「ッ、アヴドゥルさんが?」
『すまん、語弊があった。アヴドゥルは死んではおらん。とりあえずわしが今から言うところに来てくれ』
「わかりました」
「ジジイだろ、なんて言ってたんだ」
「アヴドゥルさんが攻撃を受けたみたいです」
死んでいないとはわかっても"やられた"と言われればさすがに動揺する。
ここでアヴドゥルさんは一時離脱になってしまうだろう。
それはなんというか……不安だ。この先大丈夫だと例え分かっていたとしても、頼りになるアヴドゥルさんがいるのといないのとじゃあ違う。
とにかく、アヴドゥルさんの代わり、とまではいかないが私が頑張らなくては。