報告的な言い方にはなるがあの後私とジョセフは無事再開できた。まあ警察に追っかけられながらではあるが。
先頭車両あたりの時の流れを贈らせて混乱させている間にスタコラサッサと逃げてきた次第だ。
「本当にびっくりしました。敵スタンド使いにハメられたとはいえ警察に追いかけられるだなんて」
「僕もです。こんな思いは二度としたくない」
「というかこの車、ちと狭くねぇか」
「しょうがないでしょう、170越えの人間が5人も乗っているんですから。私あなたたちといると小柄に見えるけれど普通に見ればデカいんですからね」
座席は基本原作と何ら変わりない。
後部座席に座っているのがジョセフ、承太郎、私というだけである。
だからと言ってなぜ私が挟まれる形になっているんだ。浄化されそう。
ここの聖なる空気をあまり吸わないよう精神を削って呼吸に意識を持っていくと急に止まった。
「じっ、ジャン!急に止まらないでよ!びっくりするじゃない!」
「おい、あれ、あれ見ろよ」
「よっ!また会っちゃったね!乗っけてってくれる?」
アンちゃんは私たちの答えも聞かずに窓から乗り込み私の膝の上に座った。
まあ狭い車内私の上に座るしかないわな。
そしてぎゃあぎゃあと私の膝の上で承太郎と私以外と口論する。
耳が痛くてしょうがない。
「やかましいッ!うっとおしいぜ!おまえら!」
耳が、耳がビリビリする。
「国境までだ。そこで飛行機代渡してその子の国まで乗せてやればいいだろう。香港だったな?」
そんなこんなで車は再度走り出した。
アンちゃんは自論を語りだすが、私たちには君を連れていけないわけがあるんだよね。
一つ、それをわからせてあげるためにも同姓である自分が諭すべきか、放っておくべきか。
「ねえ!イザベラさんもそう思わない?」
「え?えぇ、うーん……アンちゃんは世界を見たくて旅をしているのかもしれないけど、私たちはそういうんじゃないのよ」
「どういうこと?」
「私たちの旅は人を救うためのものなの、命がけよ?そんな旅にあなたみたいな可愛らしい女の子を連れて行くのは心の痛むことなの。だからあなたを帰すの」
「じゃあイザベラさんはどうして旅に着いて行ってるの?あたしと同じ女じゃない!」
「そんなこと私だって百も承知よ。自分が男だったらもっと楽に動けたのかもなぁ、って思うこともある。でも私はこのたびに参加しなくてはいけない。ついていかなきゃいけない運命なのよ」
だから、分かって頂戴、ね?私がそういうとアンちゃんはきゅっと自身の手を握った。
「あ、あたし、イザベラさんにそんな表情させたわけじゃあなかったの、ただ、みんなと一緒にいたくて」
「この旅が終わったらまた会いに行くわ」
「本当?」
「本当、SPW財団上位職員にできないことなんて早々ないのよ」
アンちゃんの目がぱあっと明るくなり勢いよく私に抱き着いた。
「ありがとうイザベラさん!」
「ふふっ」
一通り話し終わった後、私とアンちゃんを他所に原作は静かに始まっていた。
まあ私もそれを認知していなかったわけじゃないのだけど。
「ベラ!時を!!」
「はい!」
承太郎から短い指示の言葉を得て、私は時の流れを遅らせる。
能力の発動が少しでも遅れれば私たちは即死だ。
それにゆっくりになったことで少々考える時間もできるのだ。
「どうします?」
「スタープラチナで殴る」
「……修理代が出ますね」
「はっ、死ぬよかマシだろうが」
「それはそうですけど」
承太郎が相手のトラックをスタープラチナで殴り、強引に移動させる。
そのまま私たちの乗っている車をちょっと押すだけで完了、というわけだ。
能力を解除する。
「ッあ、し、死ぬかと思った……」
「なあベラ、お前はあの車の野郎を『追手のスタンド使い』だと思うか?それともただの精神のねじ曲がった悪質な
「決まっています。追手ですよ」
「あったりまえだろうが!!俺たちは殺されるところだったんだぜ!!?」
「だがしかし、今のところ"スタンド"らしい攻撃は全然ありませんでしたよ」
「うーむ……とにかく用心深くパキスタン国境へ向かうしかないじゃろう」
「ではもう一度何か仕掛けてきたら追手とみなして問答無用に行きましょう。承太郎さんもそれでいいです?」
「あぁ」
「あのトラックはどうします?スタープラチナが殴ったんですごいことになってますよ」
「知らんぷりしとけ。ほっときな……」