原作知識のあるSPW財団員です   作:月暗

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牢獄と因縁

「ベラ、いきなりだが日本に行くぞ」

 

「……はい?」

 

 

ジョセフ、それはあまりにもいきなりすぎるぞ。

 

 

「じょ、ジョースター様?行くのは構いませんが説明してくれませんか?」

 

「わしの孫が牢屋に捕まってしまったらしい」

 

「えっ」

 

 

わしの孫、つまり、空条承太郎が牢屋に今いるってこと?

 

それって……今にも原作が始まるということ、だよな。

 

 

「なにか用意するものはあったか?あるなら待つぞ」

 

「いえ、特にありません。すぐに向かいましょう」

 

「ああ、それとベラ、あっちで座っているのはアヴドゥルだ。覚えているかもしれないが一応な」

 

「はい、名前は覚えていますが……」

 

 

私に気づいたアヴドゥルが近寄ってくる。

 

 

「やあイザベラ、軽い記憶障害だと聞いた。大丈夫か?」

 

「ええ大丈夫です。お気遣いありがとうございます。えと、アヴドゥル、様?」

 

「アヴドゥルでいい。さあジョースターさん、日本に向かいましょう」

 

「うむ、孫を牢から出さなくてはならん」

 

 

三人で日本に向かう。

 

そして空港に着くと、ジョセフはすぐさま娘のホリィの方にかけていった。

 

私はというとアヴドゥルの隣で大人しくちょこんと座っている。

 

いや"ちょこん"というほどの身長はしていないのだが、アヴドゥルが大きいから相対的に私が小さく見えてしまう。

 

170はあるはずなんだけどな……。

 

でも高いヒールを履いたらすぐに行動出来なくなってしまうからな……。スーツ姿だし、この位の動きやすくて濡れないブーツが丁度いいんだよね。

 

 

「どうした?靴なんか見て、痛いのか?」

 

「いえ、アヴドゥルさんの隣に立っているとなんだか私が小さく見えたのでもっとヒールのある靴を履いた方がいいのかと少し思っただけです」

 

「なんだそういうことか。イザベラは十分身長が高いだろう」

 

「そうなんですけどね」

 

 

__パチン

 

 

「合図だ、行こうイザベラ」

 

「はい」

 

 

牢屋に着くと、警官は怯えながら牢屋の中をちらりと覗いていた。

 

私はアヴドゥルの後ろに着いて歩く。

 

 

「承太郎!おじいちゃんよ!おじいちゃんはきっとあなたの力になってくれるわ。おじいちゃんと一緒に出てきて!」

 

 

二人が向かい合う。

 

ゴゴゴというフォントが見えたような気がした。

 

 

「出ろ!わしと帰るぞ」

 

「消えな。お呼びじゃあないぜ……俺の力になるだと?ニューヨークから来てくれて悪いが、おじいちゃんは俺の力にはなれない」

 

 

そして承太郎はもう一度ジョセフに「帰れ」と言った。

 

__パチン

 

またジョセフが指を鳴らす。

 

アヴドゥルが前に出るので私もつられて前に出た。さっきよりも承太郎の顔がよく見える。

 

 

「三年前に知り合ったエジプトの友人アヴドゥル、そしてこっちはお前さんもよく知っているSPW財団のイザベラだ」

 

「……ベラ??」

 

「お久しぶりです。承太郎様」

 

 

信じられないことだが、私は幼い承太郎に何度も会っている。

 

ジョセフの信頼度が高いからか、空条家に行くことが多かった。

 

 

「アヴドゥル、孫の承太郎を牢屋から追い出せ」

 

「フン、追い出せと目の前で言われてはいわかりましたと出てやる俺だと思うのか?逆にもっと意地を張って何がなんでも出たくなくなったぜ」

 

「ジョースターさん……少々手荒くなりますが、きっと自分の方から『外に出してくれ』と喚き懇願するくらい苦しみますが」

 

「かまわんよ」

 

「パパ、一体何を!」

 

「お、おい、騒ぎは困るぞ」

 

「静かにしてください」

 

「は、はい……」

 

 

警官が黙ったのと同時に、アヴドゥルのスタンドが浮かび上がる。

 

"魔術師の赤(マジシャンズレッド)"

 

それが、アヴドゥルのスタンドの名前だ。真っ赤な炎が承太郎を苦しめる。

 

 

「承太郎、お前が悪霊だと思っていたものはお前の生命エネルギーが作り出すパワーある(ヴィジョン)なのじゃ!傍に現れ立つという所からその(ヴィジョン)を名付けて……『幽波紋(スタンド)』!」

 

 

炎の鞭で締め付けられている承太郎が、それを水で消火し、鉄格子をひん曲げて外に出てくる。

 

だがアヴドゥルはそれを気にもせずくるりと背を向けその場に座ってしまった。

 

 

「ジョースターさん、見ての通り彼を牢屋から出しました」

 

「……ハァ、してやられたということか?」

 

「そうでもない。わたしはマジに病院送りにするつもりでいた。予想外のパワーだった」

 

 

かくして我々は、スタンドの説明やらをするためにカフェに移動した。

 

長ったらしい説明を経て承太郎は『関係ないね』と言いたげな表情でジョセフを見る。

 

そんな、お前の話なんか信じないぜ、って態度の承太郎を納得させるべく、能力"隠者の紫(ハーミットパープル)"で念写する。

 

フィルムにじわりと写ったのはジョースター家にとって切っても切り離せない因縁の相手である、『DIO』だった。

 

 

「DIO!わしの念写にはいつもこいつだけが写る!そして奴の首の後ろにあるのは!このクソッタレ野郎の首から下はわしの祖父、ジョナサン・ジョースターの肉体を乗っ取ったものなのじゃ!!」

 

「奴、DIOが甦って4年、ジョースター様や承太郎様の能力もここ1年以内に発現している事実……DIOが原因とみていいでしょう」

 

「我々の能力は世間で言ういわゆる"超能力"私やイザベラのは持って生まれたスタンドだが、あなた達の能力はDIOの肉体、つまりジョナサンの肉体と見えない糸で繋がっている」

 

「アヴドゥル、この写真からこいつが今どこにいるか分かるか?」

 

「分かりません、背景がほとんど写ってませんからな……」

 

「ベラは」

 

 

そう聞かれふるふると首を横に振る。

 

こんな真暗闇から場所を特定するなんてさすがに無理がある。

 

そして話はそこでおしまい、みなで空条家に向かうことになった。

 

 

「本当に私が泊まってもよろしいのですか?今からでもホテルや日本支部の方に向かいますが……」

 

「いい、いい。この間も言ったがベラはわしの娘同然の存在じゃ。ホリィだってベラが泊まることに賛成だろう?」

 

「ええもちろんよ!」

 

 

にこっと可愛らしく笑ったホリィさん。

 

この人たちは……ジョースター家の笑顔だけで我々SPW財団の職員のほとんどが消滅してしまうことをさてはご存知でない?

 

車に揺られながら、そんなことを思った。

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