GIFT   作:O-RiN

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見切り発車感は半端じゃないんですけど、早くこの物語の根幹、
一番の見所をお見せしたいので少し早めに投稿していきます。


【《第一部》終焉の過去編 : [一章]終わりの始まり】
《EP:1》はじまり


ーーー長い夢を見ていた。

 

これは幼い頃の記憶だ。

 

当たり前の日常が、当たり前のように毎日訪れる、幸せな記憶。

 

両親がいて、友達がいて、そんな当たり前のことが何よりも楽しくて、幸せで、満たされていた。

 

 

(ここは、どこ・・・?)

 

 

瞬間、辺りは焼け野原に包まれた。

 

崩れていく建物、逃げ惑う人々、まさに地獄絵図。

 

目の前で死んでいく両親、友達。

 

直後、胸から全身に広がるように駆け巡った焼けるように熱い痛み。

 

 

(熱い・・・!)

 

 

そうか、私は、”死んだ”のか・・・。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(二年前 ブリテン王国 エルバ村)

 

 

「エルス!朝よ!早く起きないと間に合わないわよ!」

 

半ば夢現の状態で母親の呼ぶ声を聞き流した、”エルス”と呼ばれた少女は、未だベッドの上で涎を垂らしている。

見かねた母親の階段を登る音がズカズカと鳴る。

鳴り終わるとほぼ同時に寝室の戸が勢いよく開いたと思うと、繭のように頭からすっぽり被っていた布団を思いっきり引っ剥がした。

 

「エルス!!いい加減に・・・しなさいっ!!」

 

「ひゃうっ!!?」

 

突然襲い来る全身を駆け巡る寒さに思わず情けない声を上げるが同時に目が覚めた。

 

「あれ、ママおはよう・・・?」

未だに状況が理解出来ていない我が娘に、母親は呆れたように返す。

 

「あんた、今日がなんの日だか忘れてない? 騎士団の選定試験、受けるんじゃなかったの?」

 

「・・・・・・!! あっ・・・あーーーー!!! 忘れてた、今日だったーーーー!!!!」

 

そう、この日はブリテン王国が誇る”白翼騎士団”の入団選定試験日、まさにその日である。

白翼騎士団は、ブリテン王国が誇る世界最大規模かつ世界最強と謳われた王国騎士団であり、国の強い経済力、軍事力の象徴である。

ブリテン国民全ての憧れの対象であり、子供のなりたい職業ランキングでは、長年不動の第一位である。それは彼女も例外ではない。

 

今年で齢15となり、晴れて騎士団選定試験の受験資格を得たエルスは、電光石火のスピードで家を飛び出し、現在は試験が行われる王宮への道をひた走っていた。

 

「ハァ、ハァ・・・! このまま全力で走って行けば・・・ギリギリ間に合いそう・・・!」

 

通常、騎士団への入団希望者は、殆どが男性ばかりである。

女性の場合は後方で団員の世話をする役に回ることが多く、戦役などの危険な役回りは専ら男性の仕事であるという世間の風潮は強かった。

そんな中、エルスは違った。

幼い頃より『女性でも立派に戦えることを証明したい』と口癖のように語っており、それを証明するかの如く、血の滲むような鍛錬を毎日欠かさず行ってきた。

その結果一般女性は愚か、屈強な男性も腰を抜かす程の桁外れの体力、力を身につけ、今に至る。

 

「王都までは・・・あと10キロか。よし、がんばろっ!」

 

そうして彼女は、馬車も顔負けのスピードで王都へ向けてかけて行った。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ほぅ・・・。今年の選定試験も見所のある者ばかりだ。実にいい。」

 

黄金の鎧を身にまとった巨躰の男性は、選定試験受験者リストを眺め、満足気に呟いた。

しかし、ある頁でその手は止まった。

 

「エルス・ヴァーミリオン・・・今年で15の女か。体格等のデータを見る限り普通の女、とても騎士団に適性があるとは思えんが・・・。」

 

「どうしました? ヴァレー団長。」

 

鉄の仮面を被った一般兵らしき男性は、椅子に座したまま手元を睨んで難しい顔をするヴァレー、”白翼騎士団団長”に淹れてきた紅茶を差し出しながら問いかけた。

 

「いや、騎士団もついにただの町娘を戦闘員に迎え入れるほど落ちぶれたものかと・・・な。」

 

軽く頭を抱えながら仮面の男に資料を寄越す。

そして、その資料に貼られた顔写真を見るや否や、仮面の男は驚きを隠せなかった。

 

「なっ・・・!!?」

 

「どうした?」

 

「いえ、なんでもありません・・・。(エルス、君もここに来るのか。幼い頃から夢を語る君を見て、必ずここに来ると思って待っていたよ・・・。)」




今回は少し短めで失礼しました。
次回がこの物語の原点となる予定です。
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