GIFT   作:O-RiN

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こんばんわ、O-RiNです。
今回、第一部のボス的存在の初登場です。


《EP:5》宣戦布告

 

 恐怖、怒り、絶望。

 

 ほんの数分前まで人々の活気で溢れかえっていた王都は、一瞬にしてそれらに埋め尽くされた。

 

 「痛いよ・・・息苦しいよ・・・。お父さん、お母さん、どこ・・・? 誰か助けて・・・。」

 

「動けるやつは避難誘導と重傷者を担いで中央広場の教会に集まるんだ! 衛生兵は至急教会にて救護の準備を行え!」

 

「戦えるやつは剣を取れ! 国に仇なす敵を討つのだ!」

 

「なんなんだあいつら・・・。訳の分からない言葉を話やがって、訳の分からない攻撃を・・・。あんなの、勝てるわけない・・・!」

 

両親とはぐれ、自身も重傷を負いながらも必死で助けを求める小さな子供、未知の存在による突然の蹂躙に自身を奮い立たせる兵士、或いは絶望し戦意喪失する兵士、それらを全て嘲笑うかの如くどす黒いそれは街を、全てを破壊し尽くしていく。

 

驚くべきはその攻撃。その巨体による押し潰し、口から放たれる謎の光線、さらに全身から湧き出る黒いタール状の液体は、触れればそこから全てを腐食する。

 

そんな超常的な攻撃に、人々は世界の終焉をも予感した。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「ヴァレー団長! ご報告します。・・・現在、存在”X”による被害は王都の五割にも及んでおり、兵士のほぼ三割が死亡、殆どが重軽傷の状態です。」

 

「・・・そうか。」

 

白翼騎士団団長、ヴァレーは中央教会内部に急遽作られた騎士団本部にて、部下の報告に顔を歪ませた。周囲には怪我をした兵士や、王都の市民が衛生兵による救護を受けている。

 

「その上、他地域でも同様の被害が報告されており、王都以外の人民居住区はほぼ壊滅状態にあると推測されます。」

 

「終わりなのか・・・? この国は・・・。」

 

ーーーーーードガァーーーン!!!!!

 

 

その時、悲痛な空気が漂った教会の扉が爆発音によって破壊された。徐々に晴れていく土煙の中から、手を前にかざした状態で立つ一人の女性の姿が浮かび上がった。

 

「・・・・・・!?」

 

「誰だ!?」

 

思わず身構える団長と兵士達の前に現れたのは、女性の姿をした人型の”なにか”であった。というのも、その肌は灰色、目は宝石のように紅く、頭からは角のようなものも生えている。

 

「か弱き人類ども。ごきげんよう。我々は人類に、宣戦布告を行う。」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「なによ・・・ここ・・・?」

 

王宮の外に出たエルスは変わり果てた街の様子に絶句した。周りに転がるのは王都の市民達の変わり果てた姿、尽く瓦礫と化してしまった王都の街並み。

エルスは瓦礫をぼんやりとした表情で眺め、立ち尽くす一人の老人を見つけ、声を掛けた。

 

「おじいさん! 何があったか分かりませんがここは危険です! 早く、逃げましょう!」

 

エルスの声に微かに反応したおじいさんは瓦礫を見つめたまま口を開いた。

 

「孫が・・・わしの孫があの中に・・・。黒い、でかい、何かが、わしらの家を・・・!」

 

うわ言のようにそこまで話すとぽろぽろと涙を流し始めた。

 

「あの中に・・・!? 早く助けないとっ!」

 

エルスはそれを聞くなり、怪力で瓦礫の山を退かし始めた。おじいさんの表情は変わらず、じーっと眺めたまま涙を流していた。

 

「まだまだ・・・! ・・・・・・! 誰かいる!!」

 

退かされた瓦礫の隙間から小さな手が覗いた。

 

「もう少し、もう少しだから待っててね・・・!」

 

エルスは小さな少年を覆っていた瓦礫を全て取り除き、少年を抱き上げる。その瞬間、抱いた少年の体が異常なほど冷たいことに気が付いた。

 

「・・・! そんな・・・!」

 

おじいさんは変わらず涙を流し続けていたが、少年の亡骸を目にすると、さらに大粒の涙を流した。

 

「ああ・・・ああああああ・・・!」

 

「どうして・・・! とにかく、急がないと・・・! おじいさん、ごめんなさい・・・。」

 

エルスは王都に起きた悲劇の原因を知るため、緊急時の避難所として指定されていた中央広場の教会を目指した。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「宣戦布告だと!? 一体どういうことだ? そして貴様は何者だ!? 国を襲ったのは貴様らなのか!?」

 

立て続けに捲し立てるヴァレーに対し、肩を竦めながら彼女は答えた。

 

「一度に複数の質問をされても困るな。まあいい。愚かで下等な人類の為に順を追って話そうか。」

 

一部の言葉にヴァレーは眉間の皺を一層深くするが、今動くのは得策ではない。

 

「まず、汝らの国を破壊したのは間違いなく我らの同胞だ。そして、高等な知能をもった我が代表として汝らに宣戦布告を行いに来た。汝らの言葉を話せるのはそのためだ。」

 

「我々の存在意義や。目的についてはいずれ分かる時が来る。今汝らが知る必要は無い。・・・さて、しかと伝えたぞ。後は・・・。」

 

そこまで言うと彼女は表情を歓喜と狂気に染め上げ、掌に魔法陣のような光を収束させた。

 

「手始めにここの掃除を行うとしようか!」




いかがでしたでしょうか?
エルスの両親の回は次回かその次ぐらいになりそうです(汗)
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