GIFT   作:O-RiN

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こんばんわ、O-RiNです!
すっかりご無沙汰してしまいましたね(汗)
今回はエルスの覚醒回になります。


《EP:6》覚醒

 

「手始めにここの掃除を行うとしようか!」

 

女は嬉嬉としてそう告げると、掌から収束された光を弾丸のようにヴァレーに向かって撃ち放った。

 

「団長っ!」

 

咄嗟に彼の側近の一人が前に飛び出し、ヴァレーを庇い、盾でその弾丸を受けた。着弾と同時に凄まじい破裂音と爆風が当たりを包み込み、そこにいた兵士、市民達を吹き飛ばした。土煙が晴れる頃には、受けた側近の姿はなく、地面に焼き付いた影のみが残っていた。

 

「・・・! なんという・・・!」

 

目の前で起きた惨事に驚愕、怒り、恐怖の表情を浮かべたヴァレーは、目の前の状況に絶望しながらも、残る皆に向け号令を出した。

 

「逃げるのだ!! 動ける者は重傷者を担ぎ、ここから離れろ!! 殿は私が引き受けた!」

 

「団長! それなら私も・・・!」

 

「いいか、これは命令だ! 全員ここから逃げるのだ! 一人でも多く助かるために・・・!」

 

ヴァレーの気迫に一時は躊躇っていた兵士や市民達も一様に頷き、その場から走り去っていく。しかし、それを彼女は見逃さない。

 

「宣戦布告すると言ったのだ。敵に情けなどかけると思うたか?」

 

ニヤリと笑みを浮かべた彼女は両手に黒い炎を具現化させ、逃げ惑う大衆を見回した。刹那、金色の鎧を纏った騎士、ヴァレーの神速の突きが彼女の左胸に迫った。

 

「貴様の相手はこの私だ! 我がブリテンにたった一人で宣戦布告など、烏滸がましい! この私が直々に地獄へ叩き込んでくれる!」

 

ヴァレーの鬼気迫る突きが彼女の左胸に風穴を開けた。だが、彼女が倒れ込むことは無かった。

 

「・・・・・・?」

 

「・・・・・・クククク。アハハハハハハ!! よもや、人類とは本当に愚かなものだな。そのような脆弱な攻撃で我を倒せるわけがなかろう。こんなものすぐに再生する。」

 

彼女がそう言うと、左胸に空いた穴は瞬く間に塞がり、元の通りに戻ってしまった。

 

「な・・・! バケモノなのか、貴様は・・・!?」

 

ヴァレーは剣を落とし、後ずさる。

 

「だが、時間稼ぎは上手くいったようだ。市民や団員を守れたのなら本望。殺すなら殺すがいい。」

 

だが、彼女の反応は予想外のものだった。

 

「・・・・・・残念だが、気が変わった。(なんだ、この気配は・・・! 同志? いや違うな。匂いは人類のそれだ。だが何かが違う・・・! まあよい、遊んでやるか。)」

 

「・・・! これ以上国民に手は出させんぞ!」

 

彼女の興味が自分から何かへと変わったことに勘づいたヴァレーは、咄嗟に声を上げる。

 

「安心するが良い。今日のところはゴミ虫共にはこれ以上危害は加えん。だが、近いうちにまた会うことになるだろう。その時は、一人残らず消し炭にしてくれる・・・!」

 

そう言い残すと彼女は消えるようにその場から去っていった。

そこには呆然と立ち尽くすヴァレーと、破壊し尽くされた大聖堂のみが残された。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

おじいさんと別れたエルスは、中央教会を目指し駆けていた。そんなエルスが建物は殆どが崩れ、老若男女様々な屍が転がる廃墟を走り抜け、王都の中枢機関が多く集まる中央広場にたどり着くのにそう時間はかからなかった。

 

「着いた、中央教会・・・! にしても酷いなあ・・・。」

 

エルスは辺りに広がる焼け焦げたような匂いに思わず鼻を塞いだ。

 

「いい光景だろう? そうは思わないか、汝よ。」

 

「・・・・・・!? 誰なの!?」

 

エルスが振り返ると、いつの間にやら人らしき何かが立っていた。というのも、その姿は灰色の肌に額に生えた立派な角、美しい紅い瞳、明らかに人間ではなかった。

 

「そうだな、ここを襲った者の同胞、とでも言っておこうか。」

 

「・・・・・・!」

 

王都を襲ったという言葉に、思わず腰に差しておいた短剣を引き抜き、身構える。

 

「ほう、我と事を構えるか?」

 

面白い、というように両手を広げて挑発してくる彼女に、今にも飛び出しそうになりながらもエルスは問いかける。

 

「その前に、貴方は誰? どうしてこんな酷いことを?」

 

その問いに聞き飽きた、というように肩を竦めて答える。

 

「その問いに答える必要はない。だが、一つ言えるのは人類の滅亡をもたらす者・・・といった所か。」

 

「・・・・・・! ふざけないで!」

 

エルスは瞬時に飛び込み、短剣を構えた。急所を外し、彼女を捉えるために太腿を狙い、切りつける。

 

「急所を外すとは・・・我も舐められたものよの。」

 

彼女はそれを指で挟むように受け止め、軽く力を込めると短剣の刃を粉々に砕いてみせた。

「素手で・・・そんな・・・ありえない!」

 

驚愕するエルスを他所に、彼女はエルスの左胸に腕を差し込み、掴む。そしてそれを、”心臓を”思い切り握り潰した。

 

「じゃあの、”イレギュラー”。汝はちと特殊だ。万一のことがあっては面倒だからの。」

 

「・・・ガハァ!」

 

大量の血を吐き、地面に跪くエルス。徐々に視界がぼやけ、意識が遠のいていった。

 

「(そうか。心臓を潰された・・・。私、死ぬんだ。)」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

ーーー何もない空間

 

 

ーーー何かの声が聞こえる

 

 

「(あれ? これって、天国? 神様? ・・・・・・そっか、私死んだんだね。)」

 

 

ーーーまだなにか聞こえる

 

 

ーーー光が、眩しい

 

 

ーーー目も開けられないくらいに

 

 

(・・・ルス、・・・エルス)

 

 

ーーー私の名前

 

 

「(私?)」

 

 

(そうです。貴方はまだ死んではいません。)

 

 

「(神様? 誰?)」

 

 

(私は”神を殺すもの”。資格のある者に、”その力”を継承する役目を託された者です)

 

 

「(資格・・・? なんのこと?)」

 

 

(運命に抗う力です。志を持っていても、力が無ければ叶わない。運命を切り開くための力、貴方に受け取る覚悟はありますか?)

 

 

「(・・・そんなの分からない。でも、手の届く範囲の人は全て助けたい。守る力が欲しい。それだけだよ。)」

 

 

ーーーそう言って、手を伸ばした。光に包まれたそれは、神秘的で、恐ろしく、そしてすごく暖かかった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「・・・・・・! なんだ?」

 

突如、エルスの体から放たれた衝撃に、思わず左胸に刺していた腕を引き抜き、距離をとる。

その隙にふらり、と立ち上がったエルスは彼女を見据えると、魔法陣の浮かび上がる右手を前に翳した。その蒼い瞳は神秘的な輝きを放っていた。

 

「・・・間に合わなかったか。いや、我が覚醒を促してしまったか。どちらでもいい。・・・来るがいい。」

 

彼女は身構える。彼女の顔からは先程のような見下すような笑みは消えていた。エルスは瞳の輝きを一層強くし、彼女を睨む。

 

「あなたはここで、私が倒す!」

 




いかがだったでしょうか?
次回、謎の女との激闘の結果と、エルスに宿った力の正体とは・・・?
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