オリキャラが一人増えますが、
この新キャラもまた、被害者のひとりです。
何気なくすごしていた1週間ももう終わり。
今日は金曜日だ。昼休み、いつも通り一緒に昼ごはんをヤンデレの方々とビクビク震えながら食べ、教室で一息つく。
「なぜ昼飯で気張らにゃならんのだ.......。ゆっくりご飯食べさせてよ.......。」
悲痛な叫びであるがそれは通らない。
ヤンデレに好かれた榊夏波の運命である。
「クソが!!」
はーい地の文にツッコミ入れるのやめようねー。
そんなこんなで授業が終わった後、家に帰ろうとしていた夏波のケータイが震える。
「?誰からだろ。」
またヤンデレの誰かだろうかと顔を暗くしつつスマホを取り出す。
すると画面にはいつものヤンデレたちの誰かではなく、家族の名前が入っていた。
「兄ちゃんじゃん。.......どしたんだろ。」
不思議に思いつつ、電話を取る。
「もしもしー、兄ちゃんどうしたの?」
夏波が兄ちゃんと呼ぶこの男。
大学生でありながら、巷で人気のバンド、『STARGAZER』のギターでもある、夏波の実の兄だ。
『どうしたのってお前な.......。今日月末だろ?飯行くんじゃねえのか?』
「あ、そうか。今日月末か。」
この榊兄妹の両親は現在海外に行っている。
その間仕送りはもちろんしているのだが、夏波も海弥も一人暮らしをしている。両親を安心させるという面でも、月末は2人で晩御飯を一緒にとることになっているのだ。
『夏波はなんか食いたいもんあるか?』
「んー.......特に無いかなぁ。兄ちゃんは?」
『俺も別に。希望がねぇなら俺ん家で俺の料理になるが。』
「それあり。兄ちゃんのご飯は美味しいし。」
『褒めても料理しか出んぞ。』
歳は近くとも仲はいい。
逆にこれ程仲がいい兄妹も珍しいだろう。
思えば、夏波も、海弥と喧嘩した記憶はほとんどない。
『じゃ、俺ん家に来てくれ。直に俺も家に帰るから、お前が来るくらいにはメシできてるだろうよ。』
「おっけ、超速ダッシュで行くわ。」
電話を切り、校門を出る。
1度自転車を置きに家に帰る。海弥の家までは自転車では少し辛い距離だからだ。
「やっほーカナ☆今日暇?」
「リサさん。ごめんなさい、今日は先約があって.......。」
「何.......?オンナ?」
あーハイライト消えるな消えるな。
「違いますよ。今日月末でしょ.......。兄に会うんですよ。」
「あーそっか!アタシとしたことが、夏波の行動パターンを忘れちゃってたよ☆兄さんにもまた、よろしく言っておいてね!」
なんだおい私の行動パターンって。
なんだその不穏なワードは。.......とまあ、こんな風にヤンデレの皆さんは私の兄の事を知っている。余程のことがない限り兄を優先させてくれる。
(まあ、兄に嫌われたら家族非公認になる訳だからな.......。世間体気にしてんのか気にしてねぇのか.......。)
「あっカナ!」
「どうしました?」
「アシタハ.......、ワタシタチトアソボウネ.......♡」
「」
今日兄ちゃんの家泊まろっかな。帰りたくねぇな家。
ちなみに兄の家は電車で3駅ほどの距離の場所にある。
玄関に手を掛け、ガチャりと開ける。兄妹なのでインターホンは押さない。
というか2人とも兄妹だから必要は無いし面倒だという理由でそうなった。
「おう、おかえり。」
「うん、ただいま。」
既にテーブルの上には兄が作ったであろうハンバーグが並んでおり、晩御飯の準備は既に完成していた。
「美味しそうじゃん。」
「まあな。でもその前に、手ぇ洗ってこい。」
「ま、このご時世ですから。」
手洗いうがい大事。
そんなこんなで晩御飯の時間が始まる。
兄の作ったハンバーグをおかずにご飯をかき込む。
部活には入ってないが、運動はするのでお腹はすく。
「相変わらずよく食うなぁ夏波は。」
「兄ちゃんが食べないんでしょ。.......まあ、今のバンドになってから食べる量増えてそうだけど。」
「お陰様でバンドも忙しくなりだしたからな。なんだかんだギターってエネルギー使うもんなんだぜ。」
「ま、2人ともよく食べよく遊び、よく学んでるって事で。」
「平和だな。.......お前平和なん?」
おい真顔で聞くなやめろ。
「お前の交友関係に口出す訳では無いけどさ.......。いやだって.......。」
確かにRoseliaは1度兄のバンドであるSTARGAZERとハウスで一緒になった際、STARGAZERを見に来た私と兄ちゃんが喋ってただけで、兄ちゃんに向かってとんでもない睨みをきかせた
基本的には常識人枠。
はいそこ、足に包丁刺しに行く人が常識人?とか言わないの。
「異性同性はお前の趣味嗜好だからどうでもいいけどさ、監禁したりするようなヤンデレだったら俺不安だぞ?」
あれ?ニーサンひょっとしてみてました?前回前々回の出来事見てました?
「ま、まあ愛情表現じゃないかな.......。」
「過激すぎね?」
「許容範囲内.......だと思う!」
「そこはお前次第だろハッキリしろ。.......とはいっても.......。」
そう言うと兄ちゃんの顔が暗くなる。
「ど、どしたの?」
「こう言った手前、俺も実は似たような状況になってんだよな.......。」
「は?」
「お前さ.......、小さい頃から遊んでた蘭ちゃん達、いるじゃん?」
「あー。蘭とか、つぐのこと?」
今でてきた2人の名前は私と同じ羽丘に通う、同期であり幼馴染。そして今はガールズバンドの『Afterglow』のメンバーだ。この2人の他にも、モカ、ひまり、巴の3人がいる。小さい時は私たち6人と兄ちゃん、そして巴の妹であるあこの8人で遊んだものだ。
「それがどうかした?」
「いや、ほら、俺も今バンドやってて、いま、アイツらもバンドやってるじゃん?」
確かに、いま蘭たちはバンドをしている。最近力をつけ、人気が上がっていている。そのことから、兄ちゃんのバンドと一緒になることもあるだろう。
「んで、2ヶ月ほど前か。そこで多分久々に会ったんだよ。結構大きめのイベントでさ。」
「ほうほう。まあ私はほぼ毎日だけど、兄ちゃんとは1年ちょっとぶりくらいか。」
「そうだな。.......なんか、俺の気の所為だといんだけどさ.......。」
「うん。」
「5人の俺を見る目が、お前の先輩らがお前を見る目と一緒だった。」
「.......は?」
「ハイライトが.......消えてた.......。すっげえ怖かった.......。」
「えぇ.......。」
その瞬間、兄ちゃんの電話が鳴る。
「オヒョウァ!!!?って蘭ちゃんか.......。ってちゃん蘭ッ!?」
気が動転してちゃんが先に来てしまってる.......。
「しかも着信に気付いてなくてめっちゃ無視してた.......!夏波.......、俺死ぬかな?」
「誠心誠意謝れば生存できると思うよ。私もそうした。」
意外とヤンデレに誠意は通じるもんだぜ。
その言葉を聞き、兄ちゃんは電話に出る。
「も、もしも.......。」
『どうして電話に出てくれないんですか海弥さん。』
「オアアアアア開幕10割!!」
そんなに攻撃力あってたまるか!!
意味わからんこと言っとらんでさっさと蘭に詫びろ!!死ぬぞ!!
「わ、悪い......!気が付かなかった!いま、夏波と飯食ってたんだ。」
バカッテメッ異性のヤンデレに異性の名前出しちゃダメだろ!
時と場合によれば親族でも殺すぞそいつら!!
『ナンデベツノオンナノナマエダシタンデスカ.......?』
「あっ地雷じゃねコレ?」
「何わかりきったこと言ってんだ!!!!!!!」
「いやいやいや違うんすよ蘭ちゃん!!」
『スグイキマスカラウゴカナイデクダサイネ.......?』
「死」
「やめろSEKIRO感を醸し出すな。」
しかしそんなツッコミも束の間。
Prrrrrrrr.......
「あっ次私!?」
.......実は兄の存在を知っているのはRoseliaの先輩方のみ。Roseliaと比べて出会った日が浅いパスパレやその他の先輩の方々にはまだ知らせることができてない。そしてスマホに現れた名前。
『白鷺千聖』
ワリィ、私死んだ!
いやいや違う違う。ワンピースしてる場合じゃない。
とにかくすぐに電話に出よう。
「もしも.......。」
『なんで男の家にイルノカシラ.......?カナミ?』
「開幕10割!!」
「フフ.......♡ワタシガカナミノバショヲシラナイトデモ?」
あぁあああああぁぁぁぁ怖い怖い怖い怖い!!
なんで知ってんだよ!!なんで知ってんだよこの人!!
「違うんです!!今会ってる男の人は私の兄です!」
「あらあら、夏波ったら。そうだったのね。」
「そうですそうです。」
「ワタシカラノガレルタメニソンナウソヲツクナンテ.......」
「そうじゃないですそうじゃないです。」
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30分後、誤解を解いたふたりは電話を切り、背もたれに凭れる。
「.............。」
「.......夏波。」
「.............何。」
「.......お互い.......頑張ろうな.......。」
「.............うん(泣)」
その日、兄妹は初めて二人で一緒に泣いた。
いやー兄妹って似るもんですね。
兄妹揃ってヤンデレに好かれてる。
兄貴は年下から。妹は先輩から。こんな感じです。
海弥メインは番外編で更新すると思います。
本編にもちょくちょく出ますが、メインはもう少しあと。