IS - 女装男子をお母さんに - 改訂版   作:ねをんゆう

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一応、前半の殆どの流れは以前のものとそう変えないつもりですが、文章を追加したり設定を変えたりと、大きく変わっている所もあります。
リメイク作品を見るというよりは、もう一度作品を見返すといった感覚で見て貰えると幸いです。
取り敢えずは束さんが出て来る辺りがどちゃどちゃに変わってます。


02 織斑千冬も嘆きたい

 

「あー、IS学園で教鞭を執っている織斑千冬だ。これから3年間、君を含めた問題児達の集まるクラスを受け持つ予定なのだが……」

 

「あはは、そうですよね、大変ですよね。女装して学園に通う問題児とかいますもんね、そんなの完全に変態ですもんね、普通は近付きたくもありませんよね。ご迷惑をおかけしまして本当にごめんなさい」

 

「……君も大変だな」

 

真剣な顔で女装を懇願してくるダンディーなおじさまに了承の意思を伝えて軽い現実逃避をしていると、今度は目つきの鋭いレディースーツを着た美人さんが部屋へと入ってきた。

どうやら彼女が巷で人気のブリュンヒルデこと織斑千冬さんらしい。

たしか孤児院にいる妹の1人が大ファンだと言っていたが、こうして実際に会ってみると妹が熱を入れていた理由がなんとなくでも分かるというもの。

 

まず世界最強であるほどの実力を持っているにも関わらず、容姿に優れ、かつ彼女の人柄もかなり硬派な印象を受ける。

異性よりも同性に愛されるタイプというか。

男性から見てもカッコいいと感じる部分は多くある。

色々な意味でブリュンヒルデとしての期待を裏切らない人物であるのは間違いなく、むしろ彼女以外の誰にその称号が似合うのだと言いたくなる程だ。第一回モンド・グロッソから数年の時を経た今でもファンが増え続けるのも当然の話と言えるだろう。

 

……そしてそんな女性からの同情は、悲しいほどに身に染みる。

きっとこの件で彼女も立場上、大変な思いをしている筈なのに。

 

「あの、これから僕はどうなるんでしょうか?」

 

「あー、そもそも今回君が……その、女装をだな?して入学してもらう理由なのだが」

 

「はい……」

 

「私の愚弟がISを動かしたという話は聞いているな?」

 

「織斑一夏くん、でしたよね?報道で何度も名前を聞きましたが、やっぱり弟さんだったんですね」

 

「ああ、そうだ。それ故にあいつは一応私の弟として、ある程度の立場が保証されている。

……話は変わるが、君は男性操縦者の価値というものについてどう思う?」

 

「ISの謎の解明、女尊男卑主義の行末を握るとっても貴重な存在ですよね♪しかしそれと同時に各国の研究者と女性権利団体、果ては身代金目的の小犯罪集団からも狙われる可能性のある超重要人物でもあります♪一人で外を歩くことすらも危ぶまれる上に、その存在だけでも世界のバランスを崩しかねない、色々な意味で扱いに困ってしまう立ち位置に居ると言えるでしょう♪」

 

「……そんな超重要人物になった感想はどうだ?」

 

「死にたい、今すぐ全てをやり直したい……僕はただ妹達といっしょに笑って暮らしていたかっただけなのに……なんで、なんでこんな事に……」

 

「……なんか、すまん」

 

ここまで来ると最早ヤケクソである。

初の男性IS操縦者である織斑一夏くんが公表された夜に、孤児院の経営者であるマザーと討論した彼の行末が、まさか今度は自分のものにもなるなどと誰が思うだろうか。

いや誰も思うまい(反語)。

 

ただ、ここまで来れば目の前の悪戯な表情が一瞬で掻き消えた彼女が言いたいこともなんとなく分かる。その解決手段が女装というのがなんとも言えないが……納得は出来るというか。

 

「要は僕には"ブリュンヒルデの弟"の様な肩書きもなく、支えとなるようなバックも無いので、今はその存在すら隠しておくべき、ということですよね」

 

「ああ、加えて言うならば学園と日本政府がパンク寸前だということも理由の1つだな。私の弟ということで一夏はある程度世間に受け入れられているが、それでも我々は連日徹夜仕事が続いている。ここに何の後ろ盾も持たない一般人である君の存在が知れ渡る事となれば……」

 

「……死人が出ますね」

 

「まあ、運営に支障が出るのは間違いないだろうな。つまりそういう理由で君の存在は君がある程度の立場を確保し、世間が落ち着くまでは秘匿しておきたい。それでも身柄の安全と監視のためにIS学園には入って貰うがな。完全にこちらの事情で申し訳ないのだが、君の存在がバレない限りは一般生徒と同じくらいの自由は保証できる。この現状では悪い条件では無いはずだ」

 

「一応聞いておきたいのですが、今日の結果を無かったことに……とかは無理でしょうか」

 

「残念だが、それは恐らく認められない。なんだかんだと言っても今の所は世界に2人しかいない貴重な男性操縦者だ。手放すにはあまりに価値が高過ぎる」

 

「ですよね……」

 

色々と文句はいったが、それでもモルモットにされるよりは比べ物にならないくらいの高待遇であることに変わりはない。

所詮は織斑一夏くんのような強力な後ろ盾もない孤児院暮らしの1学生だ、その全ての記録を消す程度のことなら容易に行えるだろう。そうしないのが単純な善意なのか打算なのかは分からないが、女装さえしていれば正常な日常が手に入るのだ。

そう、女装さえしていれば……!

女装している生活が正常と言えるかどうかは知らないけれど!

くそぅ!やっぱりもう正常な生活なんてどこにも無いんだ!

もうどうにでもな〜れ!

 

「……正直なところ、我々は君の容姿に心から感謝している。初めて君の学校の教師から写真を送られてきた時にも思ったが、実際にここまでとは思わなかった。もし君が一般的な男性の容姿をしていれば、私は今頃栄養ドリンク漬けになって死にかけていただろう」

 

「……褒められているんですよね、微妙な気分ですけど」

 

「安心しろ、女装のスペシャリストは既に確保してあるそうだ。君ならきっと素晴らしい女性になれる。私も完成が楽しみだ」

 

「壊れてません?もしかして織斑さん、もう壊れてません?多分普段は真顔でそういうこと言うキャラじゃ無いですよね?」

 

「なに、まだ2徹目だ」

 

「いや寝てください!30分でいいですから!僕の相手をしていた、みたいな理由を付ければそれくらいの時間は取れるでしょう!?」

 

「私はな、枕が無いと眠りが浅くなるんだ。膝を貸して欲しい……」

 

「いいですから!好きにしていいですから!どんだけブラックなんですかIS学園!?」

 

「真耶、すまない……君に書類仕事を全て押し付けて私は美少年の膝の上で……」

 

「早く寝て下さい!!」

 

いくら世界最強と言えど、二徹目の昼下がりともなればどこかおかしくなってしまうものらしい。

もしかしてあのダンディーなおじさんも徹夜で頭がおかしくなっていたのではないだろうか?そう思えば、なんとかなくあのおじさんも目が虚だった様な気がして来る。

そんな考えを巡らせながら、僕は世界のブリュンヒルデを膝枕するという貴重な体験をした。流石に寝顔になるとあの険しい表情も取れる様で、如何にも美人な女性と言った顔に変わった。なんだかんだと言っても、彼女は1人の女性なのだ。

入学したら少しくらい先生の手伝いをしようと心に決める。

願うならば、彼女が目を覚ました時に羞恥のあまり取り乱さないように。




別の新作も書いて、途中の作品も書いて、この作品も書き直してで、小説自体はめっちゃ書いてます。
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