VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた   作:七斗七

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あとがきに書籍のお知らせがあります。


昼寝ネコマのクソ映画紹介4

*――――――――*

残り3つのゴールデンボールを求めて焦りつつも探索を続けたゴクウ。

次にゴールデンボール入手のために訪れたのは深い森の中だった。

レーダーが良い仕事をして思いのほか楽に次のゴールデンボールを発見することが出来たのは運が良かった。

しかしゴクウが玉を掴もうとしたとき、まるで玉自身に意思があるかのようにヒュンとゴクウの手から逃れ、森の中に消えていった!

慌てて後ろから追いかけるゴクウ、やがて辿り着いたのは森の中でひときわ開けた大きな湖だった。

そして引き寄せられるかのように湖の底に飛び込んでいったゴールデンボール。一瞬絶望したゴクウだったが、こうなったら水の中でも追いかけてやると服を脱ごうとした、そのときだった――。

水面から一人の美しい女性が片手に金の玉、片手に銀の玉をもって突如優雅に歌を歌いながら現れたのだ!

 

「歌はいいね。歌は心を潤してくれる。人類が生み出した文化の極みだよ」

「お、だれだおめぇ?」

「私はこの湖を司る女神。君が落としたのはこの金の玉かい? それともこっちの銀の玉? それともわ た し?」

「金玉くれ! ついでになんかの役に立つかもしれないから銀の奴もくれ! 以上!」

「私は君を殺すために生まれて来たのかもしれない」

「お、殺し合いか? オラワクワクすっぞ!」

 

約3分後……。

女神様、撲殺! 頑張れゴクウ! 残るゴールデンボールはあと二つだ!

*――――――――*

 

 

 

「ちょいちょい待て待て待て!! え、女神様撲殺しちゃったの!? いや、確かに女神さまにしては変な奴だったけど殺るのはまずいでしょ!?」

「ゴールデンボールの為ならこれも仕方なし」

「毎度方法が猟奇的過ぎるんですよ! 前も今回も相手怒らせてる原因大半がゴクウにあるし! こんな人の心が分からないサイコパスが主人公とか絶対おかしい!」

「ちなみににゃにゃっと豆知識! この湖のシーン、全編にわたって演者さんのアドリブで構成されているぞ!」

「撮影を開始する前にまず脚本を作りなさい」

「にゃにゃ! そこまで言うのならシュワちゃんにこの女神さまの正しい対応について教えてもらおうか~?」

「そりゃもう即答で女神様選んで世界が終わるその瞬間までヤッてヤッてのヤリ三昧ですよ。これぞヤリニケーション」

「この子も大概だにゃー」

 

コメント

:カ〇ル君はそんなこと言わない

:この映画本当にノリだけで進むのちょっと好き

:頭がおかしい(褒め言葉)

 

 

 

*――――――――*

着実にゴールデンボールを集めてきたゴクウ、しかし残り二つになって雲行きが怪しくなってきた。

どれだけ探してもまったくレーダーに反応は無し、収穫のない日が続き、タイムリミットが無慈悲にもあと一日というところまで迫ってきていた。

これ以上の行動は無意味なのではないか? こんなことをしているくらいなら残り少ない時間を自分の為に使い、少しでも悔いなく終わりの時を迎える方が幸せなのではないか?

色んな考えが脳裏に浮かんでは絶望の海に沈んでいく。やがて太陽は沈み……そして最後の日がやってきた――。

研究所の皆は達観したような表情で「とうとう来ちゃったかー」などと思い思いに会話をしている。だがその裏には涙を必死にこらえている悲しみを背負っていることが誰の目から見ても明らかだった。

そんな皆の前でゴクウは――

 

「おっしゃ! いっちょ隕石破壊してくっぞ!」

 

高らかにそう宣言した。

呆気にとられる皆の前で、それでもゴクウは笑っていた。

ひたすら悩んだ結果、ゴクウは玉がそろってない不完全な状態でも計画の為に尽くすことを決めていた。

勿論5個並んだ玉が特別な力を発揮していることは一切なく、ただの金色に輝くだけの玉に過ぎない。

それでもやらないよりはやる、言ってしまえばもとより7つ集めたところで本当に地球が救えたのかも疑問だ。それでもここまでやったのだからせめて最後までやり切ろう、そういう決断だった。

堪えきれなくなった涙を流しながら見送ってくれる仲間たちを背に、ゴクウは集めた玉と共に予定されていた隕石を迎え撃つための地へと向かった。

 

 

「おお、あれかぁ!」

 

目的の場所に到着したゴクウは空を見上げると、視線の先に微かに、でも着実に地球に迫ってきている隕石を目視した。

その瞬間だった。

 

「――ッ!?」

 

急に大きな眩暈に襲われたゴクウ。ふらついて思わず地面に倒れこんだ時、脳に直接何者かの声が聞こえてきた。

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

眩暈が収まると同時に、サポート役として一緒についてきてくれていた仲間に支えられて起き上がるゴクウ。

しかし、地に足を着け立ち上がった時――ゴクウが体から眩い光りを放ち始めた――。

それだけではない、その体からはまるで収まりきらなかった力が漏れ出したかのような突風が発生し、周囲の人を軽くだが吹き飛ばしてしまった。

 

「ははは……なるほどなぁ……」

 

そしてゴクウは――笑っていた。

 

「そりゃあそこにあったら見つかんねぇわな、盲点だったぜ。灯台下暗しってやつだな」

 

明らかに普段と様子が違うゴクウ、眩暈を起こした時、彼は龍の声を聴いていた。

龍の名はシャンロン、7つの睾丸を持つ龍。

シャンロンが語った話……それはにわかに信じたいがゴクウはこのシャンロンの子孫にあたる人物であったらしい。

そして人間の形であってもシャンロンの力を引き継いでいるゴクウ、その2つの睾丸は――ゴールデンボールで出来ていた。

つまり今ここに、7つのゴールデンボールが揃ったのである!

 

「さぁて、いっちょやりあってみっか」

 

この世の生物で震えない者などいないと思われるほどの鋭い眼光を隕石に向けるゴクウ。

とうとう来たる運命の時。地球の存続を一人で背負った彼は覚悟を決め――ズボンとパンツを脱いだ。

*――――――――*




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