VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた   作:七斗七

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ライブオンオールスターコラボ・監禁人狼8

『お疲れ様ー!』

 

みんな揃っての労いの言葉の後、真っ先に口を開いたのは開幕退場を決め込んだ晴先輩だった。

 

「おいそこのボスさんよ、何か言うことはあるか?」

「ボスって誰のことですよ~?」

「お前じゃい! あ、それとも組長って言った方がいいのかな?」

「そんなライバーはライブオンに居ないのですよ~」

「こんの~とぼけやがってぇ! あまりにも躊躇なく殺しに来るから天才の私でも逃げることすら出来なかったんだから!」

「たまたま目に入ったから狙っただ~けで~すよ~」

「あ、そうだボス、等身大の桐〇一馬人形いる?」

「誰を殺ればいい? それとも金か?」

「ボスも化けの皮ぺらっぺらになってきたね、ただであげるよ……」

 

やはり最初に晴先輩を殺したのはエーライちゃんだったか。

それにしても流石は組長、一度殺ると決めた相手には容赦も迷いもなかったようだ。

 

「ちゃみちゃんが画面に映った時はまじで驚きすぎて声出たぞ……」

「還もおしっこ漏れるかと思いました。というより合法的に大勢の前で漏らして赤ちゃんになるチャンスだったのにとっさのことだったので我慢してしまったことを後悔しています」

 

続いて口を開いたのは次期被害者のネコマ先輩、還ちゃん。

この2人はちゃみちゃんにやられたということは……ましろんの推理は全て正しかったってことか、すごいな……。

 

「ましろちゃんが大活躍の一戦だったね!」

「いや、僕だけじゃないですよシオン先輩。光ちゃんとシュワちゃんが居なかったら負けていたかもしれない」

「おお! 三期生のちゃみちゃんを同じ三期生の光ちゃんが独自の視点で気づき、シュワちゃんが知識を提供し、それを基にましろちゃんが推理した。つまりこれは、三期生の絆の勝利と言ってもいいんじゃないかな!? みんな三期生に拍手!」

 

シオン先輩の一回戦まとめの言葉と共に、みんなから盛大な拍手が送られる。えへへ、なんだか照れくさいな……。

さて、拍手も止み、そろそろ2回戦が始まるし、気合を入れ直そう、そう思った時だった。

 

「ね、ねぇエーライちゃん!」

 

あのいつもは大勢の前では縮こまってしまうちゃみちゃんが、大きな声で同じ人狼だったエーライちゃんの名前を呼んだ。

 

「ん? どうしたのですよ? あ、勝ちを届けることができなくてごめんなさいなのですよ……もっと冷静になれていればまだ戦えたかも……」

「う、ううん、それはいいの! むしろね、あのね、すっごくかっこよかったわ!」

「そうですか? それならよかったのですよ~」

「うん、だからね? そのね?」

「はい?」

「今度……一緒に配信でもしない?」

「え? それは、コラボのお誘いってことです?」

「そ、そうそう! 今度よかったら私の家に来てみないかしら? ほら、ASMRとかエーライちゃんまだやったことないでしょ? きっとリスナーさんも喜ぶわよ? 色々教えてあげるから、一緒にやってみない?」

 

――なんということだ。

あのちゃみちゃんが……ライブオン屈指の陰キャとも言われたちゃみちゃんが……自分から……こんな大勢の前で同期以外を……オフコラボに誘うなんて……ッ!!

声が震えながらも確かに言った! 勇気を振り絞った! ちゃみちゃんが自分から人間関係の構築に一歩踏み出した!

 

「も、勿論やるのですよ~! ちゃみ先輩とのコラボ、私すっごく楽しみなのですよ~!!」

「本当!? はぁぁ~よかったぁ~……じゃあ、また後でチャット送るわね」

「了解なのですよ!」

 

快く承諾してくれたエーライちゃん。やばい、なんだか目頭が熱くなってきた……。

他のみんなも心を打たれたのか、やがてこの人狼組の2人にも自然と拍手が沸き起こっていた。

あったけぇ……ライブオンはあったけぇよぉ……。

こういう珍しい組み合わせのやり取りとか、新しいコンビの誕生の瞬間とかが見られるのも大型コラボの良いところだよね!

 

コメント

:あれ、なんで俺泣いてんだろ……

:てぇてぇ

:全裸待機

:888888

:¥8888

 

 

 

ほっこりとしてた雰囲気もつかの間、場面は切り替わりいよいよ二回戦を迎えていた。

私は一回戦と同じくプレイヤー側。人狼側に人数を減らされながらも順当に吊っていき、いよいよ残りが私、ネコマ先輩、還ちゃんとなった最後の議論パートのところで、残り1人の人狼が還ちゃんであることを特定することが出来た。

ちなみに晴先輩は一回戦のこともあり、開幕からある3人組に付いていって4人組の厳重警護フォーメーションが形成されたかと思われたのだが、そのうちの2人が人狼でダブルキル。またもや開幕脱落となった。どうして……。

 

「にゃにゃ! とうとう追い詰めたぞ還ちゃん!」

「ふふっ、この還が窮地とは、流石はママとネコマ先輩です。ですが、勝ちを確信しているところ申し訳ないのですが、まだ終わっていませんよ」

「にゃにぃ!? どういうことだ!?」

「ふっふっふっ、私のバックにはとある一大組織が付いているんですよ」

「一大組織だと? ま、まさか還ちゃん、この監禁人狼という闇のゲームを主宰している組織と繋がりが」

「P〇Aです」

「全然ゲーム関係ないけどガチな方で敵に回したらやばい組織名出してきやがったぞこいつ!? ライブオンの対義語だぞそれ!」

「はっはっは! いいんですかネコマ先輩? 未来ある赤子を吊るなんてしたらP〇Aが黙っていませんよ? お? 我のケツ持ちP〇Aぞ? お? お?」

「こ、こいつ!? なんて卑怯な手を……ッ! 自らの立場を利用して権力にすがるその姿、ネコマは先輩として許しておけないぞ! いいかよく聞け! そっちがP〇AならこっちはGTOだ!」

「GTO? GTOって……まさか!?」

「その通り! グレート……あれ? グレート……Tはえっと……あれ、なんだっけか? シュワちゃん、GTOのT分かるか?」

「ちんちんですよ」

「そうそう! グレート・ちんちん! ……え、これに繋がるOってなんだ? シュワちゃん、Oも分かるか?」

「おちんちんですよ」

「それだ! いいか還ちゃん! このネコマはグレート・ちんちん・おちんちん、略してGTOなんだぞ!」

「ぇ……この人怖い! ママ助けて!」

「全世界のGTOに土下座してきてください。見損ないましたよネコマ先輩」

「こんな理不尽なことあるか? とりあえず後でシュワちゃんは笑ってはいけないラストスベリオンの刑だからな」

「なんですかそれ? ゲームですか?」

「還も気になります」

「本当に一切笑わずに最後までいけちゃいそうなゲームだぞ」

「「ぇ」」

 

そんなこんなで還ちゃんは吊られ、二回戦もプレイヤー側の勝ちとなった。

そして迎えた三回戦目――

 

【朝霧晴・心音淡雪|人狼サイド】

 

「勝ったな」

 

開幕画面に表示された文字を見て、思わずそう呟いたのだった。




三回戦で短めのゲームをやり、人狼ゲームは一旦終わりになります。
実はあと2つフルでゲームプランを考えていたのですが、予想より遥かに文字数がかさんでしまっているため、テンポのことを考えてカットとなりました……。
いつか人狼2回目もやるかも?

心音淡雪Twitterアカウント↓
https://twitter.com/kokoroneawayuki

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