VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた   作:七斗七

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もうすぐデビューから1周年!

「皆でお泊り会したい!」

 

光ちゃんのはきはきとした明るい声が耳に響く。

現在、三期生全員で通話を繋ぎ、とある話し合いをしていた。配信外の裏作業だ。

話し合いのテーマは『三期生デビューから1周年の記念になにをするか』である。

そう、デビューから退屈という言葉を忘れそうになるほどの目が回るような日々を過ごしている内に、なんと、もうすぐデビューから丁度1年が経とうとしていたのだ。

そこで、やはり1周年となれば特別なことをしたくなる。

私、ましろん、ちゃみちゃんが良い案はないか唸っていたところ、先陣を切ったのは流石は陽キャ(常識人とは言ってない)の光ちゃんだった。

 

「前にましろちゃんと淡雪ちゃんがお泊り配信してたよね? 光それがすっごく羨ましくて! 四人皆で集まってお泊り会配信とかめっちゃ楽しそうじゃない?」

 

全員その案には好意的な反応だった。

 

「お泊り会、僕もいいと思うな。久しぶりに直接皆に会いたいよ」

「ふっふっふ、多人数でお泊り、達成できれば間違いなく私も陽キャの仲間入りね! 直接会うのはかなり緊張するけど、同期の皆となら大丈夫だと思うわ」

「私も賛成です! そういえば三期生が全員オフで集まって配信することって今までなかったので、きっとリスナーさんもよろこんでくれるかと!」

「お、皆反応いい感じ? じゃあさじゃあさ! せっかく皆で集まれる珍しい機会なんだから一日丸ごと配信とかどうよ!? 昼前くらいから配信開始して、寝る前までずっと配信するの!」

「それは光ちゃんが耐久したいだけなのでは……?」

 

思わずそうツッコミを入れてしまい皆から笑いが起きたが、これも反対という人はいなかった。

むしろ長時間配信となれば細かな案でも多数詰め込むことが出来る為、今まで思いついても発言までいかなかった案も皆進んで言うようになり、会話は更に弾んでいく。

 

「なにかゲームとかどうかしら? 私がASMRマイクを持参して最下位の人は罰ゲームでそれに恥ずかしいセリフを言うとか!」

「ゲーム! いいねいいね! 光負けないよ!」

「これまたちゃみちゃん本人が楽しみたいのが透けて見える気がするけど……まぁいっか。僕も当日までにサムネ用のお泊りイラスト描いちゃおうかな」

「あ、じゃあ食事の時間になったら私とちゃみちゃんが主軸になってお料理配信とかしましょうか!」

 

どんどん企画の中身が固まっていく。次第に1周年記念はお泊り会配信で決定の流れとなった。

 

「あと、ミニライブとかできるといいですね。皆で歌いたいです!」

「それならお泊り会の場所も光の家ですることにしよっか? 一人暮らしだし、防音室あるから歌もいけるよ!」

「いいね、それじゃあお願いしようかな」

「楽しみになってきたわね」

 

これで企画も場所も決まった。とりあえず今日の話し合いの目的は達成したことになる。

皆も安心したのか、徐々に肩の力が抜けてリラックスムードになってきた。臆さずに良い案を率先して言い出してくれた光ちゃんのファインプレーだ。

 

「なに持っていこうかしら? とりあえずマイクは持っていくわね」

「私ストゼロもっていっちゃいましょうかね~」

「ふふっ、あわちゃんだけじゃなくてシュワちゃんも出してあげたいしね。皆でお酒飲もうか」

「飲み会だぁ! えへへ、光いつかは皆でお泊り会してみたいってずっと思ってたの! 発案者として皆が楽しめるように準備とか頑張るね!」

 

ええ子や……本当に光ちゃんはええ子や……。

一緒にデビューして今日まで切磋琢磨してきた私たちだ。成長を祝い、更に仲が深まるような素敵な記念日になるといいな。

その後も軽く雑談を交わした後、通話は終了となった。1周年まであと少し、お泊り会に備えながら、急く心を落ち着かせて通常の配信も頑張っていこう。

 




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