VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた 作:七斗七
もはやASMRと言うよりASMR系コントの様相を呈してきたこの配信。
以降もひたすらにちゃみちゃんが暴れまくってリスナーさんとエーライちゃんを振り回し続けた。
『こっ、これで予定していた内容はすべて終了、あとは配信を締めるだけなのですよ……こんなに大変だった配信は初めてかもしれないのですよ~!』
『延長でお願いするわ! 園長だけに!』
『……これ以上ちゃみ先輩が恥を重ねる前に終わらせた方が良さそうなのですよ〜』
『ねぇ今のうまかったでしょ! 褒めて褒めて!』
『まったくえーらいえーらいじゃないのでダメですよ~』
どうやらこれで配信は終わる流れのようだ。
この配信を経て、やはり印象深かったのは今まで見たことがないくらい終始ハイテンションだったちゃみちゃんだろう。
事前に音や声フェチという性癖を把握していなかったら、お前誰だレベルだったと言ってもいい。
序盤の私の心境としては、突然のちゃみちゃんの暴走に危機感のような焦りを感じていた。だけど、配信が進むにつれて、どこか微笑ましいと感じるような不思議な心境へと変わっていった。
あのちゃみちゃんが、自分の人見知りやPONを気にもせず、ただただ目の前のエーライちゃんに夢中になっている姿が、なんだか新鮮なんだけど同時にらしさも感じて、これもまたちゃみちゃんだなと思うようになったのだ。
後半は私も1リスナーとしてコメント欄に参加して楽しんでいた。
配信前に子の運動会を見守る親のような気分になっていたが、この微笑ましさは運動会ではしゃぎすぎながらも楽しそうな我が子を見たとき、困った子だなぁと呆れのような表情を外には見せながらも内心では嬉しさが溢れているような、そんな心境からなのかもしれない。
『ね~配信終わるのやだぁ~! もっとエーライちゃんの色んな音聴かせてよー!!』
『あっ、こーら! お腹にしがみつくのはやめるのですよ~! く、苦しい……』
『うひひっ、エーライちゃんのお腹の中の音が聴こえる……たっ、たまんねぇ!』
『こら! それが真の目的か! 全く、これは躾が必要なのですよ!』
『うぎぎぎぎぎ!? エーライちゃん! ギブッ! ギブッ!』
『はいはい。もう、ちゃんと反省したのですよ?』
『はぁ、はぁ、し、してない!』
『は?』
『ギブって言ったけど、エーライちゃんに締め技されるのちょっと気持ちよかった! もっと躾けて!』
『次はドMですか、これ以上属性を増やすとリスナーさんが困惑するのですよ~』
またイチャコラ? と戯れ始める二人。
ちゃみちゃんがどうしても目立った配信だったが、エーライちゃんの活躍も忘れてはいけない。
エーライちゃんが出ている配信を見るたびに思うのだが、この子の配信者としてのスキルは天才的だ。
序盤こそ私と同じく予測不可能なちゃみちゃんに困惑していたが、時間が経つにつれて予測不可能なことを前提にしたうえで、元の普通のASMR配信予定からコメディ要素が強くなるように配信の方向性の舵を取り、暴走したちゃみちゃんの面白さを引き出して自分はツッコミと進行に徹した。
終盤には例のY〇SHIKIなどツッコミにもキレが増し、この状況下でどこか余裕すら感じさせる圧巻の進行だった。今ではこの状態のちゃみちゃんすらコントロールできているのが恐ろしい。
注視しないと見えない部分ではあるが、同じ配信者としては尊敬の一言である。
四期生間でもまとめ役的なポジションになっているようだし、これからも色々なところで重宝されることになる子だろう。
きっと人狼を通してこういう部分にいち早く気が付いたからこそ、ちゃみちゃんはここまで惹かれているんだろうな。仲間思いで包容力があってかっこいいとか反則である。エーライちゃんは知れば知るほど魅力が分かるタイプのライバーだ。
しかも組長ネタで園長キャラを壊すことで笑いも取れるときた。将来組長に覚醒させたのは私だと自慢してやることにしよう。
エーライちゃんはわしが壊した!!
『改めてですね、これで配信は終わりになるわけなんですけど! なんと! 私はこれからちゃみ先輩宅に一泊する予定なのですよ~! ……やっぱり帰っていいですよ?』
『だめよ! エーライちゃんと私はこれから一緒にお風呂に入って一緒に寝るの! 愛を深め合うの! 耳を開発し合うのよ!』
『さっさと寝て翌朝すぐ帰ろうと思うのですよ~』
『うふふっ、今夜は寝かさないわよ? 私を寝かしつけるまではな!』
『ライブオンに居ると、人間も動物の一種に変わりないことが良く分かって興味深いのですよ~。それでは、また! バイバーイなのですよ~!』
『パイパーイ!』
『ちゃみ先輩、さてはこの後のお風呂想像してるな?』
:コメント
:パイパーイ!
:次の配信でいじられまくるちゃみちゃんが見える見える
:なんだかんだこのちゃみちゃんもかわいい
:二人とも素と外見のギャップがありすぎてアバター逆の方がまだしっくりくるの草
:組長、お気をつけて……
人見知りするにしてもしないにしても、人との距離感がバグっているちゃみちゃんなのだった。
これからの二人の関係性の変化にも注目したいところだね!
前話のあとがきにもあったように、次回閑話で彩ましろによるマシュマロ返答をやる予定です。
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