VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた   作:七斗七

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三期生デビューから1年と1ヵ月記念配信3

 前振りも全て終わり、いよいよお泊り会らしくなってきた。今はオフで会っている利点を活かして『愛してるゲーム』をやっているところだ。

 一応ルールを説明しておくと、二人一組になって『愛してる』と言い合い、照れたりした方が負けのバトルを総当たり戦で行う。

 1年以上一緒に活動してきたのだから愛を告げるくらい余裕なはずという煽りで始まったこのゲーム。最下位の罰ゲームはなんと、ちゃみちゃん持参のASMRマイクを通してリスナーさんに『愛してる』と言うこと。

 照れたり笑ったりでなんともくすぐったい雰囲気で進行していくゲーム、今は光ちゃんとちゃみちゃんの対戦だ。

 

「ちゃみちゃん! 愛してる!」

「……そうね、私も愛してるわ、光ちゃん」

「うん! ……うーん? なんかさっきから光がやっても誰も照れてくれないのなんで?」

「光ちゃんははっきり言いすぎるからなんだか照れないのよ。そして言われる側になっても照れないから負けることもないわけね」

「えー? なんかそれかっこよくない!」

「そんなことないわ。ずっと±0ってことは麻雀漫画の咲みたいよ」

「おおお!? なにそれめっちゃかっこいい! 光魔王だ! 嶺上開花!」

「あっ、でも±0ってなんだか淡雪ちゃんみたいでもあるわね」

「おおお! それもかっこいい! 光ストロングゼロ! どちゃシコどちゃシコ!」

「キャァァァーーーー!? こら光ちゃん!! 意味を把握してない言葉を使うのはやめなさーーーい!!」

「あわちゃん……」

「おーとうとうましろんの視線が冷たいを通り越して汚物を見る目に……」

 

 こうしてちゃみちゃんと光ちゃんの戦いは終わり、次は私とましろんとの対戦。

 私はちゃみちゃんに愛してると言われたときに鼻血が出るアクシデントがあったものの、私から言うの自体はあまり照れない為、罰ゲームは回避できそう。

 反対にましろんは自分から言うのが苦手なようで照れまくり自爆が多発。囁き声にボコられているちゃみちゃんと罰ゲーム争いをしている状況だ。

 

「流石にもう負けられないな……よしっ、それじゃあ僕からいくよ」

「はい!」

 

 ましろんと至近距離で目を合わせ、そして――

 

「あわちゃん――――愛プフフアハハハハ!!」

「えー!?」

 

 しかし、ましろんが『愛してる』の『愛』の部分で何故か私から顔を背け、そして大笑いを始めてしまった。

 え、なんで!? 今までましろん自爆はしててもこんなに笑うことなかったよ!?

 

「ご、ごめんごめん、あわちゃんに愛してるって言うの、なんだか面白くて噴き出しちゃった」

「なんかそれ酷くないですか!?」

 

 私に背中を向けてそう言うましろん、ショックである……。

 

「あれ? ましろちゃん顔真っ赤だよ? どした?」

「ちょ、光ちゃん!? そういうことは言わなくていいんだよ!」

 

 しかし、ましろんが顔を背けた方向に偶然居た光ちゃんの発言により発生した上昇気流により、急降下していた私のテンションは元の位置すら通り越して急上昇する。 

 ましろんが顔を真っ赤にしている……今まで頬を赤くすることはあっても真っ赤になるなんてことはなかった……そしてましろんのあの誤魔化すような反応……。

 もしかしてましろん――私に誰よりも照れてた?

 

「ましろん!!」

「ひぇああぁ!?」

 

 私は無理やりましろんの肩を掴んで振り向かせ、そして両手で本当にトマトのように真っ赤な顔面を固定する。そして鼻先が触れそうになるくらい顔を近づけ――

 

「愛してる」

「――――も、もうやだああああぁぁぁーー!!!!」

 

 愛を告げた私から力尽くで抜け出し、駆け足で部屋を出てトイレに籠ってしまったましろんを見て、私は満面の笑みで鼻血を噴出するのだった。

 だがまだだ! まだ終わってない!

 私相手に言うと言われるどちらの側でも負けたことで-2ポイントを背負ったましろんは、罰ゲームが確定してしまったのだ。

 

「ぅぅぅ……僕リスナーさん相手にこんな甘いこと言ったことないよ……」

 

 数分後トイレから拗ねた表情で出てきたましろん。設置されたASMRマイクの前で再び顔を赤くする。

 

「ねぇ光ちゃん、今からでも僕と代わらない? ドMなら罰ゲームとかご褒美でしょ?」

「んー……これから配信終了まで皆の椅子になるとかなら代わりたいけど……」

「じゃあそれにしよう、罰ゲーム変更だ」

「だめよましろちゃん。ほら、リスナーさんも待っているわ」

「まっしろんの~、配信者魂見ってみったい~!」

「くっ……後で覚えてなよ……」

 

 私たちは耳を澄まして時を待つ。ちゃみちゃんに至ってはイヤホンを限界まで耳奥にはめて目を閉じているガチ具合である。

 やがて覚悟を決めたようで、ましろんはマイクに顔を近づけ、そして口を開く。

 

「…………ぁ、あ……愛し……てる」

 

コメント

:(・ω..:..:..::..:.::.:::::;.......

:ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ…ハッ……ハッ………ハッ………ドゴーン(マイルズ・ダイソン)

:口角上がりすぎてブルーアイズアルティメット城○内君みたいになった

:¥50000

:¥50000

:バタリッ!

 

「は、はいもう終わり! あ、あれだからね! 今のは日頃の感謝ってやつだから! もう次の企画行くよ! ……え? あれ? なんであわちゃん僕のこと押し倒したの? あれ? ちゃみちゃんも? え、あの、二人に乗られると流石に重いんだけど……ね、ねぇ、なんでなにも言わないの? 僕今すっごく怖いよ? ひっ光ちゃん助けて! ケダモノに襲われる! ってはぁ!? なんで僕の体の下に潜り込んできた!? いやいや潰されたいとか意味わかんないから! あーもう誰か助けてええええぇぇーー!!!!」

 

 再びトイレに逃げ込むましろん。おい、SEX(デュエル)しろよ。どうして同期Vと合体しないんだ?  

 ゲームに勝ち、ましろんに完敗した私たちなのだった。


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