VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた 作:七斗七
「そうかモノマネ……それを使えばもしかして……ネコマ先輩!」
「にゃ? どしたちゃみちゃん?」
少しの間なにかぼそぼそと呟いた後、一転して今までとは別人のようなはっきり通る声でネコマ先輩の名前を呼んだちゃみちゃん。
「あの! モノマネで他のライバーを演じて私に愛の告白をしてください!」
それは有無を言わさぬ圧すら感じる勢いであり、だからこそ同時に私は頭を抱えてしまう。
やばい……話を広げるサポートをしようとしたはずが、私はまたちゃみちゃんの地雷を踏んでしまったかもしれない……。
「お願いしますネコマ先輩! そうすれば私はきっとものすごく気持ちよくなれると思うんです!」
「ちゃみちゃん一回落ち着こ? それもう私利私欲に走りすぎてネコマ先輩を知るとか関係なくなってるから……」
「にゃ! それくらいなら全然いいぞ! 久々に自慢のモノマネを披露できるからな!」
「この先輩優しすぎる! 二期生の真のママ枠はネコマ先輩だった! 後で猫缶あげます!」
「叙〇苑の焼肉弁当を所望するぞ」
「その耳と尻尾は飾りですか……?」
コメント
:ちゃみちゃんに声ネタを振ったらダメー!
:ちゃみちゃんのリミッター解除するのシュワちゃんうますぎんか?
:ライブオンの爆弾処理班だからな
:解除どころか全部大爆発させてるんだよなぁ
:爆弾魔じゃねーか
「そ、それじゃあ! まずはましろちゃんとかいけますか!?」
「にゃ! やってみるぞ! あー、あー、えっと、こんな感じかな?」
「ッ!? す、すごい!」
これはすごい……晴先輩以外を聞いても名人芸の領域だな。私ですらなにも知らなかったらましろんと疑わないかもしれない。
「ふふっ、ちゃみちゃん? 僕ちゃみちゃんのこと大好きだよ?」
「あっ! あああっ! しゅき! 私もしゅきいいいいああああぁぁぁ!!」
「こんなもんかー? 次は誰やる?」
「はぁ、はぁ、そ、それじゃあ淡雪ちゃんをお願いします」
「へ? 私はここにいるど?」
「シュワちゃんはそのまま! ネコマ先輩は清楚な淡雪ちゃんを演じて欲しいんです!」
えぇぇ……。
「了解したぞ! こほんっ! ちゃみちゃん! 大好きですよ! ……ほらシュワちゃん早く!」
「あっ、えっと、ちゃ、ちゃみちゃんのことが大好きー!」
「んほ~! 性格が違う双子系催眠音声みたいで耳が孕んじゃう~!!」
……ノリに押されてやったけど、なんで私まで巻き込まれてるんだ?
コメント
:こwれwはwきwもwいw
:あれ? これなんの企画だっけ?
:ちゃみちゃんが孕む配信だぞ
:同接100億間違いなし
:宇宙人も見に来てて草
「すごい、本当にすごいわ! ネコマ先輩の喉には声の八百万の神様が宿っているわよシュワちゃん!」
「はいはい、もう満足しましたか……? それじゃあ本題にもど」
「いや待って! 最後! 最後にエーライちゃんバージョンだけ頂戴! 後生だからお願い!」
「にゃにゃ! そう来ると思ってたぞ! ん゛ん゛! ちゃみ先輩! エーライはちゃみ先輩のことが大好きなのですよ~!」
「ヒギイイィィィ! こ、これはやばいわ! 合法組長をキメるの背徳感がすごすぎて頭がクルクルパーになっちゃうううぅぅぅ!!」
「みさくら語みたいなこと言うな! あと今の言い方だと普段の組長が違法みたいになっちゃうだろうが! むしろこっちの方が非合法でしょ!」
「ちゃみ先輩、園長最近オットセイさんにハマっているので、オットセイさんのモノマネ見てみたいのですよ~」
「うん分かった! 見ててねエーライちゃん! オ゛ゥ゛! オ゛ゥ! パチパチパチ! オ゛ゥ゛! オ゛ゥ! パチパチパチ!」
「シュワちゃんこの子めっちゃ面白いぞ!!」
「ネコマ先輩も後輩で遊ばないの!!」
くっ! やはりちゃみちゃんは普段は比較的常識人枠な分、ライブオンしたときの爆発力が桁違いだ! この私がツッコミにしか回れない! ライブオンの我〇善逸かこいつは!?
コメント
:俺たちはなにを見せられているんだ
:なんでお悩み相談に来た人がオットセイのモノマネしてるの?
:動物園のオットセイの方がまだ常識ありそう
「ふぅ、ありがとうございますネコマ先輩、おかげさまで最高に気持ちよくなれました」
「いやいや、ネコマもこんなにモノマネを喜んでもらえて嬉しかったぞ! これからもよろしくな!」
「は、はい! こちらこそよろしくお願いします!」
そしてなんでこの流れでこの二人には友情が芽生えているんだ?
「シュワちゃんもありがとう!」
「う、うん……」
「それじゃあね!」
「えっ!? ちょ、ちゃみちゃん!?」
感謝を述べた流れでそのまま配信からいなくなってしまったちゃみちゃん。
え? あの~……。
「ネコマ先輩。これ一応ちゃみちゃんのお悩み相談をやってたはずなんですけど……この終わり方でよかったんでしょうか?」
「にゃー……ほら、エーライちゃんと仲良くなるためにネコマを知る為のきっかけにはなったんじゃないか?」
「あははー……」
ちゃみちゃんの愛がエーライちゃんに届くまで、まだ道のりは遠そうだ……。