VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた   作:七斗七

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宮内匡VS朝霧晴&シュワちゃん3

「ああもう! 早速話の腰が折れてしまったではないか! もう18歳とはいえ宮内はまだ学生、明日学校があるのだ、こんな調子では時間が無くなってしまうではないか」

「え?」

「んん? どうかしたかシュワちゃん先輩?」

「ああいや、なにも」

 

 若干メタい話になるから声には出さなかったけど、もしかして匡ちゃんマジの学生か? それともキャラ設定を守った発言か?

 もし現役の学生ならライブオン最年少になるな。……やばい、晴先輩みたいな人を合法学生とするなら、匡ちゃんは違法学生だなというキモ過ぎる発想が頭をよぎった。なんだよ違法学生って。

 

「まずは……そうだな、シュワちゃん先輩から説得に動くとするのである。晴先輩に比べて実例がある分相手しやすそうなのでな」

「お、あまり私をなめてたら痛い目みるよ? こちとら晴先輩みたいな頭の回転の速さはなくともストゼロがあるからな!」

「それ尚更頭の回転止めてない?」

「ふっ、晴先輩はまだ辿り着いてないみたいですからね、分からなくても仕方ないです」

「え、なんでマウント取られたの私? てかなにでマウント取られたの? 辿り着くってなに? 頭が逆回転してるみたいな話?」

「どんな話であるか……」

 

 やばいやばい、匡ちゃんが呆れたみたいな声出してる。

 そうだ! そういえばさっき気になることも言ってたな。

 

「匡ちゃん、実例ってなに? 私にそんなものあったっけ?」

「あるではないか。シュワちゃん先輩ではなく淡雪先輩の姿であるよ、それも最近ではなく初期のものだ。あれこそ宮内の思想が形になった姿である」

「あー、なっついなぁ」

 

 あの切り忘れ事件からもうだいぶ時間が流れたから、最近は当時に懐かしさすら感じるくらいになっていた。そういえばそんな頃もあったなぁ。

 

「でも思想が形になったってどゆこと?」

「ふっふっふ、つまりはな、初期の淡雪先輩は非常に素晴らしかったと言いたいのだよ」

「ええ!?」

「あの初心で清楚を名乗りながらも内面になにかを抱えているのが透けて見える感じ、様々なことが妄想できてまさに宮内の理想であった。まぁ抱えていたのは悪魔のようだったがな!」

「悪魔じゃないよ、ストゼロだよ」

「晴先輩は黙っているのである!」

「怒られちゃった、これが最近JKの間で話題の激おこストゼロ丸ってやつか」

「そんなものがJKの間で流行ってたまるか! しかも絶妙に古いし! というかあなたも制服着てるんだからJKであろう!」

「え、私JKに見える? えーそっかぁ照れちゃうなぁえへへへへ」

「なぜJKがJKに見えるって言われて喜んでいるのであるか……?」

「私ね、活動開始からもう三年以上経っちゃってるんだよ。逆に聞くけどどうやったらJKとして見てもらえるの? 留年言うのも最近限界が見えてるんだよ?」

「……なんかすまないのである」

 

 二人が話している中、私はまさかのことを言われた衝撃で驚愕していた。

 まさか今の私を否定され、昔の方が良い、しかも理想とまで言われることが起きるとは……。

 まぁ世の中には、どんな変わったものでも好きになる人が少しはいるくらいには多種多様な価値観が渦巻いているから、不思議な話ではないか。当時から応援してくれていた古参勢のリスナーさんもいるわけだしね。

 

「それにしてもあれだね。匡ちゃんよくそんな昔の私のこと知ってるね?」

「当然だ。なにかを批判するときは、その批判対象のことを深く理解していなければいけない。でなければあまりに失礼であるし、なによりそうでなければ的を射た批判などできない。宮内はアンチライブオンを決めたその日から徹底的にライブオンライバーのことを勉強している。ライブオンを知ったの自体はそう昔ではないが、知識量なら簡単に負けたりしないはずだ。無論これからも勉強するつもりであるしな」

「ええ子や! シュワちゃん感動しました!」

「それ自体は素晴らしい心掛けだけど、問題は批判理由が自分の欲求の為に傾きすぎな点なんじゃ?」

「「…………」」

「あっ、ごめん……」

 

コメント

:宮内えらい!

:あっ……

:黙っちゃったじゃんwww

:ハレルン、やめてあげて

:自分の欲求に正直な点は紛れもないライブオンだからなこの子

:えっぐいボディブロー入ったな

:ミヤウチィ! 負けるなぁ!

 

「そ、そうだ! 宮内は自分の為ではなく、世界がライブオンに汚染されてしまう、つまり世界の危機の為に戦っているのだ!」

「そうですよ晴先輩! デビュー配信でも言ってましたし!」

「うん! そうだね! よちよち、ごめんな会長?」

 

 あっぶねぇ! 明確な動機を用意していなかったら、危うく今ので勢いに呑まれて匡ちゃんが即落ちするところだった……マジの即落ち二コマになるところだったよ……。

 ……もうこれ二対一とかの話じゃなくて、ライブオン全員で晴先輩に討論挑んだとしても勝てないんじゃないか? 

 

コメント

:そうだよ!

:なんか冷や汗出たわ

:ライブオン好きだから匡ちゃんが勝ったら困るけど、今のは安心した笑

:匡ちゃんよわい(小声)

:シュワちゃんありがとう! ミヤウチを頼んだ!

 

 ……え? なんで私が匡ちゃんをフォローする側に回ってるの……?

 根がいい子っぽいし、なんかクソザコの残念感がすっごく漂う子だから、対応に困るな……。


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