VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた   作:七斗七

246 / 363
五期生2-2

「「「お?」」」

 

 私たちが思い思いの反応を見せていると、突然画面にテロップが表示された。

 

【その子は記憶喪失みたいです。自分が誰なのかも分からずあてもなく東京を彷徨っている内に偶然ライブオンの事務所に迷い込んだようで、身寄りもないみたいなので一旦保護しました。

その後、いきなり本人から五期生の書類選考を受けたいと言い出し、書類の名前欄に『ダガー』とだけ書きそれ以外は白紙で提出するというその圧倒的才能に即面接を敢行、結果は今の通りです。

記憶喪失らしいので謎が多いですが多分いい子です。かわいがってあげてください。ライブオン運営より】

 

コメント

:草草の草

:少しでもミスったら警察沙汰になりそうなことしてんなこいつ

:あかんもう強い

:私ライブオン入れるかもとか思ってたけどやっぱ無理、本物は格が違った

:もう運営の運営が必要だろこれ

 

「全てがおかしいわね」

「ボ〇ボボの前回のあらすじみたいになっちゃってんじゃん」

「きたきたきたきた! ネコマが望んでる感じが来てるぞ!」

 

 私は驚愕の経緯を聞かされて遠い眼をしていると、画面から急に気の抜ける声が聞こえてきた。

 

『んん? ちょ、なにこれ!? 変なの出てる!? え、どうしよ、うっ、運営さーん! なんか画面に予定にないの出ちゃってるけどこれどうしよー!? あっ、ミスって出しちゃったの? 今消す? あ、消えた消えた! ありがとー! よかったぁ』

 

「え? 今喋ったのこの子ですか?」

「そう……だと思うわ、運営さんとか言ってたし……体も大きく横に傾いていたから、多分確認をとるために後ろを振り返ったんじゃないかしら」

「でも今の大丈夫なのか? キャラ的に軽く放送事故だと思うんだけど……」

 

『俺は俺のことを知りたい。だが俺自身がそれを止めるんだ』

 

「「「!?」」」

 

 何事もなかったかのように戻った!?

 

『過去のことを思い出そうとすると、まず思い浮かぶのは黒く焼けた肉塊、燃え上がる炎、粘着質の赤い液体、そして一振りのダガー……これ以上を思い出そうとすると頭に割れるような痛みが走る。でも、俺は自分が何者なのか知りたい。たとえその先になにが待っていようと……』

 

コメント

:だめだ、全然話が頭に入ってこない

:二重人格疑惑も出てきてんじゃん

:二重人格はもう三期生にいるんだよなぁ

:そんなやついないぞ

:いるぞ

:いないぞ

:いる

:いない

 

『だから俺はライブオンでの活動を通じて、自分探しをしようと思う。右も左も分からない俺はもう普通には生きていけない。そんな俺がライブオンに迷い込んだのは、きっとディスティニーだったんだ。ここで俺はこの旅の終着点を探そうと思う、皆も協力してくれ』

 

「な、なんなんだこの子は? 分からない……最初は激痛系厨二キャラかと思ったけど、見れば見る程どういうキャラなのか分からなくなってきた……」

「情報量が多すぎるわね……」

「とりあえず運命をディスティニーって言ったことはネコマの中ではポイント高いぞ、クッソダセェ!」

 

 これは無理やり言語化するならあれだ、今までライブオンで培ってきた、こいつはこうくればこう動くなみたいな予想を、この子はことごとく外してくる感じ。

 一体どういうキャラなんだ……?

 

『――みたいな感じ! 自己紹介読み終わった! えっと、次はなんだっけな? あっ質問タイムだ! 俺に聞きたいことあったらなんでも聞いてな!』

 

「「「!?」」」

 

 え、なに!? 急に口調がさっきの運営さんに確認とってた時みたいになったよ!? もうほんとどういうこと!?

 

コメント

:え、ええ?

:今読み終わったって言わなかった……?

:そんな堂々と台本宣言するな!!

:もうわけわからん

:俺達はどうすればいいんだ……?

 

『質問! しーろ!』

 

 膝を両手で叩いているのだろうか、ペチペチと音を鳴らしながらリスナーに質問の催促を始めた記憶どころか全てが謎の少女。

 もう……わけがわからないよ。

 

コメント

:と言われましても……

:なにを質問すればいいんだよ……

:質問したいことが多すぎて逆になに聞くべきなのか分からん

:お前らまだまだだな、ライバーが質問しろと言ったからにはするんだよ!!

:あ、あの、お名前はなんと呼べばいいでしょうか?

 

 お、良い質問だ! それは私も気になってた! 

 

『名前は忘却の彼方に封印されている』

 

 あーーーーもう!! もーーーーうううううう!! うぎゃああああああああ!!

 

コメント

:ズコー!

:ようやく会話が成立するかと思ったのに……

:なるほど、忘却の彼方に封印されているちゃんですね、ありがとうございます

:草

:DQNネームオリンピック金メダル候補じゃん

 

『ちっがーーーう!! 話聞いてなかったの? 俺記憶喪失なの! 自分の名前分かんないの!』

 

 今度はツッコミを入れてきた!?

 

コメント

:怒った……

:キャラブレッブレやん

:その外見で駄々こねられると困惑するんだわ

:でも会話が通じだぞ!

:さっきのテロップで名前欄にダガーと書いたってあった気がする

 

『そう! 俺は記憶がないから名前を聞かれて困ってしまった。なんとか記憶を探ろうとした時、脳裏に浮かぶのはさっきも言った凄惨な光景だけ。だがその地獄の中で、一振りのダガーだけは不思議と希望で輝いているように見えた。だから俺は自らをダガーと名乗ることにしたんだ。ふふん!』

 

コメント

:某お姫様みたいですね……

:記憶喪失ならライブオンじゃなくてさっさと警察行け

:地獄から逃げてきてまた地獄に保護されてどうする

:ならダガーちゃんでいいのか

:もうかっこいいんかダサいんか分からん

 

『はぁ!? カッコイイに決まってるでしょ! ダガーだよダガー? これがダサい訳ないじゃん! 超クールじゃん!」

 

「ねぇシュワちゃん。この名前ってかっこいいの? 私の感性ではよく分からないわ」

「これはすっごくオサレだど」

「それどっちなの?」

「なんだかよく分からないけど、ネコマにはかわいく見えてきたぞ」

 

 まだ謎ばかりだが、とりあえず名前は判明したようだ。

 記念すべき2人目のライブオン五期生は――ダガーちゃん!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。