VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた   作:七斗七

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愛の授業4

「コホン、最後は淡雪さんですね。デビュー配信の時にも言ったけど、こうして顔を合わせることが出来たので改めて、先生を見つけてくださりありがとうございました!」

「感謝されると色々と私のせいになるので勘弁してどうぞ」

「さっきも少し話したけれど、淡雪さんにはこの宇宙人の目から見ても見どころがあると思っているの」

「眼球疑ってどうぞ」

「淡雪さん、貴方はストゼロと結婚したとお聞きしました」

「耳疑ってどうぞ」

「じゃあもういいです! ふん!」

「あぁごめんね! 拗ねないで、私が悪かったから!」

「先生が知った頃の淡雪さんはもっとハチャメチャ感があったのにやっぱり人って人気を得ると変わるのねそうよ昔は尖ったことやってくれて面白かったのに人気が出た途端生配信で適当な話題になっている動画に対しわざとらしい寒いリアクションを取ることばっかりして信者から金をまき上げることしかしなくなる配信者なんてザラにいるものねやっぱり地球人は地位なんてもので簡単に人格ごと変わってしまうんだわああなんて愚かな生き物なのかしらブツブツブツ……」

「帰ってこーい!」

 

 早口でなんか分かるような分からんような文句を矢継ぎ早に話し始めてしまった先生を慌てて止める。

 よくもまぁこんなに文句が出てくるなぁ……。

 

コメント

:意外とかまってほしがりなところあるんだなチュリリ先生笑

:ふん!(かわいい)

:すごいこと言うなwww

:そういう配信者居るけども……

:これが失うものが無い者の覚悟か……

 

「……コホン、失礼しました。えー要はね、淡雪さんは先生の提唱する概念的愛に近い感性を既に持っているんじゃないかなって思っているの」

「よしよし立ち直ってえらい! それでえっと、なんで?」

「私の提唱する概念的愛は端的に言うなら『人以外×人以外』、そしてストゼロは当然人ではないでしょ? でも淡雪さんはそれに愛を感じている、それはつまり『人(淡雪さん)×人以外』ってことよね。ややこしくなるから順番によるどっちが攻め受けかは一旦無しでね」

「あー……つまり先生の言う愛に片足浸かってるだろってことか」

「そう! まだ道半ばとはいえ、ここまで真理に近づけた地球人は先生が今まで出会った中では淡雪さんだけよ!」

 

 うーん……あれだな、褒められてるはずなのに素直に喜べない……。

 

「どうです淡雪さん? ここいらでもう一歩踏み出してみるというのは!」

「踏み出すと言うと?」

「要はカップリングから自分を外すわけです! 『人(淡雪さん)×ストゼロ』ではなく、『人以外×ストゼロ』に愛を認知してみるのはどうかな! そこまで到達できれば、後はストゼロ部分もそれ以外のモノに変えるだけでいい! 概念的愛の理解はもうすぐそこよ!」

「ぇ……いや別に私NTR系はあんまり性癖じゃないし……」

「あれ? 先生NTRの話とかした?」

「え?」

「あれ?」

「ねぇシオン先輩! NTRってなんですか?」

「光ちゃんの好きそうなことだよ」

「まじか! 後で調べる!」

「やめておきなさい」

「なぜ!? あっ、焦らしってやつか! 好きなことをあえて禁止するとは、シオン先輩も中々やりますね!」

「この子さては世界一幸せな人生を謳歌しているんじゃないかな……」

 

コメント

:先生とシュワちゃんってシナジーあるんやな

:先生がライブオンを知ったのきっかけでもあるしな

:でも会話が噛み合ってるようで合ってないwww

:光ちゃんの暴走が止まらない

:世界一幸せな人がドMはテーマ性すら感じるんよ

 

「まぁいいわ、そんなわけでね淡雪さん、まずはストゼロとの愛から自分を外しましょう!」

「は? ストゼロちゃんを幸せにするのは私だが!?」

「い、いやあのね? あー……あっ、そうだ! ストゼロに地球人は過ぎた相手だと思わない?」

「なに言ってやがる! ストゼロちゃんはな、日本のスーパーアイドルなんだよ! 日本の人々を笑顔にしているんだよ! 人の為に活動を頑張っているんだから、それを過ぎた相手扱いなんてストゼロちゃんに失礼だろ!!」

「す、スーパーアイドル……へ、へー、あ、その、ごめんなさい?」

「なーストゼロちゃん? カンカン! ストゼロもそう思うんでストゼロ!」

「語尾雑……あーそうじゃなくて! 淡雪さん結婚するとか言ってたでしょ? アイドルなら結婚したらだめなんじゃ……」

「ストゼロちゃんは一人一人の心の支えなんだよ! 飲んだ人の数だけ生まれるスーパーアイドルなんだよ! だからいいんだよ!」

「そ、そう! ごめんね変なこと言っちゃって! ……いややっぱりよくない気がしてきたわ。淡雪さん、論破してみせるから今のもう一回言ってくれる?」

「忘れた」

「は?」

「ノリだけで喋ってんだから自分がなに言ってんのかなんて覚えてるわけねーだろーが! そんくらい分かれよ! 先生だろ!」

「はぁ!?!? なにそれあまりに無責任だし、先生をなんだと思ってるのよ貴方!?」

「もうこれ先生失格だろ、辞職はよ。ストゼロに詫びて辞職はよ」

「これで失格なら全世界から教師が居なくなるわよ!」

「今思い出せることなんて一年前の今日に飲んだストゼロの味くらいだわ」

「淡雪さん、貴方おかしいわ……さっきの昔はもっとハチャメチャ感云々は全て撤回よ……」

 

コメント

:大草原

:言ってることなんも理解できなくて草

:マジでストゼロの擬人化みたいだ

:ストゼロに詫びて辞職とかこれが世界初だろ

:全部がバラバラで意味不明、でもこれぞシュワちゃんと大納得!

:国士無双みてぇな女だな

:先生のド直球過ぎるドン引き宣言に笑った

 

 ストゼロちゃん……君の名誉は守り抜いたよ……。

 私とストゼロちゃんの絆は! 誰にも! 引き裂けない!!

 

「くっ、まさか押し負けるなんて……だけどそれもここまでよ! 余興はこれで終わり! ここからが本当のチュリリ先生であり愛の授業! そこでは先生の思想が全てであり唯一の正解! いわば完全に先生のフィールド! 今度こそ暴れ散らかしてボコボコにしてやるんだから覚悟しなさい!」

 

 ……今更だけどなんで授業で教師が暴れる必要があるんだろうか?(能力発動後特有の賢者タイム)


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